
(写真:2008年12月、派遣法抜本改正を求める日比谷野音集会)
私たち全国一般東京東部労組は12月15日付で、派遣法の修正案に関する主張を公表しました。
主張の全文は以下のとおりです。ご意見ご感想をお寄せください。
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派遣法骨抜き修正案に断固反対する
民主党は11月16日、国会で継続審議中の労働者派遣法改正案から主要部分を削除した「骨抜き」の修正案を了承した。この修正案は12月7日、衆院厚生労働委員会において、わずかな時間の審議で民主・自民・公明3党の賛成で可決された。これを受け、年明けの通常国会での成立、という情勢になってきている。
修正の内容は、政府案から「製造業派遣の原則禁止」を削除、「登録型派遣の原則禁止」も削除、政府案の「日雇い派遣(2ヵ月以内の派遣)の原則禁止」を「30日以内の派遣を禁止」に緩和、違法な派遣があった場合、派遣先が派遣労働者に雇用契約を申し込んだとみなす「『みなし規定』の実施は3年後」などである。
派遣労働者の「使い捨て」を温存しようという意図が明らかだ。まったくもって許されるものではない。
08年秋に横行した「派遣切り」の残酷性-職を奪うだけではなく、住居など、生存権そのものを奪う-が、同年末、翌年始「年越し派遣村」の取り組みで可視化された。
「派遣労働者の使い捨てを許すな」。さまざまな労働組合がナショナルセンターの枠を超え、日比谷野音での大集会を実現させるなど、派遣法の抜本改正を求める運動を強め、東部労組もその運動に加わり、ともに闘ってきた。
このような中、09年6月、当時の野党(民主・社民・国民新)3党は、規制強化を軸にした派遣法改正案を策定、共同で国会に提出した。一方で、この3党案には「登録型派遣原則禁止」としながらも「専門26業務」を例外とする、などの不十分性があった。東部労組HTS支部組合員が従事する添乗業務は「専門26業務」に該当し、規制強化の埒外に置かれたのである。
09年8月の政権交代に伴い、この3党案をもとにした政府案が10年4月、国会に上程された。しかし、この政府案には、「製造業派遣原則禁止」としながらも「常用」型を例外とする、派遣先企業の団体交渉応諾義務についての規定がないなど、3党案からも後退した内容となった。
そして、上程された政府案は、自公・業界の巻き返しにより、1年半以上も審議に入らない状態で「棚ざらし」となった。そのような中、冒頭の内容で、民主党は政府案をさらに骨抜きとし、抜本改正とはほど遠い内容とする修正案を了承したのである。
一方で、この修正案については様々な意見がある。「みなし規定」の実施が削除されていないなど、「現行法よりは前進」と評価し(現行法には「みなし規定」はない)、修正案を成立させるべきだ、あるいは、積極的に反対すべきでないとする意見もある。連合古賀会長は「苦渋の選択として法案を通していくことを受け止める必要がある」と述べている。
しかし、このような骨抜きの修正案が派遣労働者の団結、派遣先との団交など、派遣労働者自身がみずからの権利を求めて立ち上がるのに役立つだろうか。この修正案で派遣労働者の劣悪な労働条件が改善されるだろうか。そして、「現行法よりは前進」「苦渋の選択」との立場は、派遣労働者の実態、気持ちに依拠していると言えるのだろうか。そうとは到底思えない。私たち労働組合は、派遣労働者自身の怒りと闘いとに依拠するべきである。そうである以上、私たちは「労働者使い捨ての温存は許さない」との原則的な立場を貫き、骨抜きの修正案の成立には断固として反対を表明する。
派遣法をめぐる運動は終わったわけではない。ACTユニオン支部やHTS支部のように、派遣労働者自身を労働組合に結集していくことが必要である。そして、HTS支部がかちとった派遣先団交応諾義務を認めた都労委命令のように、派遣労働者自身の闘いにより運動を前進させていくしかない。
私たち東部労組の立場は明確だ。08年の35回定期大会で東部労組は「使い捨て労働」をなくし、すべての人が尊厳ある労働と生活を手にすることを求め、「労働者派遣法の抜本改正・廃止を求める決議」を採択した。今こそ、この決議に基づき、派遣労働者自身の闘いを背景に、派遣法の抜本改正、あるいは派遣法そのものの廃止を政府・資本家に突きつけ、迫っていこう。そのような運動の先頭で東部労組は闘いを強めよう。