検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

栄村の今、黄金色の風景と土石流

2013年09月27日 | 栄村の今
 9月23日の栄村(人口2,203人、65歳以上高齢人口45.9%)は一面、黄金色。国道117号線に並行してJR飯山線が走り、右手に水量豊かな千曲川が流れています。栄村は新潟県津南町と隣り合わせ。いずれも日本一の豪雪地帯ですが訪れた日は気温29℃。

 立ち寄った森宮野原駅近くのお店で飲み物を買って挨拶代りに店番の女将に聞くと、「台風のせいだ」とうんざりした顔で言葉が返ってきた。いつもは涼しい季節なのだと思った。しかし元気な奴もいた。駅の草むらに棲みついたキリギリス、鳴く季節でないのにあちこちで鳴いているのには驚いた。

  栄村の鈴木敏彦村議さんとの約束時間は午後3時。それまで4時間ほど時間がある。村の秋の風景と地震、台風18号の被害状況を見ておこうと、車を秋山郷に走らせた。千曲川を渡り、秋山郷に向かう道はゆるやかな登り道が続きます。 
   平地は少なく、小さな棚田が山すそから谷に向かって連なり、道はその真ん中を縫って奥に続く。奥は秋山郷。その先は2000メートル級の山が連なり、その先に道はない。秋山郷は秘境中の秘境。

  1つの集落を抜けると山道、そして10戸から20戸の集落が現れる。その中には本家と分家だけの集落もあるとききました。先祖伝来、何代も続く農業を中心とした集落です。栄の米は有名、5キロ3,000円です。現地の道の駅でこの値段ですから都内だともっとすると思う。

  すごいと思ったのはほぼどの田の稲も稲架けをした天日干しだったこと。埼玉で天日干しの稲はめったに見かけない。しかし栄村ではどこもが天日干しをしている。その手間、もともと美味しい米をさらに美味しくしているのだと思った。

  車を走らせていて秩父の中山間地と違うと思った。耕作放棄地、廃屋がないのだ。気がつかなかっただけなのかも分からないが、少なくとも目にした範囲、廃屋はなかったし、耕作放棄で荒れ放題の農地は目にしなかった。

  棚田は稲刈り時期の真っ最中、刈り入れがまだ済まない田の方が多いので集落は黄金色に色づいていました。そして各地で目にするイノシシや鹿よけの防護柵、網がまったく見かけなかった。「この山奥で、熊が出るというところで獣よけの柵や網がないのは」と思ったがよくよく考えると、栄村の積雪日数は年130日~160日。冬眠をしないイノシシ、鹿は棲息できないのだ。

 その厳しさに耐え、育った稲は埼玉で見る稲と比べ、かなり丈が短かい。それは余談として、収穫前の棚田風景は本当に美しいと思った。沢山の人が訪れるというのも納得。心いやされながら、2年半前の地震の痕跡を探しましたが見当たらない。台風18号の豪雨で住民に避難勧告が出たのですがそんな様子もない。ただ道を走り続けると秋山郷につながる道は「通行止め」の看板。災害の痕跡があったのはただそれだけ。それ以外、山の緑と澄んだ谷の水、黄金色の棚田、美しい日本の原風景が詰まった栄村だった。

村議と約束している場所へ。
  村議の鈴木敏彦さんから1時間ほどお話を聞く中で分かったのは、2年半前の地震で被害が大きかったのは秋山郷周辺でなく、栄村役場を中心とした地域でした。そして台風18号の豪雨で避難勧告が出たのも地震被害が大きかった青倉地域。
 土石流が襲った中条川の現場に鈴木村議さんの案内で行った。(写真) 
 (土石流は谷を埋め道路にあふれ、事務所を破壊)   2年前の地震で上流の山が崩落して土石流が発生。その後、3つの砂防ダムが造られた。完成したばかりの3つの砂防ダム、これが再び発生した土石流ですべて埋まり、谷からあふれた土石流は道路にまで達して、事務所を直撃して破壊した。谷底から道路まで50メートルはあるかと思う深さ、それが土石で埋まり、川幅は数十倍の広さになって荒々しい姿に一変。

 上流を見ると、彼方に土石流の原因となった山の緑が消え、崩落の跡をさらしていた。土石流は集落の手前でかろうじてとどまったが山に亀裂が入っている。再び、土石流発生の恐れがあるという。そうなるとどうなるのか。不安は尽きない。

 土石流は一瞬にして襲ったという。「危険」と言われている地域に住んでいる場合、避難勧告が出たら、早く避難する。様子を見て、判断するのでは間に合わない。土石流の現場に立って、自然の破壊力の恐ろしさを実感。

 おだやかな集落と自然の破壊力にさらされている集落。関係者のみなさんのご苦労を推察しました。

  土石流が襲った中条川の下流にかかる橋の真ん中に役場職員が川の様子を見に来ていました。
「この川も暴れ川になったなあ」。職員のつぶやきが聞こえました。地震前まで中条川は渓谷美が自慢の美しい川だったという。その川が一変したのです。急流の下に集落(青倉・中条)があります。

  職員は川の様子が気になり休日にもかかわらず様子を見に来たのです。村を思い、村民を思う気持ちが伝わりました。そうした職員がいる栄村は村づくりでいろいろ知恵を出し、創意的な取り組みをしていることで有名です。次回

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