事態は急速に進行中だった。
ミエの家に今までのミエの奇行をバラしに行くと言うチョルを、ミエは全力で止めなければならない。
「ちょっと!!あんたバグったの?!いきなりなんなん?!」
「バグってんのはお前だろ」
「さっきはその・・キ・・・いや口・・その・・とにかくその・・・しそうだった・・から?」
「おい黙れっ!!口に出すんじゃねぇ!!」
「してないよ!!してないじゃん!!頭ぶつけただけ!!」
「もししてたら、俺は屋根に上ってお前の正体を全世界に全部暴露してたと
ゴゴゴゴ・・と音が聞こえてきそうなオーラを纏って、チョルはズンズンと進んで行く。
「ダメーッ!!」
「やめて下さいっ!キム・チョル様!!だめっ!!お願いですからっ!!」
あと数秒もすれば、チョルはミエのマンションに辿り着いてしまう。
[ファン・ミエの人生の中で、もっとも切迫した瞬間]
が訪れようとしていた・・。
<止めなければ・・>
「ごめん!けどアクシデントだったじゃん、二人共!ね?!なんでここまでするの?!」
「ふざけんな。お前友達となんか変な相談してるだろ。前から怪しかったんだよ」
「は?!!?」
チョルはそれもあって、先程のミエの態度に不満を持っていたのだった。
「違う!!違うよ!!」
しがみつくミエを振り解く。
「離せ」
そう言って、チョルがミエの手首を掴んだその時。
「ダメってば!ファニ!!」
「倒してから行けって・・!!」
ミエはチョルに更に近づき、チョルは背後から聞こえた大声に身構えた。
気づけばすぐ目の前に、猛スピードでこちらに近づいてくる妹がいる。
「お兄ちゃーーーーーーーーーん!!」
チョルは咄嗟に後ろに避けようとした。
が、すぐ後ろにミエがいることに気づく。
次の体勢を取る猶予は、すでになかった。
猛スピードで突っ込んで来たファニとチョルとミエは、三人一緒に地面に倒れる。
バンッ!!
まるでスローモーションだった。
両手が塞がったチョルが倒れた先は、ミエの唇だった。
なんとかチョルに守られたファニが、一拍置いてコロンと地面に転がる。
今度の接触はおでこじゃない。
正真正銘、キスだった。
[1999年、6月のある日]
チョルの叫び声が、青空に吸い込まれていく。
ああああああああああ!!!!!
遠い宇宙の裾に、飛行機が飛んでいた。
[幼い頃から知っている友達と・・]
願いを叶える飛行機は、あらぬ方向へ消えていく・・・。
[キスを・・ー_ー^し・・ました🖤]
きゃー!!
第八十一話③でした。
ひゃーーーーー!!!
なんとおでこコッツンで終わりかと思いきや、終盤にとんでもない爆弾がっ!!
ファーストキスが!!
ファニ!道路で練習しちゃいけません!!(動揺)
これで二人の関係が一気に近づくか!?逆に離れるか?!
先が楽しみですー!!
次回は少し短めの話になります。
第八十一話④に続きます