「大人しく観てろよ」
チョルに体を近づけすぎて怒られたミエ。
けれどさっきのは”自然”さが足りなかったのかもしれない、とミエは思っていた。
自然・・自然に・・
ミエにとっての”自然”は、父親と一緒にソファに座っている時の自分だ。
父のお腹に足を乗せ、ダラダラと自然にふるまっている時の自分・・・。
映画は緊迫感のある場面だったが、ミエもある意味正念場だ。
ミエは”自然”を意識的に、チョルに対して行った。
ドスッ
「あー足だるー」
これを受けてチョルがどういう風に出るか。
結果は・・・
「大人しく観てろって!」
「さっきから何なんだよマジで!」
どうやら、足を乗せるのは違ったらしかった。
では肩を組むのではどうだろう?
自然に・・
「だからってそんな押しのけなくてもさぁ・・肩痛ぁ・・」
そう言いながら、ミエはできるだけ”自然”にチョルの肩に手を伸ばした。
しかし如何せん、腕の長さが足りなかった・・。
ペトッ
チョル、大爆発
「おいっ!!!」
「ひっ」「お前もう帰れよ!」
[すみません、自然ってのがどうも・・]
自然に振る舞うのも失敗したミエ。
それ以上どうすれば良いのかなんて、チヘ先生は教えてくれなかったのであった・・。
<自然とはなんぞや>
チョルのブチ切れは続いていた。
「お前これが最後の忠告だぞ!」
「またふざけたらマジで出てってもらうからな?!」
「うわわわ分かった!分かったってばぁ!」
「自分が観たいって言っといて・・」「ひーん・・」
チョルに押された頭を押さえながら、ようやくミエが大人しく座った。
チョルはまだ怖い顔をしていたが、
やがて通常の表情に戻り、それきり画面に集中している。
ミエはユンヒ達の言葉をもう一度反芻した。
「私は100%確信してるから!
そう言われて、それを確かめるためにチヘ先生の教えにも従ったのに、
全然結果が出なかった。
ミエはため息をつきながら、心の中でユンヒ達に毒付いた。
ミエはなんだか自分が馬鹿になったような、嫌な気分だった。
マイナスな考えがぐるぐる回る。
ミエは「チョルが自分を好きかどうか」を確認することだけに気を取られて、
その先を全く考えてなかったことに気がついた。
もし本当にそうだとしたら、一体自分はどう振る舞うべきなんだろう・・・・?
第八十話③でした。
ミエ!足なんて乗せて!さらに積極的ー!
と思いましたが、お父さんを参考にしてたんかい
ファン家は仲が良くて癒されます
第八十話④に続きます