しばらく走ったところで、ミエが聞いた。
「ていうかマジで、アンタこんなところで何してんの?まさか・・・」
「私がいじめられてるんじゃないかって、心配になってついてきたの?!」
その鋭いミエの疑問に、思わずチョルはギクリとした。図星である。
けれど反射的に否定する。
「ちげーし!!!俺がそんなバカに見えるか?!」「はぁ〜?!」
何その言い方、とミエが言う。
しまった、とチョルは思わず口を押さえる。
「ちょっとおおおお〜〜〜?!」
結果、ミエ大爆発。
そしてそれは、家に帰ってからも続いた。
「ちょっと!ねぇ!」
「じゃあ何であんな格好してたの?どう考えてもおかしいじゃんか!」
ミエが主張を続けていると、やがてカーテンが開いてチョルが顔を出した。
”止めろ”と書いた紙をミエに見せる。
「ちょ・・あんたまた勉強してんの?!」
「ちょっと!てかあんたマジで何位だったの?めっちゃ気になるんだけど〜!」
カーテンを閉め切って、チョルは再び椅子に座った。
机の上には、例のメモ帳が置いてある。
先週、一学期の中間テストが終わり、次に控えているのは一学期期末テストだ。
チョルは息を吐きながら、背もたれに背中を預けて空を仰ぐ。
やがてチョルは再び、参考書を開いて勉強を始める・・。
次の朝。
教室では、とうとう配られた成績表を手にミエとユンヒが会話していた。
「塾通ってんのなんか意味あんのかな・・」「週末までは隠しとこ・・」
ドン
チョルは自分の机にカバンを置いた。
つまり、ミエの隣の席に。
「おはよ!」
反射的にミエは挨拶したが、突然至近距離に”大魔王”が現れてユンヒは顔が引き攣っている。
そんな状況に気がついたチョルは・・。
「おう。はよ」
直球に挨拶を返した。
おおっ?!と驚くミエ。
チョルは普通にしている。
クラスメイトは全員その動向に釘付けだ。
ミエは心の中で、おおおおーーーっ?!と一人叫ぶ・・。
<見慣れない姿>
ということで、この日1日のチョルの姿を追ってみよう。
休み時間
「あの・・昼休み一緒にサッカーしない?」
「あ、もちろんただのお遊びね!対決しようってわけじゃないよ!」
必死の誘いをかけるクラスメイト。
チョルはしばし黙っていたが、
「うん」
やがて肯定的な返事をした。
男子たちは嬉しそうにはしゃいでいた。
続いて授業中。
「えーそれでは・・次の文章をチョルとミエに読んでもらおうかしら。
テレパシーが通じたのか、チョルはツノは出しながらも普通に読み始めた。
クスクス、と小さな笑い声が聞こえているのに。
ミエは意外に思いながら、隣のチョルを横目で見ていた・・・。
第五十五話①でした。
えええ〜〜挨拶交わすだけでクラス中が注目するのしんどい
逆手にとれば、すぐに人気者になれそうだけど・・
がんばれチョルー!!
第五十五話②に続きます