塾が終わるとすぐに、チョルはジョンウクに聞いてみた。
「お前どういうつもりだ?」
「え?」
ファン・ミエを自宅に誘った本当の理由をチョルは知りたかったのだが、
ジョンウクはシンプルに返答した。それを聞いたホンギュが軽口を叩く。
「ファン・ミエのこと?そりゃミエと仲良くなりたいからさ。それがどうしたの?」
「いやマジそれな。お前どういうつもりだよ!二人きりで何すんだ?彼女かっつーの」
「んなわけねーか、あんなまめ子・・あいつフィジカルもメンタルも小学生そのものだし」
「チョル、お前も来いって。気になってるから聞いてるんだろ」
「”親同士仲良い”んだろ?」
ジョンウクは以前チョルが言った言葉をそのまま返した。
”親同士仲良い”から、ミエを心配してチョルが来ても変なことじゃないよ、とジョンウクは言っている。
頭脳明晰な友人のその周到な言葉を受けて、チョルは黙り込むしかない・・。
「もういいって」「はは、もう言わないよ」
「行こう」
ジョンウクの後ろ姿を見ながら、チョルは一人思う。
思えば高句麗中で一緒だった時も、ジョンウクはよく女子と会話していた。
だから今回もそこまで勘繰るようなことでもないのだろう。
チョルは小さく溜息を吐いた。
[そんなことより、キム・
ジョンウクのことより何より、チョルが気にしているのは——・・。
<私の質問にも答えてくれる?>
一方ミエは、家に帰った後自室をひっくり返していた。
バサバサッ
「どこ〜?どこ行った〜?どこだよ〜」
カバンの中、ズボンのポケット、引き出しの中、あらゆるところを探したが、
モ・ジンソプから預かったピアスが出てこない。
「ここかな〜?うーん・・」
な い
床に這いつくばる娘に、母が声を掛けた。
「ちょっとミエ、何してんの?」「ちょっと探し物を・・・」
あまりにも怪しいその振る舞いを見て、母の疑惑の眼差しがミエに降り注いだ。
あんたまさか・・・
「違うよ!成績表は隠してないから!
ベッドに項垂れるミエの頭に浮かんだ予想図は・・。
「成績が落ちた?!高校行く気ないわけ?!外出禁止!」
成績表を出しても隠しても、良い結果になるわけがない気がした。
だからせめて成績表が出るまでは、楽しく遊びたいと思っていたのに。
ミエは、今日の塾の休み時間に改めてチョルを誘った時のことを思い出した。
「ねぇ〜なんで行かないの?みんなで一緒にゲームやったらいいじゃん!」
けれどチョルは、そのことではなく違うことをミエに聞く。
「おい、お前今日学校でモ・ジンソプに会ったか?」
「え?なんで知ってんの?」
「あの人のピアスちょっと失くしちゃってさ、あれいくらするのかって聞いてたんだよ」
「ねぇ、ちなみにあれいくらするか知ってる?ちょっとこっち来てよ!」
そう言ってミエは、モジ・ンソプがそうしたように、耳元でその値段を呟く・・。
その瞬間、チョルの雷が落ちた。
「おいっ!それぼったくられてんじゃねーのか?!てか先に押し付けてきたのは向こうだろうが!
「そう!そうなのよ!私が聞く必要ないよね?!それは私も思った!」
「”今度”ってのはいつなの?」
そこで突然、話題はチョルとミエが遊ぶ約束の話になった。
意外なそのベクトルに、チョルは思わず聞き返す。
「え?」
「それは・・また・・」「またっていつ?」
ミエもなかなかにしつこかった。
明確な答えを口に出来ないまま、チョルは踵を返して歩き出す。
「お前モ・ジンソプの前でヘラヘラしねーでしっかりしろよ」
「そんで絶対ピアス弁償したりすんなよ!」
そう言って、そのままチョルは行ってしまった。
その時のことを思い出し、ミエは一人呟く・・。
「ちぇー・・話はぐらかしちゃって・・」
見つからないピアス、もらえない返答。
中途半端なこの状況に、心の中はモヤモヤだ・・・。
第五十二話②でした!
チョルの気がかりは減りませんね〜むしろ増えてる
そしてジョンウクのセリフが用意周到で震えました・・やはり彼はミニユジョンでは・・?!
お知らせ
作者さんよりお知らせで、第六十五話の更新を期に3ヶ月のお休みに入られるそうです。
このブログでは・・まだいつになるか分かりませんが、空いてる期間はこのブログもお休みになりそうです
チートラの時はお休みが結構頻回あったので、なんだか懐かしい感じ・・
あと作者さんの言葉の感じだと、お休み明けから後半に入る感じっぽいので、物語もいよいよ佳境に入りそうですね。
このブログでも、お休みまでどうぞよろしくお願いいたします〜
第五十二話③に続きます