キム・チョルがサッカーの二試合目を打診している頃、ミエはと言うと・・。
昼間、身体測定の時にからかって来た男子に向かって想像の中で拳を固めているところに、
モ・ジンソプと遭遇した。
はっ!!
モ・ジンソプはミエをじっと見ていたかと思うと、
突然パッと笑顔になって挨拶した。
「どーも」
ミエは「ひいっ」と息を飲んだ後、ペラペラと早口で捲し立てる。
「どっどーも!いま帰り?髪、サッパリ・・いやかっこよくなったんじゃない?!」
一刻も早くこの場から去りたいミエと、その逃げ道を塞ぐジンソプ。
ニコリと笑う彼の背後から、金色の光が差している・・・。
「ははは・・」
・・んだけど・・あまりにも悲惨すぎて・・・
バリカンのウイーンという音と、断末魔のようなモジンソプの叫びが、
今もミエの耳に残っている・・・。
「ご・・ごめ・・!」
ミエは罪悪感に負け、遂にごめんと口にした。
しかし、モ・ジンソプは静かにこう言う。
「あの時、びっくりしたでしょ?」
「見てられないって顔してたもんね」
「俺もあの時はパニクっちゃって、ちょっとわけわかんなくなっちゃってたみたい。
「あ・・ううん、私も・・」「ん?」「その・・」
「わざとじゃないけど・・それでも・・私もごめん・・」
そ の 言 葉 を 待 っ て い た よ
モ・ジンソプはミエが見てないところでドス黒い素顔を見せた。
さぁ、反撃開始である。
「そう思うなら、俺のことちょっと手伝ってくれない?」
「前一緒に勉強した時さ、君英語得意だったじゃない。俺まじで英語苦手でさ。
「周りに勉強できる子いないし、俺らの英語の先生は間違えたとこ怒るだけだから
遂にミエは陥落———・・!
「わ・・わかった!」
「ほんと?」「うん!いつがいい?」
じわじわ、と距離を詰めていくモ・ジンソプ。
「それじゃ今からはどう?一緒に・・」「え?」
「今日はダメだよ、宿題がいっぱい・・」「それじゃ土曜日は?」
「あ、その日は大丈夫!じゃ、土曜日ね?」
モ・ジンソプは、ミエの前から後ろに回り込んだ。
「よかった」
「おかげで助かったよ」
「サンキュ」
足場を固めたモ・ジンソプは、そう言ってミエに背を向けた。
「それじゃ土曜日ね」「うん・・」
「あ、それと」
「何があったかは知らないけど、誰かが何かを言ったとしても無視してればいいと思うよ。
「じゃあね」
ファン・ミエがキラキラした視線を自分に送るのが、背を向けていても分かった。
ふ・・・
”器の大きい”モ・ジンソプは、そうしてミエを赦しているように見えた。
が、実際のところは・・。
ウイーーーーン
「うわあああああ!」
ブルッ・・
そのバリカン跡のような、深い禍根を心の中に遺していたのだった。
[どうしても許せない、大事に育ててきた髪の損失]
第四十五話①でした。
切りどころが分からず今回は少し長めですいつもバランス悪くてすみません
この記事のおまけのようなコマが三コマあったので続きますね!↓
そして、みなさま今年もコメント&応援ありがとうございました
良いお年をお過ごし下さい