爽やかな朝の空気とは裏腹に、キム・チョルの周りには悶々とした空気が漂っていた。
[キム・チョル 16歳]
キム・チョルの心の中は、ミエへの不満でモヤモヤしていた。
そんなチョルは、いまだにミエがどうしてサッカーを見たがったのかいまいちよく分かっていないのだった。
[そもそもサッカーするだの見るだの、大騒ぎしてたのはどっちだよ]
「おー!」
後ろからミエが声を掛けていたが、チョルはイヤホンをしているので聞こえない。
それが教師からの声だったとしても。
「おい!そこのお前!」
チョルはビクッとしてすぐにイヤホンを外した。
「キム・チョル、お前名札は?」
「あ・・カバンに・・あれ?なんで入ってないんだ?」
ゴソゴソと鞄を探るも、名札は出てこなかった。
そしてもう一人、鞄を探っていたのは——・・。
「持ってきたと思ったのに〜バッジ・・」
「真っ直ぐ気をつけ!こいつら弛んどる!」
キム・チョルは名札なし、ファン・ミエはバッジなしのペナルティで並んで立たされた。
登校してくる生徒たちの視線を浴びながら、チョルとミエはその場で立たされている・・。
<堂々と>
ペナルティの生徒は一人、また一人と増えていった。
「お前はそこ!」
「お前はそこに立て」
名札、バッジ、ネクタイ・・不所持の生徒たちが並ばされる。
その中でげんなりとした表情のキム・チョルと、
「ネクタイはどこ行った?あ?」「カバンに・・」
飄々とした表情のファン・ミエ。
「早く結べ!」
ミエたちの前を、生徒たちが通りがかる。
チラチラとチョルとミエの方を見ながら。
途中、ユンヒとチソンも通り過ぎた。
「うわっファン・ミエ!」「おはよー」
チョルは心の中で生徒たちにこう訴えていた。
見んじゃねぇ。笑うんじゃねぇ。チョルミエ言うな。
二人はただ立っているだけなのに、生徒たちからヒソヒソと笑われ、
身長差すごい、だの、チョルミエだ、だの言われたりした。
[あぁ]
[さっさとこの時間が過ぎてくれたなら]
嘲笑と視線の矢が痛くて、ムカついたが、チョルはただ耐えることを選択した。
下を向いてやり過ごしていたチョルであったが、隣のファン・ミエがこう言った。
「ねぇ、顔上げて!みんなジロジロ見てくから、一緒にガン飛ばそ!」
ミエはそう言って、「何見てんだよ」とギョロっとガンを飛ばした。
第四十三話②でした。
ならばされるのきついですね・・
こういうの今もあるんでしょうか・・
見てる限り、カバンと靴は自由なんですね。
みんなが私服で登校してるのも見てみたいな〜〜
第四十三話③に続きます