その日の授業が終わり、ミエはユンヒと手を振り合って別れた。
「うちら今日早く塾行くわ。今度遊ぼー」「うん!バイバイ!」
「昼間のこと気にすんなよ!」
「あんなやつそうそう会わないし!気にしないって!」
ミエはハッと笑いながらユンヒにそう言って、鼻歌を歌いながら道路を歩いた。
”気にしない”その言葉とは裏腹に、胸がぎゅっと締め付けられる。
今日の出来事が引き金になって、時に晒されてきた心ない言葉が浮かび上がった。
「くっ・・!!」
ミエは胸に溜まった鬱憤を晴らすように、腕を大きく振りながらこう叫んだ。
「そうですか!そんなにあんたら偉いんですか!?同情するなら金をくれっての!!
「学年主任にバリカンで頭刈られろーっ!!」
そう叫んで拳を突き上げたミエを、じっと見ている人物がいた。
あっ・・・
学年主任に頭をバリカンで刈られた張本人が・・・。
「抜けた選手の分新しく決めないといけないな。どうしようか」
一方こちらは、12組のサッカー男子たちである。
キム・チョルの抜けた穴をどう埋めて次の試合をするかの作戦会議中だ。
「ソジスに聞いてみるか」「俺あいつ知らんけどいける?」
そんな彼らの元に近づいてくる人物がいた。
「あれ?」
その人物は、机に置かれた対戦表を指さしてこう言う。
「この」
「三組のシンって、顔にホクロある奴?」
「え?あぁ、そうだね」
「俺、この試合出れる?」
キム・チョルはそう言った。
頭の中で、忌々しい記憶の断片が蘇る。
「なんで殴ったのかって?」
「お前のダチだからだよ!」
何もしてないのに絡まれる辛さは、誰よりも分かっていた。
だからこそチョルは、見ぬふりは出来ないと思ったのだ。
<復讐の化身>
突然の嬉しい誤算に、男子たちはあんぐりと口を開ける。
「もちろんだよ!」「よっしゃー!」
「けど、度々申し訳ないけど・・代わりに」
”大魔王”はそう言って、3組との試合に出ることが決まった。
あの顔にホクロのある男に、復讐をするために———・・。
第四十四話④でした。
少し短めですみません〜〜キリがいいとこで切りました
何度も「俺には関係ない」と心の中で思っていたチョルが、行動に移すとは!
「自分と一緒にいると絡まれる」という負い目というか罪悪感みたいなものがあるのかもしれませんが・・。
素直に喜ぶ同クラ男子たちが微笑ましい・・
第四十五話①に続きます