「おはよう、ファン・ミエ」
モ・ジンソプから挨拶をされたミエは、終始下を向いて顔が見えないようにしていた。
明かに不自然である。
「ん・・ん〜?んんん・・・」
ミエの異変を目にしたチョルは、改めてモ・ジンソプの方を見た。
モ・ジンソプは変わらぬ態度で、チョルに挨拶をする。
「あぁ、おはよキム・チョル。二人して引っかかったの?
「なぁ、ファン・ミエ」
急に話を振られたミエは、ビクッと身を竦ませた。
やはり目も合わせない。
「んん?んー・・んん・・」
たまらず、キム・チョルが口を開く。
「お前何・・」「おいっ!!」
するとそこを、教師に見られた。
大声で呼び止められ、こっちに来る。
「そこ何してる!離れろ!」「おっと、それじゃまたね!」
そしてモ・ジンソプは、教師と連れ立って校舎の方へと向かった。
何かと目立つ彼は、教師から常に目をつけられているらしい。
「なーにがまたね、だ!お前キム・チョルに絡んだのか?」
チョルがモ・ジンソプの背中を睨んでいると、教師が振り返った。
何かトラブルが起こるのではないかと警戒している。チョルはすぐに視線を外した。
「行った?あの人もう行った?」
そう言って首を伸ばすミエを見て、チョルは亀みたいだと思った。
ミエは依然として挙動不審だ。
「あーびっくりした!髪どんだけ切ったのよ!」
そんなミエに、チョルは単刀直入に聞く。
「おい、もしかしてあいつにいじめられてんのか?」
「じゃあなんで隠れるんだ?」
ミエの頭の中に、バリカンで刈られるモ・ジンソプの姿が、いまだにトラウマのように残っていた。
とにかくチョルは、これだけは伝える。
「もしいじめられてんなら、すぐ俺に言えよ。分かったな?」
「え?」
「何それ〜?誰がいじめられてるって〜?」
そう冗談めかして言ったミエだが、チョルの態度は真剣だった。
「分かったな?」
その心情を受け取って、ミエは返事をする。
「うん!分かったよん」
どこか嬉しい気持ちで、ミエはその後も立ち続けた。
教師から、その拘束が解かれるまで。
<んなこたない>
そう言えばその後、ミエはチョルにこう言って笑ったのだった。
「てか、あんた私とタメなのに〜。誰が私をいじめるっての?」
しかしその後・・。
「今から身体検査を行います。あと中間テストの範囲は・・」
「ファン・ミエが全校一位だろうな。チビチャンピオン!」
いつも絡んでくる男子にそう言われ、堪忍袋の緒が切れた。
バシッ!
「きゃっ!鼻血が!」
上履きは見事男子の鼻に命中。あわや流血事件であった。
そしてまた職員室・・。
家に帰ってから大目玉だった。
「中三にもなって職員室に呼び出しなんて!」「先にあっちがからかってきたの〜!」
しかも、反省文のおまけ付き・・。
げんなりしたミエは、ムンクを連れて縄跳びに出かけた。
怒りの限りジャンプし、体を伸ばし、夜空に吠えた。
「うわーっ!」
ミエのイラつきはおさまらずに、その矛先をハサミにむける・・。
第四十三話③でした。
今のチョルにとって、ミエは妹みたいな存在なのかな
頼もしいお兄ちゃんみたいな空気がありますね〜
これがどう変化していくのか、楽しみですねー!!
ミエちゃん、上履き投げるのはダメー!
内申とか大丈夫でしょうか・・ハラハラするわ・・
第四十三話④に続きます