そしてまた朝がやって来た。
チョルは今日も一人で通学路を歩いている。
すると後ろから、小走りで近づいてくる人物がいた。
”友人”ファン・ミエである。
「おっはよ!良い天気だね!」
「はい!どーぞ!」
ミエはそう言ってあの因縁のクリームパンを差し出した。
チョルは、ミエがなぜパンにこだわるのか分からない。
「なんでまたこれ・・」「なんでかって?」
友達だから!あげる!パン!
”友達だから”という大義名分を手に入れたミエは、堂々とパンを差し出してくる。
その引力に巻き込まれるように、チョルの頭の周りでパンが踊った。
パン パン パン パン パン・・・
まるで導かれるように、ミエのパンを受け取るチョル。
そしてパン越しに手と手が繋がった瞬間、世界は光り輝いた———・・。
やった〜!
ミエはガッツポーズを決めると、固まっているチョルに念押しする。
「食べたら中のシールは私にちょうだいね!ベ・ホンギュには絶対あげないでよ!」
そう言って去って行ったミエの後ろで、チョルは呆然としながらパンを持って立ち尽くした。
一体なぜ受け取ってしまったのか分からないまま・・・。
学校内についてからも、チョルはまだ事態を把握しきれなかった。
とりあえずパンはリュックに入れてあるけれど。
すると建物の影から、ハン・ソンイが手招きをして自分を呼んでいる。
チョルはまるで導かれるように、そちらへと歩を進めた。
「本当にごめんね〜!」
ソンイは開口一番、チョルに向かって先日の自分の行いについて謝った。
モ・ジンソプに渡せなかったクッキーを、チョルを介して渡してもらうように頼んだことについてである。
「私おかしくなってたみたいで・・せっかく作ったのに断られると悔しくて・・
チョルは再び渡されたクッキーの袋を見てそう問うと、意外な答えが返ってきた。
「それはチョルになの。お詫びの印・・」「は?いや・・」
「一生懸命作ったんだ。味は保証するから!」
そう言われ、チョルは何も返せずに立ち尽くした。
少し戸惑って見えるチョルを、ハン・ソンイは温かな眼差しで見つめる。
「なんでかは分からなかったけど、去年もチョルが学校の子達と気まずくなっちゃって、
「チョルは本当に優しいね。
「それじゃあ私先に行くね」
そう言って、ソンイは先に教室へ行った。
チョルはまたも立ち尽くす。手にクッキーを持ちながら。
断りきれず気まずい・・
ミエにも、そしてソンイに対しても、断れずにパンもクッキーももらってしまった。
そして今チョルのリュックの中には、二人の気持ちが入っている。
教室のドアを開けると、出くわしたクラスメイトが少しびくついていた。
そんないつもの光景を目に映しながら、チョルは席に着いた。
まだ腑に落ちない顔をしながら。
すると。
「おはよう」
小さな声だが、ファン・ミエがチョルに話しかけた。
「宿題は順調?」
周りのクラスメイト達が、チョル達のことを見ていた。
学校では話しかけないというルールを飛び越えて、隣の席の”友人”はチョルに微笑みかける——・・。
第四十一話④でした!
またあのパンww
中にシールまで入って500ウォンのお得なパン・・
ソンイちゃんの手作りクッキー・・
みんなチョルの心配してて優しいです。
それもこれも、二人のチョルの心根の優しさを知ってるから、
みんなにも知ってほしい、もっと楽しい学校生活を送って欲しい、と思ってるんですよね
優しい世界〜〜!(号泣
第四十二話①に続きます