千の風になって

心は自由に羽ばたいて~

伊藤若冲の絵

2007-05-15 | 美術館
愛知県美術館で開かれている 「プライスコレクション 若冲と江戸絵画 」を見てきました。

カリフォルニア在住のジョー・プライスさんという方が半世紀も前に江戸時代の個性的な絵に心奪われ、集め始めたそうです。
江戸絵画はあまり興味がなかったのですが、初めて見る伊藤若冲の絵は、大変面白く、楽しくさえありました。
今回は江戸絵画を、正統派絵画・京の画家・エキセントリック・江戸の画家・江戸琳派に分けて展示してありましたが、伊藤若冲はもちろんエキセントリックの部屋に属します。

まず、大きな屏風が目に飛び込んできます。
近くに行ってよく見ると、それは無数のマス目の上に描かれていました。
これが「鳥獣花木図屏風」で、ひとマスが12ミリで屏風の左右合わせて86,000個のマス目だそうです。
江戸時代にこの奇想天外な絵を描いた事に驚かされます。
その当時は実際に見たこともない動物たちでしょうから、すごい想像力ですね。
これって、パソコンの画像のピクセルみたい? いったい何万画素になるのかしら・・・
なんて考えながら、豊富な色使いや可愛い動物達に見入ってしまいました。
幅が3・5メートルもある屏風です。

プライスさんは、この絵を自宅のバスルームのタイルの模様にするほどお気に入りだそうです。

絵葉書から


マス目はこんな風です(クリアブックから)
   



鶏の画もたくさんあり、それはそれは緻密に描いてあり、今にも鶏が歩き出してきそうな感じがするほどリアルで、力強い画でした。




繊細なレースのような羽根・・・でも嘴などとってもリアル






名古屋市にある愛知県美術館は愛知芸術文化センターの10Fにあり、テレビ塔のすぐそばです。
今回は美術館での滞在時間がたくさんあったので、美術館めぐりでは初めて、美術館内のレストランでランチをいただけました。(いつもは到着前にバスの中でおにぎりのお昼ですから、今回は優雅な?お昼でした)
帰りは、知立の無量寿寺にある八橋かきつばた園へ行く予定にもなっていて、満開のかきつばたを見てきました。

   

昔、平安時代の歌人在原業平が都から東(アズマ)へ下る途中、三河の国八橋で、美しいかきつばたを見て妻を偲びながら「かきつばた」の五文字を句の頭において詠んだという「かきつばた」の名勝地です。
     
     からころも(唐衣 )
       きつつなれにし 
         つま(妻)しあれば 
           はるばる来ぬる 
             たび(旅)をしぞおもう          伊勢物語

この日は名古屋の気温29度と言う暑さ・・・・あまりの暑さにかきつばた鑑賞もそこそこにバスに乗り込み帰路につきました。












三岸節子記念美術館

2007-04-15 | 美術館
今回も又、感動の美術館めぐりでした。
三岸節子の絵は、よく婦人雑誌に載っていて、見てはいたのですが、その絵はあるがままの花ではなく、花らしくない色の塊のような印象の絵でした。
美術館へ行って実際に花の絵を目の当たりにすると、それは迫力をもって、私の感性に迫ってくるものがありました。
天性のカラリストと書いてありましたが、豊かな色、強い色に心が揺さぶられるようでした。
やはり「炎の人」と言われるだけあります。



買ってきた画集からスキャンしてみました。

             

                   



                  

画集の中の言葉より
「花の絵を描くのはとっても時間がかかるんです。しょっちゅう、そばに花を生けて楽しんでいて、それがいつの間にか頭の中で命をもってキャンバスに出てくるのです・・・・」(85歳談)と言う言葉が印象的でした。
花が大好きだったそうでたくさんの花の作品がありましたが、花の種類の名前ではなく、題はすべて「花」でした。

一宮市で織物工場を経営していた大地主の娘に生まれながら、倒産により、困難な人生を歩んだようです。
“阿修羅のような人生”とありますが、吉武輝子著「炎の画家 三岸節子」も読んでみたくなりました。
記念館は三岸節子の生家跡に建てられていて、織物工場をイメージして、屋根が鋸型になっています。
小さな美術館でしたが、のこぎり型の屋根から柔らかい光が注いであたたかい雰囲気でした。


              

ヴェネチアをイメージした水路(水が好きでヴェネチアの絵も多いようです)。

                   



                  

20歳の時春陽会に入選した自画像



亡くなる1年前、93歳の作品 100号の大作「さいたさいたさくらがさいた」(1998年)
うねっているような烈しいさくらでした。





この日は2ヶ所の美術館めぐり・・・もう一つは岐阜県立美術館
県民の森の中、ちょうど季節柄、目にまぶしいほどの新緑に囲まれて近代的な建物の美術館がありました。



           「地中海」マイヨール




ここでは主に「ルドンと西洋の絵画」でした。
ルノアールの「泉」が一番人気だそうで、この絵だけ見に来る人もいるそうです。
他にあまり好きな絵がなかったので、私も何度も戻って、この「泉」をゆっくり鑑賞してきました。



日本画で目を引いたのが加藤東一の「木魂―薄墨桜」
花より根を重視した作品で、根の部分の描き方は圧巻でした。



この美術館は庭園が広くて、とても気持よく散策が出来ました。
人工の川が作ってありましたが、長良川をイメージしたものだそうです。

             

昨年の4月から始まった美術館めぐりもちょうど1年になり、毎月1回お会いする方たちとも顔なじみとなり、お話が弾むようになってきました。
これからもどんな美術館へ行くのか、とても楽しみです。
















美術館めぐり

2007-03-23 | 美術館
今日は穏やかで暖かないい日になりました。
先週は寒い日が続いたのに、やはり“暑さ寒さも彼岸まで”と言う言葉が納得できます。
先週のとても寒い日に美術館めぐりに行ってきました。
今回は、大津市にある滋賀県立近代美術館と琵琶湖畔の佐川美術館でしたので、
バスは西へ西へと進むのですが、天候が怪しくなってきたと思ったら、
関が原では、とうとう雪になってしまいました。
久しぶりの雪景色に興奮してカメラを取り出したんですが如何せん、バスは疾走しています。“バスよ止まれ”の声もむなしく、揺れながらの写真です。
でも最近、雪景色など見た事がなかったので、得した気分でした。

            

滋賀県立近代美術館では、人間国宝である「志村ふくみ」の紬織の展示でした。

            



たくさんの着物が展示されていたんですが、志村ふくみさんの織りと染色、特に色彩の感覚はすばらしくて、その色の魅力に圧倒されました。
植物からこんなに美しい色が生まれるのかと目を瞠る思いでした。
何か色彩のステキな小物でもと思い、帰りに売店に立ち寄りましたが、さすが人間国宝の方の作品です。
お高いものばかり・・・断念・・・でも本がありました。
買ってきたのは「色を奏でる」という文庫本です。
ステキな写真もたくさん載っていましたし、読んでみると素晴らしい感性が感じられて、心にしみわたる文章にすっかり惹かれてしまいました。
志村ふくみさんは優れたエッセイストでもあるとのこと。大佛次郎賞やエッセイストクラブ賞受賞の作品もありましたので、又いつか読んでみたいと思いました。



             少しページをめくってみます。
            
                

ここから瀬田川沿いに琵琶湖大橋の近くにある佐川美術館へ行きました。
この美術館は佐川急便が建てた美術館として有名ですが、琵琶湖を望めて、しかも水の中に建っているような美術館に驚かされます。 

            

            

主に日本画の平山郁夫と彫刻の佐藤忠良の作品が展示されています。
今期は平山郁夫の作品は「平和への祈りシルクロード」でした。



佐藤忠良の彫刻もたくさんの展示が有りましたが、どれも暖かみのある作品でした。



すばらしいデッサンも展示されていたのですが、そこでびっくりしたのは「大きなかぶ」という絵本の挿絵が佐藤忠良の作品だった事です。
で、もう一つ、びっくりは、「佐藤オリエ」という女優さんがいますが、この方は佐藤忠良さんの長女とのことでした。
昔よく、テレビドラマで見ましたっけ・・・



最後に恒例の、カフェで一休み・・・
あまり時間がないのに、このカフェでどうしてもコーヒーが飲みたくて・・・と言うのは
ここは京都で有名なイノダコーヒーが飲めるとのネット情報だったからです。
あわてて飲みましたが、とってもコクがあっておいしかったです。

             

縁は分厚いのですが、コーヒーが柔らかく口の中に流れ込むカップが気に入り、コーヒーカップとコーヒーをゲットして帰ってきました。
コーヒーは「アラビアの真珠」・・・挽いた豆が小分けの袋入りになっているのはうれしいですね。

             

今回はかなり充実して楽しめた美術館めぐりでした。





      

   


エルミタージュ美術館展

2007-02-17 | 美術館
2月の美術館めぐりは名古屋市美術館で開かれている「大エルミタージュ美術館展」でした。
タイトルに「大」と付いているくらいですから、規模も大きく、それは見ごたえのあるものでした。
エルミタージュ美術館はロシア帝政時代の首都サンクトペテルブルグに在って、世界三大美術館の一つだそうです。1万7000点もの絵画コレクションと聞けば、そのすごさに驚くばかりです。そのうちの80点の油彩画が展示されていました。
エルミタージュ美術館といえば、エカテリーナ2世が宮殿の隣に美術ギャラリーを建て、休憩の場として楽しんだところで、エルミタージュとは、隠者の庵(フランス語)という意味だそうです。
その後も膨大な絵画の収集を続けて今の美術館になったそうです。
昔、「女帝エカテリーナ」という池田理代子著の漫画を読んでロシアの帝政時代の歴史を覚えた私ですが、その宮廷文化が花開いた時代の美しいエルミタージュ美術館には、とてもあこがれています。
写真で見ると手前に川が見えますが、バルト海にそそぐネヴァ川に面しているそうです。白と金色に輝き、モスグリーン(うすいブルーグレイにも見える)色の外観の美しい建物です。
この写真は知人がこの美術館へ行った時、撮ったものをお借りしました。

        


作者不詳「聖母子」




           「野原の少女」   ルートヴィヒ・クナウス

           


      「モンマルトルのキュスティン通り」   モーリス・ユトリロ
           
            


           「リュクサンブール公園」  アンリ・ルソー
          
            


           「ヴェネティアの風景」   フェリックス・ジーム

            


            「果実を持つ女」   ポール・ゴーギャン
(ゴーギャンの妻ステラが手にしているのは、くりぬいたかぼちゃの水入れ・・・何処へ行くの?水を汲みに~~)学芸員のお話から
          
          


           「農夫の妻」       ピカソ
          


この展覧会では風景と人間の営みがテーマになっていて、美しいヨーロッパの風景と、人と自然のかかわりなどがほのぼのと伝わってくる絵画が数多くありました。




美術館の入り口までのアプローチの右側にある鳥居の形の造形、
こんな所に鳥居?・・確かに鳥居でした。
帰ってから調べてみると、この白川公園の中にある名古屋市美術館の建物は日本の伝統的な手法と色彩が盛り込まれているそうでドア枠や窓、外にも木曽川の風景、名古屋城の石垣、茶室などが見られたそうで、時間がたっぷりあったのに建物を楽しまなくて残念に思いました。やはり、前もって知識を得てから行かなくては・・と反省をしたことでした。













成川美術館

2007-01-14 | 美術館
今年最初の美術館めぐりは、箱根の成川美術館でした。成川美術館は芦ノ湖畔のちょっと小高い所にあり、展望ラウンジからの絶景が有名です。晴れていれば芦ノ湖の向こうに富士山が見えるはず。 この日(9日)は大快晴だったのでその景色を楽しみにしていましたが、途中の富士川サービスエリアで中腹に雲のかかった富士山を見た時、芦ノ湖から富士山が見えるかなあとちょっと心配になりました。



バスが箱根に入ると、深い木立の中にステキな別荘のような建物が見え隠れするので、今までのおしゃべりもちょっと休憩、景色を見ることに専念です。
美術館へ着いた時は、曇ってしまい、暗い雲が立ち込めてやはり富士山は見えなかったのでがっかりして、画を見ていましたが、“富士山が顔を出したよ”と言う声で、展望ラウンジへ走りました。このラウンジからの眺めは素晴らしいです。
何度か芦ノ湖へ来ても、ここで富士山が見えたのは初めてだったので感動し、思わず知らない方とも 良かったわねえ!と声掛け合ってしまいました。



             右手には駒ケ岳が見えます。
                 

バスの中で講師の方から、成川美術館最大のコレクション「山本丘人」について詳しい説明もあり、私も前の日にネットで得た知識もあったので、「山本丘人」の画を大変楽しみにしていました。
「山本丘人」は年代によって画風が変わっていったそうで、若い頃は大和絵風の画を描いていたようですが、戦後、厳しい自然を力強いタッチで心象風景を描き、又後年は叙情的な絵になっていったそうです。金銀箔を使った力強い画が印象的でした。写真は山本丘人の作品5点です。(買ってきた画集から)

              公園の初夏
               

              鳥と風月
               

              白い道              
               

              春雪の中
               

              地上風韻                
               


今回は成川美術館だけなので、かなりゆっくり、日本画を鑑賞出来ました。
途中、展望ラウンジの隣にあるミュージアムカフェに入り、正面に芦ノ湖と富士山、右手に駒ケ岳を見ながら、お抹茶と和菓子で休憩して、ゆっくり景色を楽しむことにしました。
時間が止まったように、ただ、ボーッと景色を眺めて過ごすのは心が落ち着きます。



              堀文子「春の籠」
               

もう一度展示場に戻り、特別展の「梅・椿展」で早春らしい華やかな美しい絵を見たり、収蔵名作展で、平山郁夫の「敦煌鳴沙」、加山又造の「猫」、東山魁夷、森田曠平などを見てから、美術館を後にして、まだ集合までに時間があったので、箱根神社まで行ってきました。♪昼なお暗き杉の並木♪・・・高く伸びた杉木立の間を息切れしながらも階段を登りつめて、お参りをしたら、清々しい気分になり、今年は何かいいことがあるのでは・・と勝手に期待しながら、湖畔沿いの散歩道を歩いてきました。

   

              

帰りのバスの中から、夕やけの色がとても素敵だったので、パチリ!!
でも、ここは何処?  おしゃべりに夢中だったので???

              







ベルギー王立美術館展

2006-11-22 | 美術館
11月の美術館めぐりで、上野にある国立西洋美術館へ行ってきました。
今は、「ベルギー王立美術館展」が開催されていて、4月からの美術館めぐりのうちでも一番楽しみにしていたものです。この日は(11月14日)は素晴らしいお天気で、富士川サービスエリアからは裾を引いた富士山が全景を見せていて、バスを降りると歓声をあげて、みんなで走り出していました。



              



東名高速道路を順調に飛ばし、渋滞気味の首都高速に入ると、ガイドさんが東京タワーが見えます・新宿で~す・あれは六本木ヒルズ・・渋谷を通過~~まるでおのぼりさんが、はとバスに乗っているような感じ・・ワクワクしてきます。

いつ来ても、上野公園は人がいっぱいです。
国立西洋美術館前には、ロダンの「考える人」・「カレーの市民」・「地獄門」などの彫刻がありました。



油彩画はベルギーが発祥の地とか・・16世紀頃の古典的ベルギー絵画をたっぷり鑑賞しました。この頃の絵画は写実的なのでわかりやすく、画面のすみずみまで楽しめます。とても人間が豊かに描かれていて、特に布(ビロード・レース・薄物)の表現には吸い込まれそう・・・
常設展に行くと、ルノワール・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホ・モネの「睡蓮」などや、20世紀絵画などもあり、今回は見るものがいっぱいで、とうとう、いつものお楽しみ、ティーコーナーでの「お茶」も断念しました。

日本初公開でこの展覧会注目のピーテル・ブリューゲルの「イカロスの墜落」
                                      (絵ハガキよりスキャン)

          

イカロスとはギリシャ神話に登場する人物だそうです。
絵を見ながら、どこにイカロスがいるんだろうと思って、よ~く見たら
画面の右下の海にばたついている足が見えました。これが墜落したイカロスでした。

ネットを見ていましたら、イカロスについて、こういう歌があることがわかりました。
ちょっとお借りして載せてみます。
小学校で歌った歌だそうです。
         「勇気一つを友にして」
                作詞:片岡 輝  作曲:越部信義
         1.昔ギリシアの イカロスは
           ろうで固めた 鳥の羽根
           両手に持って 飛び立った
           雲より高く まだ遠く
           勇気一つを友にして
         2.丘はぐんぐん 遠ざかり
           下に広がる 青い海
           両手の羽根を はばたかせ
           太陽めざし 飛んでいく
           勇気一つを友にして
         3.赤く燃えたつ 太陽に
           ろうで固めた 鳥の羽根
           みるみるとけて 舞い散った
           つばさうばわれ イカロスは
           落ちて命を 失った
         4.だけどぼくらは イカロスの
           鉄の勇気を 受けついで
           明日へ向かい 飛び立った
           ぼくらは強く 生きていく
           勇気一つを友にして

この歌はイカロスの勇気をたたえていますが、
ギリシャ神話では無謀な男として書かれているそうです。
この絵に描かれている農民達は、イカロスの墜落に気づかないかのように黙々と
仕事をしています。
なにかとても不思議な絵でした。

5時間かかって美術館へ行き、3時間絵画を鑑賞して4時間かかって帰宅。。。
う~ン・・・疲れる・・でも3時間が充実していたので、気分は大満足でしたが。。。

           







        

中川一政美術館

2006-10-17 | 美術館
10月の美術館めぐりで神奈川県真鶴町の「中川一政美術館」と伊東市の「池田20世紀美術館」に行ってきました。
真鶴町の予備知識も無く、バスに乗ってしまいましたが、熱海を通り過ぎ、途中、東名の集中工事のため大幅に遅れたこともあって真鶴半島まではなかなか遠かったです。
真鶴町はお魚がおいしそう!バスの窓から見える魚屋さんに並んだお魚がピカピカ光りとっても新鮮そう!
美術館めぐりはいつも時間が無いので、昼食はバスの中で、おにぎりを食べる。今日はおにぎりにもありつけず、(サービスエリアで売り切れていて、パンのみの昼食)
おいしい魚料理をゆっくり食べたいなあ~と、芸術に触れる前に切実な思いでおいしそうな魚をバスの窓から眺めたのでした。

真鶴半島の周囲は断崖絶壁で原生林の森があり、その先端が展望公園になっています。その樹林の中に美術館があり海を見下ろせる、とても雰囲気のいい美術館でした。

真鶴港(バスの中から)


小田原方面


           空から見る真鶴半島(ネットから写真をお借りしました)
           

入り口(建物は吉田五十八賞と、公共建築百選を受賞しているそうです)




中川一政氏は写真で見るとダンディで細身の方なのに、絵はとっても力強くて、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
今、展示されているのは「特別展・人を描く」と言うことで人物が多く展示されていたんですが、
子供を描いた絵など、顔の作りはひん曲がって描かれているのに、その内面が良く表されていて、素晴らしい描写力です。

パンフレットから
 

2階の展示場へ行くと「薔薇」と「向日葵」の絵が目に飛び込んできました。
そして、100号の箱根「駒ケ岳」! とても90歳近い年に描いた絵とは思えないほど力強く躍動感あふれていました。
この私に迫ってくるものは何だろう? 
構図も、描写もそうなんだけど、心に迫ってくるのは色かな?
この調和の取れた色たち!なんて華やかな色なんでしょう!

お花を活けてある壺も存在感があって、壺に顔が描いてある。
これはマジョリカ壺で中川氏のコレクションだそうです。
撮影禁止なのでこれは絵葉書で額に入っていませんが、実際は額縁が素晴らしく、
手作りの木で出来ていて、遊び心いっぱいの面白いデザインでとっても楽しい額縁でした。

   

外の建物に、復元されたアトリエがありました。


美術館ツアーは忙しい~~
次に向かうのは、伊東市の池田20世紀美術館
一碧湖の近く、緑の中にその美術館は青い空に映え銀色に耀いて建っていました。

日本で初めての、ステンレススチール張りとのこと。

               

               

常設にはルノワール、ボナール、ピカソ、マチス、シャガール、ミロ、ダリ等盛りだくさんの作品が展示されていました。
絵葉書から2枚
              ピカソ「近衛兵と鳩」
               

マチス「ミモザ」 コラージュ(切り貼りしたものと言う意味だそうです)
              
これはマチスが病床で、カーペットの図柄として紙で切り張りしたものだそうです。
針で止めながら、デザインしたそうで針のあとが点々とありました。
この切り貼りした紙の作品のお値段が15億と聞いて、そこに居た全員が仰天してしまいました。
もちろん、一巡してからまた、戻って作品の後ろに見える札束と?合わせて見てしまいましたよ。

帰りも、東名の集中工事のおかげで伊東市から5時間もかかって浜松へ帰ってきて、大変疲れましたが、中川一政氏の絵に出会えたことはとてもうれしいことでした。
氏は絵以外にも詩・随筆・紀行文・書・陶芸・装丁等にも才能を発揮されたそうで、これからいろいろな作品を読んでみたくなりました。

ちょっと、ミーハー的興味から・・・
系図は長男が元劇団四季副社長、舞踊評論家の中川鋭之助。
次男は映画監督中川晴之助。妻の弟は演出家・俳優の千田是也。
中川晴之助の娘に女優の中川安奈だそうです。

 








箱根 彫刻の森美術館

2006-09-17 | 美術館
9月の社会保険センター野外講座の美術館めぐりで、12日箱根彫刻の森美術館に行って来ました。
箱根と聞いただけで期待でわくわくしましたが、またまた、あいにくの雨でした。

4月から今月まで6回の美術館めぐりのうち3回も雨に降られるということは、
「私は雨女?」という言葉が頭の中にチラチラ浮かぶ始末・・・
御殿場ICから仙石原~宮ノ下~強羅などを抜けて、霧の中、彫刻の森美術館に到着しました。

チケットが配られます

少しはお願いを聞き届けてくれたのか、雨も小止みになり、70,000平方メートルの広い庭園をブラブラ歩くことが出来ました。
この広い敷地の中に有名な作家の彫刻(ロダン・ブールデル・ミロ・ムーア・岡本太郎・ヴァンジなど)が点在しています。
歩きながら、次はどんな彫刻が現れるのだろうという期待に、足取りも軽やかになり、面白い彫刻に対面すると、しばし見とれて友達と“ああでもない、こうでもない”と
ひとしきり、おしゃべりです。

さあ、自由行動

                「偉大なる物語」  
                白い大理石に彫られた群像

                「ボクシングをする二匹のうさぎ」
                イギリスの作家バリー・フラナガン作

                「ミス・ブラック・パワー」
                フランスの作家 ニキ・ド・ファールの作品


                「人とペガサス」
                天馬ペガサスに乗る英雄ベレロフォン

桂由美デザインの高透過ガラスで出来た「妖精たちのチャペル」
ウェディングベールをモチーフにしてあり、ここでブライダルもできるとか。
晴れていたらこのガラスが、どんなに耀くことでしょう!
後ろ側から撮ったもの

ショップとカフェの前にあるヘラクレス

途中、カフェでお茶をしながら、「弓を引くヘラクレス」を窓越しに鑑賞です。

ひと休み コーヒータイム

 
「ファミリー・グループ」
ヘンリー・ムーアの作品

一番奥にあるピカソ館

室内展示場も5ヶ所ありましたが、滞在時間が3時間ほどなのでゆっくりは見られなかったのですが、その中でもピカソ館はじっくり鑑賞しました。
興味深かったのはピカソが晩年、陶芸を楽しみ、その作品が多く展示されていたことです。
彫刻と絵画の要素を持った陶芸にピカソの才能が発揮されていて、面白いコレクションでした。

最後はお決まりのショップめぐり(これがかなり楽しい!)
陶器の絵柄が珍しい丸い形の絵葉書を買いました。
ピカソの大円形皿の絵柄が印刷された絵葉書のうち、4枚です。




この美術館はお天気がよければ、作品を見ながら芝生でお弁当を広げたり、とてもゆっくり出来るところです。
温泉足湯もあり、子供のための造形広場・迷路など、楽しめそうです。
今回、時間が少なくて野外作品や屋内展示館などの全部を見ることが出来なかったので、また季節がいい時に訪れたいと思ったことでした。
















佐野美術館

2006-08-15 | 美術館
8月の美術館めぐりで三島市の「佐野美術館」へ行ってきました。この日は台風の影響で一日中雨でしたが、富士川サービスエリアで、雨の向こうに富士山の全景を見ることが出来、とても不思議に思いました。ここは雨が降っているのに、富士山の周囲は雨雲が無いというわけ???頭をひねりながら、富士山を見つめてしまいました。
佐野美術館では、三島市出身の「村上豊」の特別展をやっていました。村上氏は挿絵画家として活躍している画家でNHK[江戸を斬る]のタイトルバックの絵や、小説現代の表紙絵を現在も連載中だそうです。
絵本原画も展示されていて、昔子供の絵本で見たようななつかしい絵もありました。

                       

美術館の隣には隆泉苑という有形文化財の純日本風建築の建物とお庭がありました。
         
ここのお食事処で売っている梅花藻饅頭が有名とのことで、もちろん買いました。
この柿田川に咲く梅花藻という花のイメージだそうで、小さいけれど上品なお味でした。

次に行った所は前から行きたいと思っていた柿田川湧水公園です
富士山に降った雨が地下水となり、三島溶岩流を通ってから湧き出て柿田川の流れとなっているということです。
展望台から覗くと、砂地の真ん中から、ボコボコと水が湧き出ています。
柿田川では一日に湧き出る水は100万トンとのことですが、どの位??ぴんと来ません。
そしたら、25メートルプール2000杯分と書いてあり、実感できましたが、本当にすごい湧き水の量で、びっくりしました。

                
                 

第2展望台から。  桶のようになっていて、とてもきれいな水が湧いている。



次は由比の桜えび館と由比本陣公園と安藤広重美術館に寄りました。

桜えび館で、冷凍生桜えびのてんぷらの作り方を教えてもらいました。普通のやり方では、卵・水・小麦粉を溶いておいて、その中に桜えびを入れて衣をつけて、揚げますよね。
でも、冷凍生桜えびをザルにあけて、水をかけて解凍したら、そこへ小麦粉だけを振り入れて、揚げるんだそうです。そのやり方で、その場で揚げてくれたのを試食しましたが、カラッとしていてとってもおいしかったんです。私はいつも生桜えびだけで揚げると、ボテッとしてしまいましたが、今度はこのやり方で揚げてみようと思いました。

               
        
この3枚ののし袋は、由比本陣公園の売店で3枚100円で買いました。「可愛いデザインねえ・・」と売店の人に云ったら、「私が作っている消しゴム版画なんです」と恥ずかしそうに売店の若い娘さんが答えてくれました。
どんな時に使おうかな・・・とても楽しみです。





諏訪北澤美術館

2006-07-13 | 美術館
社会保険センターの野外講座・美術館めぐりに参加しました。
行き先は諏訪の北澤美術館です。

50人近い参加者を乗せて雨模様の中、バスはひたすら諏訪湖畔へと走りました。

4時間ほどかかりましたが、バスの中では、講師の方のお話を聞いたり、友人と世間話・身の上話?などのおしゃべりをしていれば、もう、三角屋根の北澤美術館の前です。
この美術館は、アール・ヌーヴォー期のガラス工芸品を数多く所蔵しているというので、ワクワクしながら中に入ると、真っ先に目に入るのがエミール・ガレの「ひとよ茸ランプ」です。
カメラを持っていくのを忘れたので(最近、とみに忘れっぽい!)、画像はパンフレットと買ってきた絵葉書からのスキャンです。
ちなみに、ここの美術館は、展示品の撮影をしてもいいそうです。
なので、余計にカメラを忘れたことが悔やまれました。

                  

「ひとよ茸」って変な名前のキノコですよね。
説明の方によると
「ひとよ茸」というのは、腐った樹木の中から一夜にして育って、朝が来る前に死んでいく・・一夜だけ開いて・・・朝には消えてしまうというキノコで、とても小さなキノコだそうです。
そんな小さなキノコをモチーフにしてのこのランプは、高さ83センチの作品です。
とても大きいインパクトのあるランプでした。
はかない命のキノコをモチーフにしたのは何かわけがあったのでしょうか・・・・

エミール・ガレはこの頃白血病を病んでいて、2年後に亡くなっています。
明かりが入ると、鮮やかに赤々と燃え、エネルギーが伝わってくるようです。

本物のひとよ茸 (ネットから)


エミール・ガレの作品は、昆虫や海の生物などが登場することが多く、グロテスクに思い、今まであまり感動しなかったのが、ここの作品では、ガラスへの細かい彫刻・エッチング・色の美しさに感動し見入ってしまいました。

                   

                   

                   


北澤美術館新館(本館から車で10分ほど)では、これもピンクの色が美しい「フランスの薔薇」が素晴らしく、何度でも見たくて、他の作品を見ながら、またそこへ戻る・・・を繰り返してしまいました。




今回の美術館めぐり、出かける前は、ガラス工芸だけでちょっとつまらないかなと思っていましたが、たくさんのエミール・ガレの作品、ドーム兄弟、ルネ・ラリックの作品などガラス技術の素晴らしさなど、とても見ごたえがありました。
滞在時間3時間半、本館には日本画の展示も少しあり、東山魁夷・杉山寧・山口華楊・上村松篁なども楽しめて満足のいく美術館でした。
もちろん、湖の見えるレストランで、お茶をしてガラスショップも一通りまわって・・・充実充実!!でした。