一般的に音楽用語では、fは強く、pは弱く、で理解が定着している感じがありますね。
でも例えば、強くとされるfがどんな音なのかというと、近くに感じる音であったり、pは遠くで鳴っている音…つまり音は距離感に関連しているような感覚を持ちます。
空間を満たす空気の中に、音がどう存在するかという視点でもありますが、それが気になるのは竪琴(ライアー)が、他の楽器より残響を聴き届ける場面が多いからかと思います。
狭い部屋での演奏も、広い空間をイメージ出来るように、楽器から出てくる音をどう放ち残していくか・・・進む時間の中で、空気中の音の漂い加減を見つめながら、音を進めていく感じです。
…言語にするのはなかなか難しいですが、音や音楽は様々なイメージを広げ、別世界を生み出してくれる不思議さがありますね。
そして曲中の各音のバランスもまた、音楽の奥行きの印象に関わりますし、生音・録音の状況に応じた演奏の配慮も、音の響きの立体感などに影響してきますね。
ある著名な舞台芸術家の方(確か野村萬斎さんだったと思うのだけど)が、演じることに関して、「空気を味方につける」とか、「空気をまとう」というような発言をされていて、その言葉がとても心に残りました。
広くて大きな会場の空間をも一つにする、求心的な芸術表現なのだろうと感じました。
…私自身も空気と共に、様々なイメージを持ちながら奏でていきたいと願う日々です。
それとは別に、誰かに届けるための音楽、として空間や対象を意識した音楽づくりがあるようにも思います。それは先生の求心力のお話しに繋がるのかな…。お客さまを愉しませる、相手の心を掴む音楽ですね。
私はまだそこまでの余裕は演奏に持てませんが少しずつ意識していけたらと思います。むしろ意識し過ぎるから緊張してしまうのでしょうか…?
何を考えているのか…言葉にしなくても音楽に現れてくるのは本当に面白いなと思います。
そして、お客様に満足して頂ける演奏が出来たら、演奏者冥利に尽きますね。つい一生懸命になってしまいますが、演奏はコンディションなどにも影響を受けますし…今の自分を許し楽しむことも忘れず、ベストを尽くすよりないのではと思います。