前回の記事でご紹介した演奏者は、メストレさんと書きましたが、グザヴィエさんの方が呼び名として相応しいようで、大変失礼しました(友人との間でメストレさんと呼んでいたためそう思い込んでいました(^_^;))。
--あの動画を紹介したのをきっかけに、色々と考えていました。
「アルハンブラの思い出」はオリジナルがギター作品で、同じ音を連続して速く弾く「トレモロ奏法」を美しく活かす作品だと思うのですが、ハープで弾くこの曲も、同じように旋律を浮き立たせる伴奏形がトレモロ的に使われています。爪弾くような弾き方がギターに似ているから、違和感なく同じ形に移し替えられるのですね。
「アルハンブラの思い出」という曲の魅力・真骨頂がトレモロであるなら、竪琴ではこの作品の竪琴アレンジは不向きということになります。竪琴は「残響を味わう楽器」で、一方トレモロは、音を持続させるための奏法…。なので両立しづらい…。ただ、和声的には音が伸びていても刻まれても同じ響きを保っているので、不協和音になることはなく耳障りではないとは思います。
この曲の旋律だけを掬い取ったら、きっと竪琴でも自然に弾くことが出来ますね。でもトレモロなしのアルハンブラ・・・作曲家タレルガは何と言うでしょう。また聴く人にとって、特にこの曲にギターで馴染んでいる人にとってはどうでしょうか。。
また、例えば、トレモロではなくシンプルな和音の伴奏形にしたら、それはそれで作品として美しいのではないかと私には思えますがどうでしょう。(音楽の方向性が少々違ったものになるかも知れませんけれども。)
ギターでは、トレモロ奏法がよく使われますね。ピアノの場合は連打という言い方をして、一音であれば指番号を替えながら同じ音を連続して速く弾きます。和音の連続打鍵もありますし、和音を2つに分けて交互に打鍵することでトレモロの効果を出すこともあります。またヴァイオリンなどの弦楽器では、弓を小刻みに動かすことで、ざわついた感情や緊張感を表現したりします。また連続する音を弱い音から強い音にしていくことで、音楽の推進力を強めたりすることが出来るように思います。
ギターは弦を爪弾くという演奏法がトレモロに向いているわけですけれども、ピアノはどちらかというと弾きづらい奏法です。ヴァイオリン等では弓を動かす醍醐味?なのか頻繁に曲に使われています。
楽器の奏法と演奏表現の関連性はとても密接で、他の楽器の特性・表現の向き不向きなどを知るにつけとても興味深く感じます(ちょっと長い雑感でした。)