川塵録

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「至誠通天」は孟子の言葉ではない

2024年09月29日 | 古典・漢籍
「至誠通天」。至誠、天に通ず。

孟子の言葉としている人がとても多いが(林官房長官など、こちら)、孟子の言葉ではない。

孟子の大ファンだった吉田松陰の言葉としている人も多いが、松陰の言葉でもないはずだ。

自然発生期に生まれた言葉?

ま、いずれにせよ、松陰が好きだった孟子の

 至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり

を表す言葉。

松陰はこういう、精神主義というか楽観主義というか、悪く言えばナイーブなところがありました。

彼の言葉に

 一誠兆人を感ぜしむ

ってのがあります。私の「誠」は一「兆」の人を感動させるんだ、と。

すごい思い上がり。すごい気概。すごい楽天的。

彼は、その「一誠」「至誠」でアメリカに行こうとしたが、行けず、挫折(下田渡海事件)。

その後5年半、幽囚の生活を続け、刑死しました。我々が知る松陰の言葉は、ほぼすべて、この死の前5年半の幽囚生活の中で出された手紙からです。

獄中の囚人が悔しさを吐き散らした言葉です。それが晋作ら松下村塾塾生を奮い立たしめ、後世の人達を奮い立たしめました。

本稿は以下の2冊に負っています。

 

 
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