ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

旧優生保護法に違憲判決

2019-05-31 11:18:03 | 日記
むかし行われた強制不妊手術に対して、違憲の判決が下された。メディアは次のように伝えている。
「旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、宮城県の60代と70代の女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁(中島基至裁判長)は28日、『旧法の規定は憲法13条に違反し、無効』との判断を示した。賠償請求については、すでに請求権が失われているとして棄却した。」
                (日本経済新聞5月28日)

仙台地裁のこの判決は、(一見すると)しごく真っ当なものであるように思える。憲法13条は、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」について「最大の尊重を必要とする」と謳うが、強制不妊手術は自由権も、幸福追求権も蹂躙するものだからである。

だが、天邪鬼爺としては、あえて次の問題を提出したいと思う。コカインや大麻の使用者は、では、なぜ逮捕されるのか。逮捕という自由権の剥奪行為は、なぜ違憲とされないのか。

「おいおい、憲法13条をよく読んでみろよ」という声が聞こえて来そうである。憲法13条には、たしかに「公共の福祉に反しない限り」という限定条件が付けられている。つまり、「公共の福祉」に反する行為に対しては、憲法13条は適用されないということである。コカインや大麻の使用者が逮捕され、自由を剥奪されても「然るべきだ」とされるのは、彼らの行為が「公共の福祉」に反する行為だからなのである。

私は以前、本ブログで次のように書いたことがある。
「大麻を摂取して、国民の大半がまったりした気分になり、働く意欲を失えば、産業も社会も活気を失い、経済は停滞するだろう。それだけではない。自衛隊員の大半がドラッグにハマり、部隊の士気が衰えたりすれば、国家の防衛は一体どういうことになるのか。」(3月14日《コカインはなぜいけないのか?》)

それでは強制不妊手術の場合はどうなのだろうか。不妊手術を強制されることで自由を剥奪され、幸福追求権を蹂躙された人たちは、「公共の福祉」に反する可能性を持つ、そういう人たちだったのだろうか。ここで、次の事実を念頭におく必要がある。強制不妊手術は(旧)優生保護法に基づいて行われた、という事実である。(旧)優生保護法は、ある特定の(知的障害を持つ)人々の断種は「公共の福祉」に資することとみなしていた。

科学的(とみなされた)当時の知見からすれば、強制不妊手術は自由権や幸福追求権の侵害である以上に、「公共の福祉」のために行われるべき「然るべき」措置とみなされたのである。

今日の科学的知見からすれば、知的障害を持った人たちの断種は「公共の福祉」に資するものなどではなく、もっぱら彼らの権利を侵害するだけのものだということになるが、こうした見地から、強制不妊手術と、その法的根拠となった(旧)優生保護法を弾劾するのなら、この悪法の根拠になった(当時の)優生学的知見をも弾劾すべきだろう。

仙台地裁は、原告の賠償請求を棄却した。仙台地裁の裁判官は、弾劾すべき対象を、きちんと見通していたのかも知れない。当時の優生学には、賠償金の支払い能力などあるわけがないからね。
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プラごみ問題に朗報が

2019-05-30 11:47:10 | 日記
朗報である。まずは次のニュースに目を通していただきたい。

「サントリーホールディングス(HD)はすべてのペットボトルを再生するシステムを確立する。2030年までに新たな化石燃料を投入せず、再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂と植物由来の素材を組み合わせて代替、循環させるようにする。廃プラスチックによる海洋汚染を防ぐ日本発のプラ資源循環のモデルとして、期待される。」
                 (日本経済新聞5月28日)

 このニュースでは「(再生システムを)確立する」、「循環させるようにする」となっていて、「確立した」、「循環させるようにした」と書かれていないのが気になるが、サントリーのホームページでは、「飲料用PETプリフォーム製造で「F to Pダイレクトリサイクル技術」の開発に成功しました」と明言されているから、ペットボトルのリサイクル技術は、2030年の完成に向けて、確実に緒についたと見てよいのだろう。やれやれ。

このニュースはなぜ朗報なのか。なぜ朗報だと私は考えるのか。それは、このニュースが「科学技術の勝利」を我々に告げ知らせるものだからである。ーー思い返せば、このところ我々は「科学技術の敗北」を痛いほど思い知らされてきた。現代科学技術の粋とも言える原発施設が事故を起こし、広範な放射能汚染をもたらしたあのフクシマ2011の出来事は、まだ我々の記憶に新しい。それだけではない。現代の科学技術は地球温暖化をもたらし、その結果として頻発する異常気象に、我々は日々悩まされている。

とどめを刺したのは、(プラごみによる)海洋汚染が看過できないほど進んでしまっている、という深刻な事実の発見だった。科学技術による環境破壊はついにここまで来たのか、と私は危機感にとらわれたのだった。

危機感を懐きながらも、ペットボトルの消費者として加害者の側に身をおかざるを得ず、日々、忸怩たる思いを拭いきれなかった私が、「プラごみのリサイクル技術が開発された」との報に心を躍らせたことは、言うまでもない。そのことは以前、本ブログで報告したが(5月21日《プラごみ問題の救世主なのか》)、この記事で私が取りあげたリサイクル技術は、まだ研究室段階にとどまり、実用化以前のものだった。

しかし、きょう冒頭で紹介したサントリーの技術開発の報は、この技術がいよいよ実用化段階に達したことを、我々に告げ知らせるものなのである。加えて、きょう届いた次のニュースも、私の心を明るくした。

「海洋プラスチックごみの削減に向けた政府の行動計画案がわかった。全てのペットボトルを再生など有効利用するよう支援に取り組むほか、海に流出しても影響の少ない素材の開発などを盛り込んだ。政府は6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で対策を議題の柱の一つに据える方針。日本が先んじて総合的な取り組みを示し、議論を主導する狙いがある。」
                 (日本経済新聞5月30日)

しかしなあ・・・。苦労症の天邪鬼爺は考える。残るのは「核のごみ」をどうするかだよなぁ。でも、こればかりはどうしようもないのではないかな。そのうち、これもどうにかなるのだろうか。そうであってくれれば良いのだが・・・。
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大麻はいけない、のはなぜ?

2019-05-29 12:26:15 | 日記
きのうは「大麻はなぜいけないのか」について考えた。大麻は、タバコやアルコールよりも依存性、身体有害性がともに遥かに低いだけでなく、医療面での有効性も認められるから、それ自体としては決して「悪い」ものではない、ーーそう書いた矢先に、こんなニュースが飛び込んできた。
「厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は28日、覚醒剤と大麻を所持したとして、文部科学省のキャリア官僚で初等中等教育局の参事官補佐、福沢光祐(みつひろ)容疑者(44)を覚せい剤取締法違反(所持)と大麻取締法違反(同)の疑いで現行犯逮捕した。同部によると、福沢容疑者は『使用するために持っていた』と容疑を認め、大麻については『大麻とは知らなかったが、違法薬物と認識して葉っぱを持っていた』と供述している。」
                    (毎日新聞5月28日)

ことさらこうしたニュースを取り上げるのは、このニュースを知ったときの、私自身の心の動きを知っていただきたいからである。正直に申しあげよう。逮捕された文科省の福沢某に対して、私は「けしからん奴だ!」という思いを懐いたのだった。それは、犯罪者に対して懐くのとさほど変わらない忌避の思いだった。なぜ私はそんな思いを懐いたのか。「麻薬」と呼ばれる薬物を所持することも、使用することも「悪いことではない」と考えるその私が、「けしからん奴だ!」という思いを懐いたのは、一体なぜなのか。

そのとき私がイメージしたのは、大麻を摂取して、まったりとラリっている福沢某の姿だった。「おい、お前はキャリア官僚なんだろう、しっかり仕事をしろよ、この税金ドロボーめ!」

こう罵りながら、私はこの言葉があのアホ丸山議員(ーー酒に酔って、「女を抱かせろ」と叫いたという、あのアホ丸山議員ーー)に向けた言葉と、さほど変わらないことに気づいたのである。「おい、お前は国会議員なんだろう、恥を晒さずにしっかり国会議員の仕事をしろよ、この税金ドロボーめ!」

アルコールにしろ、大麻にしろ、コカインにしろ、我を失うほど過剰に摂取すれば、それこそ議員失格、官僚失格、社会人失格、人間失格、命取りである。大麻やコカインを取り締まるのなら、国はアルコールの所持や摂取も厳しく取り締まるべきだろう。まあ、私自身、若い頃には酒に酔って何度か失敗も重ねたけど、今は年老いて、嚥下障害のためにあまり酒が飲めなくなってしまったから、こんなことが言えるのだけれどね。
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大麻はなぜいけないのか

2019-05-28 15:36:46 | 日記
ピエール瀧がコカイン使用の容疑で逮捕されてから2ヶ月あまり、この異色タレントの話題はすっかり聞かなくなった。と思ったら、今度は新顔・元KAT-TUNの田口淳之介、小嶺麗奈の登場である。こちらはコカインならぬ大麻の使用容疑での逮捕だが、この種の「犯罪」が起こるたび、私はこうつぶやきたくなる。
「コカインなどの違法薬物はなぜ『違法』薬物とされ、使用が禁止されるのだろうか。使用していたことがバレて逮捕されると、当事者はなぜ極悪人扱いされなければならないのだろうか。」(3月14日《コカインはなぜいけないのか?》)

このほど、新顔・元KAT-TUN田口淳之介、小嶺麗奈の登場とともに、私と同じ問題意識から書かれた記事が、サイト「リテラ」に掲載された。5月24日配信の《元KAT-TUN田口淳之介・小嶺麗奈の大麻逮捕報道で玉川徹も疑問! 酒やタバコも依存性あるのに“大麻だけ悪”はフェアじゃない》である。

この記事は「大麻を凶悪犯罪であるかのように報道する風潮」に異を唱え、「大麻は、タバコやアルコールよりも依存性、身体有害性が両方ともはるかに低い」と主張している。依存性、身体有害性が大麻よりはるかに高いタバコやアルコールが摂取を禁じられていないのに、大麻の使用はなぜ「悪い」こととされるのか。
「大麻の使用はなぜ悪いのか?」ーーこの疑問を突きつけても、「悪いから悪い」としか答えない、マスコミを含めた我々の思考停止の現状を、この記事はあらためて俎上にのせようとしている。

この記事が強調するのは、海外では日本とは違い、大麻の医療面での有効性が認められ、医療用大麻が広範に使用されているという現状である。それなのに日本では「大麻=危険な麻薬」という意識が根強くはびこり、この国は国際的な潮流から大きく遅れをとっている。

それはなぜなのか?日本だけがそうした潮流に背を向け、大麻の使用を解禁しないのは、一体なぜなのか?ーー肝心のこの問いが、しかし(残念なことに)この記事には欠けている。

本ブログの読者なら、憶えておいでの方も多いだろう(と思いたい)。この問いに対する私の答えは、次のようなものだった。
「大麻を摂取して、国民の大半がまったりした気分になり、働く意欲を失えば、産業も社会も活気を失い、経済は停滞するだろう。それだけではない。自衛隊員の大半がドラッグにハマり、部隊の士気が衰えたりすれば、国家の防衛は一体どういうことになるのか。」(3月14日《コカインはなぜいけないのか?》)

この私の考えは今でも変わらないが、さて、それでは「リテラ」の記者はどう考え、どう答えるのか。ちょっぴり意見を聞いてみたい気がする。
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日米の密約を見逃すな

2019-05-27 18:06:15 | 日記
きのう本ブログで、私は次のように書いた。

「リテラ」の編集者さんよ、リベラルを気取るのなら、権力批判もいいけど、もうちょっと弱者への配慮があってもいいと思うのだけどね。

誤解のないように付け加えるが、こう書いたからといって、私はべつに「リテラ」の権力批判の姿勢を批判しているわけではない。「リテラ」の権力批判記事には、むしろ(時には)瞠目すべきものがあると私は思っている。例えばきのう5月26日に配信された記事《トランプ大統領がツイッターで、安倍首相の国民騙す“関税密約”暴露!「日本の7月の選挙が終われば農業で大きな数字」》。

この記事は次のように主張している。
「その過剰接待ぶりでアメリカの属国ぶりを遺憾なく見せつけているトランプ大統領来日だが、メディアは案の定、批判することもなく『ゴルフ後の昼食はダブルチーズバーガー』『トランプ大統領の登場で国技館も大盛り上がり』などと騒いでいる。ところが、そんななか、トランプ大統領が自らTwitterで安倍首相による“国益差し出し”の裏取引を暴露した。」
ここには3つの主張が織り込まれている。
1.来日したトランプ米大統領への過剰なまでの接待ぶりは、日本がアメリカの属国であることを如実に示している。
2.日本のマスゴミは安倍政権のこうした「アメリカのポチぶり」には目をつぶり、トランプ大統領を歓迎する国民の有様だけを報道している。
3.トランプ大統領は日米の裏取引(密約)をツイッターで暴露した。

この3つの主張のうち、1の背後にあるアンチ安倍の姿勢が、2の主張に結びつき、また、前日の記事《安倍首相がトランプ接待で「大相撲の伝統」破壊! 天皇にもしない升席に椅子用意、スリッパで土俵に》を書かせていることは、見やすいところである。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

安倍憎しの感情が、大統領の大相撲観戦をケシカランものに見せてしまう。安倍憎しの感情を持たない人から見れば何でもないことが、さも一大事のように思えてしまうのである。

それよりも私が注目したいのは、3の主張である。アメリカの農民層を支持基盤にするトランプ大統領は、アメリカ農産物への日本側の関税を大幅に引き下げるよう、これまで日本政府に対して執拗に要求してきた。この圧力に抗しきれなくなった日本政府は、裏取引をして、次のような密約を交わしたというのである。
「日本はアメリカ農産物への関税の大幅引き下げを行うが、その実施時期は参院選後とする。」
アメリカ農産物への関税の大幅引き下げを行えば、日本の農民は大きな痛手をこうむる。参院選前に関税の引き下げを行えば、安倍自民党が大敗を喫するのは火を見るよりも明らかである。そこで政府は、関税引き下げを参院選後に実施することにし、これを認めて欲しいとトランプ大統領に懇願して、このほど密約の成立に至ったというのである。

これは「選挙のためだけに国益を売り渡すという背信行為」であると「リテラ」は糾弾するが、たしかにこれは大事(おおごと)であり、これが事実ならマスコミもこの事実をきちんと取り上げるべきだろう。こうした記事に、私は「リテラ」の本領を見るのである。
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