ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

プラごみ問題の救世主なのか

2019-05-21 14:52:40 | 日記
ちょっぴり明るい話題だ。プラごみ問題の解決につながる(かも知れない)、画期的な技術開発の話である。

プラごみはなぜ問題なのか。それは、プラごみ(プラスチック製品の廃棄物)が「核のごみ」と同様、深刻な環境破壊をもたらすからである。核のごみについて言えば、原発事故等によって排出される放射性物質は、まず周囲の植物に取り込まれ、分解されないまま食物連鎖によって次に野生動物へ、そして人間へと広がり、そのまま自然界を循環する。

プラごみの場合はどうか。流木や海藻なら微生物などの働きでやがては分解され、二酸化炭素や水などに戻っていくが、プラスチックはいくら小さくなっても分解してなくなることはない。しかも、小さなプラスチックは、海の生き物がエサと間違えて食べてしまうことがある。海の生態系への影響が懸念される所以である。海はプラごみのたまり場として、長いあいだ地球の環境を汚し続けるのである。

こんな記事を見つけた。
「海に流れ出たゴミは海流にのり、海上には吹きだまりのようにゴミが集まる場所ができます。太平洋の真ん中に、そんな場所が見つかったのは実は30年も前のこと。そして現在、その大きさはなんと、フランスの面積の3倍あると言われています。」(朝日新聞 GLOBE+ 2018.12.17)

この朝日新聞の記事は、プラごみ問題を解決するべく、現在、世界各国で行われているさまざまな取り組みの例を紹介している。
使い捨てレジ袋をを廃止したり、プラスチック製ストローの使用を廃止したり、パッケージにリサイクル素材を使うことにしたり・・・。このほか、食品包装がゴミにならないよう、海藻を原料としたEdible Packaging(食べられる包装)を開発するインドネシアの試みや、1日で常温の水に溶けてなくなる100%オーガニックレジ袋を作るインドの試み、プラスチックゴミを燃やして燃料に戻す技術を開発したインドネシアの試みなども紹介されている。

こうした種々の試みと比べて、冒頭で言及した新しい技術開発がとてつもなく画期的であるのは、それが(分解不可能と考えられていた)プラスチックを、分解可能な物質、ーーしたがってリサイクル可能な物質へと作り変える技術だからである。記事は次のように述べる。
「このほど米国エネルギー省のLawrence Berkeley National Laboratory(Berkeley Lab)において、分子レベルに分解し、再び質を落とすことなく新たな製品に作り替えられる、プラスチックの新素材PDK(polydiketoenamine)が誕生したことが、明らかにされました。
いわゆる現行のプラスチックのポリエチレン(ポリマー)は、原料のエチレン(モノマー)を、化学物質で接合してできあがった高分子化合物です。しかしながら、この構造ゆえにプラスチックを再び分解するのは容易ではなく、たとえ分解してから新たな製品へ接合し直せたとしても、大幅に強度が劣ってしまう問題を抱えています。
でも、PDKであれば、特定の酸性の物質を加えるだけで、きれいに分子レベルまで分解され、また一から十分な強度を備えたプラスチック製品を簡単に作り上げられるんだとか。」(GIZMODO 5月19日配信《環境問題の救世主となるか。完全にリサイクル可能な新プラスチックが誕生》)

この技術はまだ研究段階にとどまり、実用化以前のものだというが、もしこの技術に実用化のメドがつけば、これはプラごみ問題の救世主になるかも知れないのである。PDKを開発した人は、ノーベル賞間違いなしだろうね。
コメント
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