ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

北朝鮮の「衛星」発射の報に思う

2023-05-31 14:29:29 | 日記
テレビを見ていると、「ニュース速報」という文字が、画面上部に表示されることがある。あれを「テロップ」と言うらしいが、スマホの場合は何と言うのだろうか。

けさベッドから起きだす前に、スマホで「朝日新聞紙面ビューア」を眺めていたら、「北朝鮮 ミサイルを発射」と速報の表示が現れて、すぐに消えた。次には、「ミサイル 沖縄方面に 政府はJアラート」の文字が現れた。

「おお、早かったな。きょうのブログ、ネタはこれで行くとするか」と、私は寝ぼけ眼(まなこ)をこすりながら考えた。
ほんの数秒前まで、私は朝日新聞の第1面に「同性婚認めぬは違憲 2例目」と大きく見出しがあるのを見て、「よし、きょうはこのネタで行くか」と考えていたのだった。
唐突な、慌ただしいネタの変更である。あれにしようか、これにしようかと迷う時間はなかった。思い悩むこともなかった。悩んだとしても、それは嬉しい悲鳴というべきもの、どんな形であれ、書くべきネタがあることは喜ばしい限りである。

北朝鮮のミサイル発射ーー。きょうはこれで行こう。そう決めた私は、スマホでの作業を、さっそく(このネタに関する)情報収集へと切り替えた。

私が収集・確認できたのは、断片的ではあるものの、以下のような展開である。

1.北朝鮮がミサイルを発射。ミサイルは沖縄方面に、との情報。(日本政府ーー防衛省ーーがこの情報をキャッチした経緯については不明)

2.この情報に基づき、政府は沖縄地方にJアラートを発出。(同時に、破壊措置命令により、自衛隊が「PAC−3」や「SM−3」を操作して迎撃体制をとったかどうかは、不明)

3.北朝鮮が発射したのはミサイルではなく、衛星ロケットだったことが判明。この飛翔体がすぐにレーダーから消えたことが確認される。(韓国軍による情報提供)

4.この情報に基づき、日本政府はJアラートを解除。

テレビならもっと詳しい情報が得られるかもしれないと思い、私はのろくさとベッドから起きあがった。食卓のテレビ(NHK)は、案の定、北朝鮮ミサイル関連のニュースを流していた。内容は、私がネットで収集したのとほとんど変わらない。それだけのわずかな情報を、何度も何度も、くどいほど何度も何度も、繰り返していた。

台風とか、大地震とか、国民の皆様の災害にかかわることになると、このテレビ局は俄然ハッスルして、というか、時間だけはたっぷり費やして、まるで気の抜けたビールのように同じ情報を、意味もなく、無駄に、ただ延々とリピートし垂れ流す。よかれと思ってのことなら、独善も甚だしい。

きょうのミサイル情報も同じだった。同じ情報を、意味もなく、無駄に、呆れるほど延々とリピートし垂れ流すばかり。いつもなら「朝ドラ」が始まる8時が迫っていた。「きょうの朝ドラは放映中止だな」。案の定、その通りになった。「放映は中止にします」の断りもなく、「そんな番組、ありましたっけ?」とでも言いたげな番組の展開である。「こんな国民の非常時に、朝ドラに現を抜かすなんて、非国民も甚だしい」。国際報道部の部員も、番組編成部の部員も、そう思っているのだろう。

8時過ぎから、政府は国家安全保障会議(NSC)を開いたらしいが、それ以外に目立った動きは報じられなかった。自衛隊の迎撃ミサイルは出番がなかったということだろう。

アホらしくなって、私はテレビのスイッチを切った。
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北朝鮮の「衛星」発射通告に思う

2023-05-30 11:12:36 | 日記
北朝鮮が「衛星」を打ち上げると通告してきた。軍事偵察衛星の可能性があるのに、「いや、これは実際は弾道ミサイルの発射だ」、「このミサイルは日本の領域を通過する可能性がある」、「これが日本の領域に落下したら、日本国民の安全に係る重大な問題だ」などの推測を繰り出し、「待ってました!」とばかりに、日本政府は浜田防衛相の名で「破壊措置命令」を出し、このミサイルを迎撃すべく、地対空誘導弾「PAC−3」の部隊を沖縄諸島に配備するとともに、迎撃ミサイル「SM−3」を搭載したイージス艦を近海に展開させた。

これまでとはえらい変わりようである。これは日本の国家防衛の一つのターニング・ポイントを示す象徴的な出来事ではないか。そう私は感じている。

北朝鮮のミサイル発射に対して、これまで日本政府は韓国から情報をもらうばかりで、全く何もできなかった。できなかったのか、しなかったのか、そのあたりは分からないが、これまでは「Jアラート」で国民に警報を出すのが関の山。それが今回は、「寄らば斬るぞ」のアグレッシブな姿勢へと変わったのである。これは紛れもなく明らかな変化である。

日本政府は「待ってました!」とばかりに迎撃体制を整えた、と私は書いたが、岸田首相直々の音頭取りで「敵基地攻撃能力」を保有した日本は、これを「試し撃ち」する機会を虎視眈々と窺っていたはずだ。「北が次にミサイルを打ったら、これが絶好のチャンスだ」と、満を持して待ち構えていたに違いない。

問題は、日本政府のこの豹変ぶりを、どう評価するかである。危険なミリタリズムの兆候とみなし、これに「NO!」を突きつけるべきなのか。
それとも、国民の安全・安心を守る当然の対処とみなし、「いいね!」の拍手を送るべきなのか。

私が不思議だと思うのは、新聞にもネットにも、これに関する評価が全く見られないことである。新聞社説に限れば、この話題を取りあげたのは以下の3紙だけ。

朝日新聞《北朝鮮「衛星」 挑発の中止 強く求める》
読売新聞《北の発射予告 「人工衛星」に潜む軍事的脅威》
産経新聞《北朝鮮と拉致 まず軍事的挑発をやめよ》

見出しからも判るように、これらはいずれも北朝鮮の「挑発」を非難するだけで、日本側の対処を論(あげつら)うことを狙ったものではない。
ただ、朝日の社説の末尾には、見るべき見解が示されていた。

北朝鮮の動きを抑えるには、一定の圧力や抑止力の強化は必要だ。だが、それだけでは問題が解決しないことも、歴史的な経緯から明らかだ。過剰な対応は、北朝鮮の暴発リスクを高めることにもなりかねない。北朝鮮と関係が深い中国をいかに巻き込むかも含め、北朝鮮を対話の道に引き寄せるために何ができるのか、改めて知恵を絞るべきときだ。

この文章が示すように、朝日は今回の政府の対応を「過剰な対応」だとみなしている。この判断が妥当かどうかも含め、今回政府がとった対応の是非については、これを主題として検討の俎上にのせ、もっともっと議論を深めるべきではないだろうか。
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長野の猟銃立てこもり事件に思う

2023-05-29 13:56:29 | 日記
このところ朝日新聞の記事に触発され、米中問題や対中包囲網の問題にかかずらってきた。この問題の検討に一区切りがついた今、息もつかせず降りかかるのは、「次のネタ」問題である。

ネタ探しの目で眺めると、「長野猟銃立てこもり事件」はとても示唆に富む魅力的なネタであるように思える。

長野県中野市で4人が殺害された事件で、逮捕された容疑者は女性2人を殺害した動機について『2人が散歩中に自分をばかにしていると思った』などと話していたことがわかっています。
警察は悪口を言われたと思い込み襲った疑いもあるとみていて、恨みを抱くようになった時期やきっかけについて調べを進めることにしています。

(NHK NEWS WEB 5月29日配信)

こうしたニュースを聞いて、だれもが懐くのは、この事件の犯人・青木政憲(31)なる男は、トンデモな妄想に囚われたものだ、という唖然とした思いである。この男は、他人とうまくコミュニケーションがとれず、独り引きこもりがちな自分に、激しい劣等感をいだき、そんな自分に呪いに近い感情を懐いていたはずだ。この感情は、どす黒い怨念となって近所の他人に向けられ、激しい憎悪と敵意に変わる。この事件の場合は、それが殺意に発展したということだろう。

この男・青木某のそうした被害妄想の心的傾向は、今に始まったことではないのではないか。この男は大学在学中にいじめを受けて大学を中退したと言っているらしいが、「いじめを受けた」というのは、自分で勝手にそう思い込んでいるだけで、実際には「いじめ」などなかったに違いない。

だいたい一端(いっぱし)の大学生が中学生の悪ガキみたいに同級生に「いじめ」をはたらくなど、そんな話は聞いたことがないし、そんな悪ガキが在学するアホ大学がこの日本に存在するなんて、(いくら大学大衆化の時代とはいえ)そんな話も聞いたことがない。

この例に限らず、被害妄想に囚われた輩(やから)ほど厄介なものはない。そんな人物が猟銃を所持しているとなると、それこそ「気違いに刃物」で、じつに危険極まりない話である。
かといって、被害妄想は程度の差はあれ、だれもが囚われがちな心理状態であり、しかも、自分ではこれをどうにもできない。「被害妄想の気質」というだけで該当者を社会から隔離・排除しようとすれば、社会は大混乱に陥るに違いない。

では、この種の事件を未然に防ぐにはどうすればいいのかーー、う〜む、難しい問題である。
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米と中の微妙な関係

2023-05-28 11:41:52 | 日記
このところ3回にわたり朝日新聞の記事を紹介してきた。対中包囲網の実態を報じたもので、私自身、この記事には教えられることが多かった。

私は本ブログを徒然なるまま、興味のおもむくままに書き継いでいるのだが、同じテーマに3日も付き合うと、私の脳みそはおかしな具合になってくる。私の脳みそのアンテナは「対中包囲網」とか「米中問題」にビビビと反応し、それ以外の社会問題にはとんと無頓着になってしまうのである。
「長野の猟銃立てこもり事件」のニュースをテレビで見ても、「へぇ〜」と思うだけで、まるで関心が湧かない。
私のアンテナがビビビと反応したのは、こんな地味なニュースだった。

(1)
日本やアメリカなどが参加する経済連携の枠組み、IPEF=インド太平洋経済枠組みの閣僚級の会合が27日、アメリカで始まりました。
半導体などのサプライチェーン=供給網の強化に関する分野で、一定の合意に達し、成果として示せるかが焦点です。
IPEFは日本やアメリカ、それにインドや東南アジアの国々など14か国が参加する枠組みで、影響力を拡大させる中国を念頭に、去年から半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や、デジタル技術を活用した貿易の円滑化など、4つの分野で交渉を行っています。

(NHK NEWS WEB 5月27日配信)

このニュースが知らせるように、日本やアメリカ、インドなど14か国が参加して、対中包囲網の構築は着実に進んでいる。このニュースには、対中包囲網の半導体バージョンといった趣がある。中国は半導体市場で32.4%と世界最大のシェアを維持しているから、この分野で供給網の強化を図ることは、経済安保の観点からは欠かせないテーマになるのである。

他方では、ほぼ同日に次のようなニュースがあった。

(2)
アメリカのレモンド商務長官と中国の王文涛商務相がアメリカで会談しました。米中対立が世界経済に及ぼす影響への懸念が深まる中、両国の関係改善に向けた糸口となるか注目されます。
(NHK NEWS WEB 5月26日配信)

こちらは、アメリカと中国が関係改善に向けて、仲良く握手をしている微笑ましい光景である。なんだって?今度は握手だなんて、米中関係は一体どうなっているのだ、と訝る向きもあろうが、私はべつに不思議だとは思わない。外交関係ではよくあることだが、テーブルの上では握手をしながら、テーブルの下では足の蹴り合いをしていると思えばよい。

テーブルの上ではにこやかに握手をしながら、テーブルの下では何食わぬ顔で足の蹴り合いーー。かくしてアメリカは着々と対中包囲網の構築を進め、一方の中国は覇権の拡大に余念がない。こんなニュースがあった。

(3)
尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海内で3月以降、中国海警船が自船の存在を周囲に知らせる船舶自動識別装置(AIS)を作動させながら航行していることが、海上保安庁の関係者への取材でわかった。海保は、(中国が)同諸島の実効支配を目指し、国際社会へのアピールを強化する狙いがあるとみて警戒している。
(読売新聞オンライン5月27日配信)

以上の(1)と(3)のニュースは、「テーブルの下の足の蹴り合い」を示すものだが、次のニュースは、テーブルの下の光景に新局面をもたらす画期的な企てを伝えているのかもしれない。

(4)
アメリカ国防総省の高官は、6月にシンガポールで開かれる国際会議にあわせて、アメリカ側からオースティン国防長官と中国の李尚福国防相との会談を中国側に打診していると明らかにしました。(中略)
これに関連して、アメリカ国防総省でインド太平洋地域を担当するラトナー国防次官補は25日、首都ワシントンで講演し、『オースティン長官は中国との開かれた意思疎通が重要だと何度も発言している。誤算を防ぎ、危機が制御不能になるのを防ぐことが重要だ』と述べて、米中両国の間で対話を継続する必要性を強調しました。

(NHK NEWS WEB 5月26日配信)

しかしまあ、どうとも一筋縄では行かないのが外交の世界だから、これが画期的かどうか、何とも言えないけど。
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事実は語る これが対中包囲網だ(その3)

2023-05-27 11:29:43 | 日記
ツキディデスの罠、という言葉がある。新興勢力が台頭し、既存勢力の不安が増大すると、たいていは戦争にまで発展する、ーーこうした現象を指す言葉で、 古代ギリシャの歴史家ツキディデスの見解に由来するという。ツキディデスは、ペロポネソス戦争を不可避なものにしたのは、新興国アテネに対するスパルタの恐怖心だと指摘している。

本ブログできのう紹介した朝日新聞の記事を読み返しながら、私の脳裏に去来したのは、この「ツキディデスの罠」という言葉だった。台頭し、我が物顔で振る舞う中国。この新興国の覇権拡大の勢いに、既存の大国・アメリカはライバル意識をいだき、それ以上に恐怖を感じているのではないか。

アメリカは(中国が管轄権を主張する)南シナ海への関与を強め、定期的に「航行の自由作戦」を実施するとともに、フィリピン軍と合同軍事演習を行うなど、中国牽制の動きを見せている。

一方の中国も、自国を中心とする巨大経済圏構想「一帯一路」に基づいて、カンボジアに巨額の投資を行い、経済面でカンボジアを取り込むとともに、軍事面でもこの国を自陣に取り込もうとしている。中国の勢力拡大の手はカンボジアだけでなく、軍政下のミャンマーにも及び、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々に脅威を与えている。

中国の覇権拡大の動向を前に、脅威を感じているのは、ASEAN諸国だけでなく、オーストラリアも変わらない。1980年代には「世界で最も安全な国の1つ」と自国を位置づけていたオーストラリアだが、中国の軍事力拡大を前に国防戦略を転換せざるを得なくなり、ついに原子力潜水艦の導入計画を策定するに至った。

新興国・中国の勢力拡大の勢いを脅威に感じるのは、なにもアメリカだけではないということだろう。オーストラリアやASEAN諸国など、中国の勢いを脅威に感じる国々を、アメリカはどこまで糾合することができるのか。

朝日新聞の記事はそこまでの展望には言及していない。新興国・中国の覇権膨張主義が戦争の暗雲を呼び起こしつつある不穏な現状を、冷静かつ傍観的な観察者の目で伝えようとしている。

次に引用・紹介する(第3の)朝日の記事は、事態をさらに俯瞰的・客観的に見渡そうとする観点から書かれている。米中問題を考える参考資料として、どうぞ。

■資源豊富な海域。六つの国・地域が領有権を争う
 Q 南シナ海で争いが起きているようだね。
 A 領有権紛争だ。南シナ海とは、太平洋西部の小さな島が散在している海域。石油や天然ガスなどの資源が豊富で、南沙諸島と西沙諸島について、中国、台湾、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナムの6カ国・地域が領有権を争っている。
 中国は、南シナ海のほぼ全域を九つの点でU字に囲い込み、権利を主張している。独自に引いたこの境界線を、「9段線」と呼んでいる。
 Q 中国は海を埋め立てて、人工の島を建設しているようだけど。
 A 2013年以降、南沙諸島の7カ所で埋め立てをして、レーダー施設や滑走路などを造ってきた。その後、中国船がインドネシアの近くの海を通ったり、ベトナムの漁船に衝突したりして、南シナ海を領海としてアピールするような動きが活発化した。
 米国は中国の主張を、「違法だ」と非難して、南シナ海の問題に積極的に関わるようになった。南シナ海で軍事演習をしたり、中国の会社に経済制裁を科したりして、緊張が高まった。
 Q フィリピンは、中国を相手に国際的な仲裁裁判を申し立てていたね。
 A 16年に、オランダにある仲裁裁判所が、南シナ海の主権に関する中国の主張には国際法上の根拠はないという判決を出した。中国はこの判決を受け入れていない。
 最近は、中国がフィリピンの船の航行を妨害するといった事件も相次いでいる。米国はフィリピンとの軍事協力を強めていて、米軍が駐留できる場所も増やしている。
 Q 今後はどうなるの?
 A 米国の介入に中国は反発していて、対立は今後もエスカレートしそうだ。沿岸国は、中国が南シナ海を拠点に攻撃してくることを恐れていて、協力する動きもある。
 南シナ海は、石油などの海上輸送路で、日本にとっても極めて重要だ。日本は沿岸国との連携を進めていく方向で、米国が関わることも必要だと考えている。

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