ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

米朝交渉 round 13

2018-08-31 11:46:08 | 日記
次の記事を読んで、私は最初、その意味が理解できなかった。

トランプ米大統領は29日、停滞している北朝鮮の非核化交渉に関連して「北
朝鮮は中国からとてつもない圧力を受けている」として中国を非難する声明
を発表、激しさを増す米中貿易戦争が背景にあると指摘した。6月の米朝首
脳会談を受けて中止している米韓合同軍事演習を再開する場合は「かつてな
く大規模」になるとも述べ、北朝鮮をけん制した。
                  (日本経済新聞 8月30日配信)

トランプ大統領は「北朝鮮は中国からとてつもない圧力を受けている」と述
べたと言うが、この「圧力」の意味を、私は最初、「(北に対する)経済制
裁の圧力」と取ったのだ。中国が北朝鮮に対して「とてつもない圧力」を加
えているのだとしたら、その中国をトランプ大統領はなぜ「非難」するのか。
対北制裁に協力する中国のそういう態度は、アメリカにとってはむしろ歓迎
すべきではないのか。

ところがトランプ大統領は、中国が北朝鮮に対して「とてつもない圧力」を
加えていると「非難」している。これは一体どうしたことなのか?!
トランプ大統領が北に対する「圧力」を「非難」するからには、それは北の
非核化を妨げるような「圧力」であるに違いない・・・。

ここまで考えて、私は先日書いた本ブログの記事を思い出した。
「金正恩に非核化の意思があっても、それを許さない軍部の勢力が厳として
存在する。トランプ大統領は(金英哲(キムヨンチョル)労働党副委員長か
らの書簡によって)北朝鮮内部のこうしたきびしい現状を突きつけられた」。
そう私は書いたのだった(8月29日《米朝交渉 round 12》)。

非核化を許さない北朝鮮軍部の存在。その背後に、中国からの「とてつもな
い圧力」が働いている、ーートランプ大統領はそうみているのだろう。金英
哲労働党副委員長からの書簡をうけ、トランプ大統領はポンペオ国務大臣に
訪朝を取りやめるよう指示するとともに、中止している米韓合同軍事演習の、
その再開の可能性に言及し、(上の記事にあるように)「もし演習を再開し
たら、かつてないほどの大きな規模になるだろう」と牽制した。

北の非核化を阻んでいるのが北の軍部であれば、当面の敵はこの軍部だとい
うことになり、対決の形は軍事衝突しかない。この衝突が背後の中国を巻き
込み、大規模な戦争にならなければよいが、さて、どうなりますことやら。

いくら単細胞のトランプでも、中国と事を構えるほどの度胸はないだろう、
ーー北の軍幹部はそう高をくくっているのかも知れないが、トランプ大統
領の背後にも、(高額軍備品の大量消費を望む)軍事ビジネスの業界が控
えていることを忘れてはいけない。
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歯科医院で闇を見た

2018-08-30 11:01:10 | 日記
五感ーー。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。これら5つの感覚のうち、1つ
が欠けただけでも、人は大きな制約を受ける。きのうは歯科医院に出かけ、
ガーガー・シューシューの「口内工事」を施してもらったのだが、そこで私
が痛感したのは、このことだった。工事が始まってすぐ、私の目に覆いが掛
けられた。その途端に私は、自分がどういう状況におかれているか、自分が
どういう処置を施されているかがまったく「見え」なくなり、深い闇の中に
突き落とされた感覚の中で、途轍もなく大きな不安にとらわれたのである。

視覚が制約されると、行動も制約を受ける。私は片麻痺のせいで身体を自由
に動かすことができない。自由に周囲を見回すことができない。それだけで
私は、自分がどういう光景の中にいるのかが「見え」なくなり、そのせいで
か、行動の自由が奪われたみじめな気分になってしまうのである。

感覚の欠損は行動だけでなく、我々の意識の有り様にも大きな影響を及ぼ
す。今はだいぶ減ったが、脳出血で倒れて間もなく、リハビリ病院に入院し
ていた頃は、左足の靴を脱がないままベッドに横になってしまうことがよく
あった。左足が麻痺して、その感覚がないために、左足の靴がどうなってい
るかが意識に上らず、「靴を脱がなければ」と思うこともない。片麻痺の患
者は大半が「半側空間無視」という症状にとらわれるが、これが私の場合は、
「左足の靴の着脱無視」という形で出たということである。

感覚の欠如が意識に重大な影響を及ぼす、ーーこれは何も人間だけに限った
ことではないようだ。きょうの新聞のコラムに、「ノドグロ」という魚の養
殖をしている人の体験談が書かれていた。それによれば、養殖場の電源を落
とし、暗闇にすると、ノドグロたちはパニックに陥り、壁面に衝突して死ん
でしまうという。このノドグロたちの行動は、視覚の欠落によって引き起こ
されたものなのだろうか。周囲が真っ暗になることでノドグロたちが感じた
ものは、そもそも「視覚」というカテゴリーに分類できるものなのだろう
か。

視野を人類以外の動物にまで広げれば、他の動物は五感に限らず、10感、
20感と持っているかも知れない。20種類の感覚を持つ動物には、五感し
か持たないニンゲンは、さぞかしまだろっこしい生き物に「見える」に違い
ない。
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米朝交渉 round 12

2018-08-29 11:43:22 | 日記
興味深い情報が飛び込んできた。こんな情報である。

米ワシントン・ポスト紙は27日、複数の米政府高官の話として、今週に予
定されていたポンペオ米国務長官の訪朝が直前に中止されたのは、北朝鮮か
ら「好戦的」な書簡が届いたからとの見方を報じた。
同紙によると、翌24日朝、金英哲(キムヨンチョル)・朝鮮労働党副委員
長からポンペオ氏宛てに書簡が届いた。
(中略)
CNNによれば、書簡は、非核化が進展しないのは「米国が(北朝鮮との)
平和協定の締結に向けて取り組まず、北朝鮮の期待に応えていないからだ」
と主張。非核化交渉は「危機に面しており、瓦解(がかい)の恐れもある」
といった内容だったという。(ポンペオ長官は)ホワイトハウスでトランプ
大統領と検討し、訪朝を取りやめるに至ったという。トランプ氏はその日の
午後のツイートで「現時点では、朝鮮半島の非核化に関して重要な進展が見
られないからだ」として、訪朝中止を指示したことを明らかにした。
                  (朝日新聞DIJITAL 8月28日配信)

この情報から判断する限り、北朝鮮には 対米交渉をめぐって 対立する2つの
勢力が存在する。(A)一つは、対米交渉を積極的に進めようとする勢力。こ
の勢力は、アメリカの(非核化の)要求をのんで、「終戦宣言が先だ」とい
う従来の主張を引っ込めても良いと考えている。(B)もう一つは、対米交渉
に強硬姿勢で臨もうとする勢力。この勢力は、「(非核化より)終戦宣言が
先だ」とする従来の主張にあくまでもこだわり、アメリカの要求をはねつけ
ようとする。

ここからは推測になるが、ポンペオ長官に訪朝を要請したのは、(A)の穏健
派勢力なのだろう。これを知り、焦りを感じた(B)の強硬派勢力は、ポンペ
オ長官に書簡を送り、このなかで従来の主張を繰り返して、「非核化を先に
行う」という選択があり得ないことを強調し、(A)の企てをつぶそうとした
のではないか。(B)の勢力の中心人物は、金英哲(キムヨンチョル)・労働
党副委員長であり、彼は北朝鮮の軍部の総元締めでもある。

韓国の国家情報院に所属する対北工作員とされる人物は、あるインタビュー
のなかで、次のように語っている。

「核を放棄してはいけない」というのは金正日の遺訓だ。もし金正恩が核放
棄を本当に行う意思があるならば、軍部がじっとしてはいないだろう。
                      (毎日経済8月28日)

金正恩に非核化の意思があっても、それを許さない軍部の勢力が厳として存
在する。トランプ大統領は、北朝鮮内部のこうしたきびしい現状を突きつけ
られ、打つ手なしとみて、当分は推移を見守るしかないと判断したのだろ
う。

この勝負、決着はまだまだ先のようですな。
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紆余曲折の石破さん

2018-08-28 15:14:06 | 日記
きょう火曜日は、週に1度の出前(訪問)口腔ケアの日である。拙宅を訪れる
歯科衛生士の女の子が 一連の処置を済ませて帰ってゆくまでに、午前の時間
の大半が費やされる。口腔ケアが済み次第、ブログ書きに取りかからねばと
気がはやる。きょうは以下の記事をネタにして(本ブログを)書こうと決め
ていた。

自民党の石破茂元幹事長(61)は25日、総裁選への立候補を表明した際
に掲げた「正直、公正」のキャッチフレーズを変更する可能性に言及した。
                      (毎日新聞8月26日)

ほう、あの石破さんがねぇ。私はこの記事を読んで、なかば感心し、なかば
呆れたのである。
以下には、石破氏が「正直、公正」のキャッチフレーズを取り下げた経緯の
あらましが書かれている。

「正直、公正」は、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題を念頭に石破
氏が安倍晋三首相(63)の政治姿勢を批判したと受け止められている。し
かし、自民党内では石破氏を支持する参院竹下派からも「個人的な攻撃には
違和感がある」(吉田博美参院幹事長)という不満が出ていた。

石破氏が「正直、公正」のキャッチフレーズを取り下げたことは、石破氏が
安倍体質の批判を撤回したことを意味する。「正直、公正」でない安倍首相
の、その政治姿勢を批判し糺すことが 総裁選への立候補の大義名分だったと
すれば、石破氏の今回の態度表明は、当初 錦の御旗としてかかげた大義名分
の旗をおろし、新たな戦略へと方向転換しようとする、彼自身の決意表明だ
とみることができる。

石破氏のこうした態度の変更には、今回の総裁選の、その有権者の〈質〉が
密接に関係しているのかも知れない。総裁選の有権者は、自民党所属の国会
議員と、自民党員であり、一般の国民とは気風を異にしている。彼らはいわ
ば政治のプロであり、一般の国民のように、「正直、公正」のような美辞麗
句に惑わされることがない。「正直、公正」の美辞麗句を攻撃の武器とする
ことに、不快感をおぼえもする。

総裁選を党内の権力闘争として見る、そういうプロの目にふさわしい プロ
フェッショナルな選挙戦としてこの選挙を展開しようと、石破氏は考え直し
たのだろう。

だが、今回の方針転換は正しかったのか。むしろ誤りだったのではないか、
と私は思っている。大義名分の旗を降ろせば、そこに現れるのは、むき出し
の権力闘争にほかならない。今回の総裁選が露骨な権力闘争であれば、そこ
では自己利益を追求し、勝馬に乗っておこぼれにあずかろうとする有権者が
主役になる。そうなれば、権力をにぎる現職の首相が圧倒的に有利であるこ
とは、だれの目にも明らかである。権益を持たない石破氏では、しょせん撒
き餌のばらまきようがないのだ。

石破氏に働きかけ、大義名分の旗を降ろすよう仕向けたのは、安倍支持派の
策略だった可能性がある。総裁選を理念なき泥仕合に変えたこの策士は、勝
利の報酬として、安倍サイドから多大のご褒美をもらうことになるだろう。

このところの一連の動きを見て、私は危惧するのだが、石破氏にしろ、安倍
首相にしろ、その支持者たちにしろ、彼らは総じて大義名分や美辞麗句が持
つ 一般国民へのアピール力を見誤ってはいないだろうか。理念が持つアピー
ル力を過小評価し、泥沼の党内抗争に現(うつつ)を抜かせば、どちらが勝
ち残るにせよ、次の総選挙では自民党が 国民から見限られ、大敗を喫するの
は間違いない。


その後の石破氏、ーーごく最近の石破氏について、きょうのテレ朝ニュース
は次のように伝えている。

石破元幹事長は、安倍総理大臣との間で開かれた政策論争を重ねるべきだと
訴えました。
自民党・石破元幹事長:「ぜひ活発な議論を展開をして自由民主党というも
のに対する国民の支持が高まるような場がつくられることを願っています」
石破元幹事長は、また、25日に「正直、公正」というキャッチフレーズを変
更する可能性を示唆したことについて、「正直で公正な政治を目指すという
確固たる政治姿勢を変えることはない」と強調しました。

総裁選を理念なき権力闘争にしないために、また、国民に支持される自民党
をつくるために、今度は石破氏は、大義名分の代りに「政策論争」という旗
をかかげ直した。この判断は正しい。私はそう思う。政策をめぐる論争でな
ら、石破氏は安倍首相とも充分互角に渡り合えるだろう。

問題は、自分の政策のほうが優れていることを、石破氏がどうやって示すか
である。また、そのことを国民に解りやすい形で示すには、どうすればよい
かである。石破さん、期待していますぜ。
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日朝交渉 round 1

2018-08-27 17:27:18 | 日記
週に1度のリハビリを終え、帰宅してネットの森を散策する。次のような記
事に出会った。

北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、同国を最近訪問した日本人観光客が罪を犯
したとして関係機関の取り調べを受けていたが、人道主義の原則に基づき国
外追放すると決めたと報じた。
                 (朝日新聞DIJITAL 8月27日配信)

この記事を読んで、私は「おっ、さっそく北は次の手を打ってきたのだな」
と思った。「次の手」とは、トランプ米大統領が「ポンペオ国務長官の訪朝
とりやめ」という手を打った、その次の一手ということである。

(A)北朝鮮による「拘束日本人の海外追放」と、(B)米大統領による「米
政府高官の訪朝とりやめ」ーー。この2つの出来事を結びつけて考える人は
あまり多くないだろう。だが、一介のブロガーとして(B)の出来事を論じた
私には、この出来事(B)と、きょう報道された出来事(A)とは、密接に関
連したことのように思えるのだ。

どのような関連なのか。ーー北朝鮮が打ったこの「次の一手」は、私には、
失地回復のための一手であるように思える。
では失地とは何か。憶測だが、北朝鮮はポンペオ長官を自国に招待すること
で、(経済制裁の解除につながる)何らかの罠を仕掛けようとしたに違いな
い。そのことを知ってか知らずか、トランプ大統領はポンペオ長官に訪朝を
とりやめるよう指示した。

こうして罠を仕掛ける機会を失い、制裁解除の目論見が外れた北朝鮮は、失
点を挽回しようとし、制裁解除という目標を達成するために、今度は日本政
府を籠絡すべく、安倍首相にアプローチを開始したのだ。安倍首相が相手な
ら、拉致問題をはじめ交渉のカードはいろいろある。両国間ではおそらく、
これまでにも水面下でさまざまな交渉が行われてきたに違いない。これまで
の経緯を踏まえつつも、心機一転の新たな気持ちで、様子見のためにとりあ
えず切った一枚目のカードが、「拘束日本人の解放」というカードだったの
ではないか。

う〜む、安倍さんよ、総裁選なんかにかまけている場合では、ないんじゃな
いかな。拉致問題を嚆矢とする北朝鮮問題は、なんといっても国民焦眉の問
題であり、だれもがあんたの辣腕に期待している。

ーーかといって、総裁選への対応を手抜きし、石破氏相手の政策論争をおろ
そかにすれば、自民党内の支持票は相手陣営に流れかねない。あちらを立て
ればこちらが立たずの、難しい局面である。安倍首相は正念場を迎えている
と言えそうである。
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