ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

脱原発 株主は

2016-06-30 14:19:51 | 日記
イギリスのEU離脱事件にすっかり目を奪われて、しばらく足元
に目を向けずにいた。そんな中、国内では株主総会がシーズン・
インしたようだ。新聞の社説では、珍しく原発問題が取り上げら
れている。これも電力会社の株主総会を間近に控えてのことであ
るらしい。さっそく読売と産経と、2紙の社説(6月27日 付)
に目を通してみた。案の定、いずれも私の予想の範囲を越えるも
のではなかった。

読売は社説「エネルギー政策 現実的な電源構成を論じ合え」
で、こう書いている。

(1)「日本経済を本格的な回復軌道に乗せるには、安価な電力の
安定供給が欠かせない。」
(2)しかるに「原発は、発電コストの安さ、安定した供給力で他
の電源より優れている。」
(3-1)だから自民党が原発推進の方針を示したのは、政権党とし
て妥当な判断である。
(3-2)「脱原発」を掲げる民主党(現民進)や共産党の方針で
は、「電気料金の上昇を招き、電力の安定供給を損ないかねな
い」。

この読売の主張は、どう見てもフェアとは言えない。原発のメ
リットだけを書き立てて、そのデメリットにはまったくふれな
いというのでは、片手落ちもはなはだしい。メリットとデメリ
ットと、きちんとその両方を挙げて、その上で方針を示さない
と、主張は偏向し、身びいきのそしりを免れない。

もう一つの、産経の社説「原発政策 電源確保への責任を示せ」
はどうか。これは、「多様な電源の確保」を不可欠のこととはす
るものの、安価でかつ安定的である、という原発のメリットを、
それだけを強調する点では、読売の主張となんら変わらない。

読売も産経も、自民党の機関紙ではないかと疑いたくなるほど
である。

これら2紙の社説とは違い、朝日の社説は、「電力株主総会 
原発頼みで展望あるか」と、脱原発依存の方向性を示唆して、
タイトルだけは勇ましい。しかし本文の主張はといえば、そ
の掛け声に反して、しどろもどろのいわば腰砕け状態。無理
が祟ったとしか思えない。どこかからの圧力でも意識しての
ことだろうかと、つい勘ぐりたくなるほどである。

意外なことだが、電力会社や政権党の思わくに左右されないと
いう意味では、電力会社の側に身をおく株主のほうが、(言論
の公器である)新聞などよりも、ずっと自由で合理的な判断に
立って、己の立場を貫いているように思える。

東京新聞の社説「電力株主総会 原発頼み脱する道を」(6月
29日付)が言うように、電力会社に対して脱原発を迫る動き
は、皮肉なことだが、なんと電力会社の、その株主の側から出
ているのだ。これは、事故への対策費用が高額になることを勘
案してのことだろう。原発はつねに大事故のリスクをかかえ、
その予防と事後の対策のために莫大な出費を余儀なくされる。
まさにこのことが原発の最大のデメリットなのだが、頭でっか
ちの言論人とは違い、採算合理的な判断を強いられる経済人の
株主たちは、さすがにこうしたデメリットに目をつぶったりは
しない。

天下の大新聞社の、そのエリートたる論説委員たちは、なぜそ
んな大事なことを考えずにいられるのか、不思議である。
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イギリスという幻想の国家は

2016-06-29 14:11:53 | 日記
イギリスのEUからの離脱――。世界を揺るがしたこの歴史的事
件について、我々は、――いや、少なくとも私は、認識を改め
るべきなのかも知れない。

そう思わせるニュースが目に入ったのだ。離脱に票を投じたイ
ギリス国民が、今になって自分の投票行動を後悔しているとい
う。理由は、自分たちが扇動政治家たちの虚言に騙されていた
ことに気づいたからである。

「EUから離脱すれば、EUに支払っていた巨額の拠出金が戻っ
てくる。それを国民医療サービスの財源として使うことができ
る」とか、「EUから離脱すれば、イギリスへの移民の流入を食
い止めることができる」とか。

そういう言葉はすべて、実現が望めない甘言だった。この冷酷
な事実を知らされて、「そういうことなら、EUから離脱しなけ
ればよかった」と、彼らはホゾを噛んでいるというのだ。

要するに、イギリスの過半数の国民が、EUからの離脱を選択し
た理由も、また、今になってこの選択を後悔する理由も、経済
的な動機にあるということである。

「ほら、繋留場所を失いたくないから、とか、繋留場所が欲し
いから、なんて理由からではないじゃないか」という言葉が返
されそうである。でも、ちょっと待って欲しい。「後悔先に立
たず。後の祭りさ。馬鹿につける薬はない」などとイギリス国
民を嘲るまえに、ひとつ考えて欲しいのだ。

彼らが己の暮らし向きの改善を動機にして、EUからの離脱を望
み、それを選択したとき、いったい彼らはどういう理由から、
己の暮らし向きの改善を望んだのか。彼らが国家のあり方より
も、個人的な動機を優先させ、己の暮らし向きの改善を第一に
考えて投票に臨んだのは、なぜだったのか。

東京新聞は、6月28日付の社説で次のように論じている。「世
界に衝撃を与えた英国民投票の結果は、欧米を席巻するポピュ
リズムの爆発を意味する。」

欧米でポピュリズムの台頭が著しいのは、それが、社会に不満
をいだく恵まれない人々の鬱積した不満をすくい取っているか
らだという。

「グローバル経済の恩恵を受けられず、暮らし向きはいっこう
に良くならないのに、格差は広がるばかり。ひと握りのエリー
トたちが政治を牛耳り、民意は反映されず、自分はのけ者扱い
だ-。
 欧米社会にはこうした人々の不満が鬱積(うっせき)し」て
いる。

人はさまざまだが、簡潔を期して、こうした人々を「恵まれな
い人々」と一括すれば、これら恵まれない人々にとって、グロ
ーバル経済を推進するEUは、彼らが己をつなぎとめたいと思う
繋留場所にはなりえず、彼らが愛着をいだく「愛国心の対象」
にはなりえない。反EU、反難民を唱える右翼政党のアジテー
ションが彼らの心をとらえたのは、それが、EUとは別の繋留
場所を求め、EUとは別の「愛国心の対象」を求める彼らの心
に訴えたからではないだろうか。
この「EUとは別の繋留場所」が経済的に立ち往生して、ぼろぼ
ろのあばら屋状態になり、経済的な面で彼ら恵まれない人々の
思いに応えられないとき、彼らは裏切られたと思い、疎外感を
おぼえて、さっそく後悔を感じ始めるであろう。己の価値を物
質的に、経済の物差しでしか計れないのは、資本主義社会に生
まれ育った近代人の、悲しい性(さが)と言うしかない。

問題は、この「EUとは別の繋留場所」でも、ぼろぼろのあばら
屋状態では、彼らが己のアイデンティティーやプライドを感じ
られないことである。そこで彼らがこのぼろぼろの「EUとは別
の繋留場所」を離脱して、もう一度、EUという巨大ビルに舞い
戻ったとしよう。

しかし、彼らの暮らし向きはそれによっていくらかでも改善す
るわけではなく、彼らが不満をいだかざるを得ない現実に変化
が生じるわけではない。グローバル経済の中で、ますます格差
は広がり、固定していくだけだろう。

そうなれば、疎外感をいだく彼らの不満は募って、爆発のマグ
マになるだけである。この不満のマグマが欧州全体に広がった
とき、それはどういう状況を呼び起こすのか。

それは私にも分からない。
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イギリス国家の存在意義

2016-06-28 13:49:59 | 日記
友人がブログで、面白いことを書いていた。EUから離脱したイ
ギリスの国民は、経済状況の悪化で難民化し、EUに助けを求め
ることになるだろうというのである。難民の流入を嫌ってEUか
ら離脱したイギリスの国民が、自ら難民になるというのは、な
にやらブラック・ユーモアじみていて、素直には笑えない。

だが、ホントにそんなことになるのだろうか。せっかくの面白
いネタなので、しばらく思考実験を楽しんでみたい。

まず、留意したいのは、イギリスの過半数の人々が、どういう
理由からEU離脱を選択したかである。経済的な理由から離脱を
望んだ人もいるだろう。食い詰めた難民がイギリスにやってき
て、安い賃金で職にありつけば、たしかにイギリスの人々は、
そのぶんだけ職にありつく機会を奪われる。彼らにとって難民
は、生存競争の無視できないライバルなのだ。

イギリスの過半数の国民の、その一人ひとりがどういう理由か
らEU離脱に票を入れたかなんて、本人以外にはだれも分からな
い。当の本人でさえ、自分の投票行動の理由などはっきりとは
分かっていないのだ。

以前のブログでも書いたように、私が彼らの投票行動の底に読
み取ったのは、国境を失って、自らの繋留点を失い、ばらばら
の個人として漂流することになる彼らの漠然とした不安であ
る。流されそうになる自分を、イギリスという国家の繋留点に
何とかしてつなぎとめようとする、彼/彼女の必死の足掻きが
そこにはあったと言えるだろう。

とするなら、EUから離脱したことで、イギリスの国民経済が悪
化したとしても、彼ら国民は、再び元の状態に戻りたいとは願
わないだろう。イギリスという彼らの繋留場所が、たとえボロ
ボロのあばら屋になったとしても、(聖書がいうように)「人
は食べるために生きるのではない」。イギリスという国家は、
経済的には疲弊しても、幻想の繋留点として、ノアの箱舟のよ
うに、彼らの内で輝き続けるのではないか。そんなふうに思え
るのである。

欧州での離脱ドミノは、omg05さん、起こるんじゃないかな
あ。
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メディアは萎縮したのか

2016-06-26 14:38:00 | 日記
ネットで、面白い(けれど意味がなさそうな)記事を見つけ
た。「メディアは萎縮したのか 参院選「第1声」紙面を総比
較」というタイトルの記事(JCASTニュース)である。メディ
アの萎縮や政権への「忖度(そんたく)」が指摘されるなか、
参院選について報道する新聞記事の紙面が、13年からどう変化
したかを検証しようとしたものである。

検証の結果分かったのは、「読売、日経は見出しもほとんど変
化なし」、「東京新聞は1面に党首の写真を載せない」という、
あまり面白くなさそうな二つの事実である。

面白いかどうかは別として、問題は、この事実にどんな意味が
あるのか、そこから時代背景とのどんな関わりが見いだせるの
かである。

この記事には、そのあたりの分析がまったく示されていなかっ
た。読者である私が考えても、そのあたりは皆目分からない。

さてさて、意味がないからなのか、読者である当方に意味を見
いだす眼力がないからなのか。

この記事、切り込む目の付け所は悪くないんだけどなあ・・・。
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英のEU離脱 意外な選択なのか

2016-06-25 20:51:59 | 日記
国境があるから、戦争が起きる。国境がなければ、戦争は起き
ない。――そういう考えに基づいて、国境の垣根を取り払い、
設立されたのが、EU(欧州連合)共同体である。EUが設立さ
れてから、今年で23年になる。その間、この共同体の内部で
は戦争は起きず、設立の理念は保たれてきた。

ところが、きのうのイギリス国民投票で、EU離脱派が勝利し、
その結果、イギリスはEUから離脱して、独立することになっ
た。この方面に疎い私にはピンと来ないが、この投票結果は国
際社会に相当な衝撃を、メガトン級の衝撃を与えたらしい。日
本の通貨である円が高くなり、日本の株価はリーマンショック
時以上に暴落して、(消費増税を見送った)安倍首相は、「予
知能力があるのではないか」などと、ネットの掲示板で妙な具
合に株を上げている。

EU離脱派が勝利したこの投票結果は、意外なことと受けとめら
れているが、私はそうは思わない。むしろそれは、人間の本姓
から生じた必然的な結果だと理解している。

というのも、人間は、何らかの係留場所に自分をつなぎ留め、
その状況の中に自分を刻印し意義づけて、意義づけられた自
分のそういうアイデンティティーに対して、喜びを感じたり、
はたまた悲しみを感じたり、時には希望を見いだしたり、あ
るいは誇りや生きがいを感じたりする、なんとも奇妙な生き
物だからである。

この係留場所の広がりは、せいぜい一国の国内にとどまり、
その範囲を越えることはない。一人の個人がイメージできる
範囲は一国内というナショナルな領域に限られ、彼/彼女の
想像力はその外までは及ばないのである。

そのような次第で、心理・生理的に「ナショナリスト」の本性
を持つ人は、決して少ない数ではない。フランスやドイツで、
排外主義の極右政党が勢力を伸ばしていることも、このこと
の証左だと言えるだろう。「ナショナリスト」である彼/彼
女にとっては、国境の垣根を踏み越えて押し寄せる移民の群
れは、己のアイデンティティーを揺るがす脅威以外の何もの
でもない。彼ら多数派が、国境の垣根を取り払うEUを憎悪し
、EUのコスモポリタン空間からの離脱を選択したことは、私
にはよく理解できるのである。
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