富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

初めての蚕種製造体験

2016年06月23日 19時00分16秒 | 世界遺産伝道師協会

初めての蚕種製造体験

 

伝道師が各地のイベント会場等において活動している中で、蚕の生態等について質問され回答に窮する場面が時々あります。

こうしたことから、協会では伝道師の養蚕知識や技術の向上を図るため、これまでも現地学習会や各種講習会などを開いてきました。しかし、蚕(幼虫)となる「蚕種」(蚕の卵)については、これまで全く学習する機会がありませんでした。そこで県蚕糸技術センターにお願いし、蚕種についての学習を兼ねて製造体験をさせて頂く事となりました。

会員から希望者を募ったところ、10名の応募があったため、3班に分かれ前期・後期にわたり3時間ずつ行うこととし、前期(6月10日・11日)に繭切り作業、後期(6月20日・21日)には蚕(蛾)の交配・割愛作業を体験しました。

まず、繭切りは種繭切開機では対応できない小石丸などの小型繭の片端をカッターナイフで切りとり、中のサナギを取り出して羽化し易いようにするための作業です。カッターナイフを使用して行うため、指を切らないようにすることと、繭の中の蛹を傷付けないように細心の注意を払いながらの作業でした。

(繭霧作業)

繭切り作業の合間を見て、蚕糸技術センターの須藤独立研究員から蛹の拡大図を使って「雄雌鑑別」の仕方などを教えて頂きました。

(雌雄鑑別法の説明)

雌雄鑑別は、蛹の腹側の第11体節(お尻の辺)の形状を見て行いますが、中々、雌雄の判別が難しく熟練の技を必要とすることが分かりました。

(交配)

次に、蛾の交配・割愛作業ですが、雌雄鑑別の終わった蛹が羽化して蛾になったものを系統別(原種別)の雄と雌を掛け合わせして一代交雑種をつくる作業です。品種を間違わないようにするため、指定された雌蛾の中に食紅で青や赤に染めた雄蛾を振り込み、交配させます。この時、蛾が威勢良く羽ばたくことから鱗粉が部屋中に飛散するため、暑い部屋の中でマスクを着用しての作業で大変でした。交配をしてから約2時間経過した後、割愛(交尾している雄雌蛾を離すこと。)して雌蛾を産卵台紙に移すと間もなく産卵を始めましたが、一昼夜で産卵を終えるとのことでした。(※因みに、日常的に使われている「割愛」(惜しいと思いながら、捨てたり省略したりすること。)という言葉は、この養蚕用語から使われるようになったと云われています。)

 (割愛作業1) (割愛作業2)

蚕種製造体験も3時間(前期)+3時間(後期)という短期間ではありましたが、今までこうした機会がなかったため大変貴重な体験となりました。これからは、この体験で得た知識を伝道活動に活かして行きたいと思います。

このような体験の場の提供と業務繁忙の中で種々、ご指導して下さった県蚕糸技術センターの皆様には大変お世話になりました。     (蚕種製造体験世話人 M.M 記)

 

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