富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

(図書紹介)『宮崎有敬の生涯と業績』

2024年01月26日 09時24分12秒 | 世界遺産伝道師協会

(図書紹介)『宮崎有敬の生涯と業績』

 令和5年度の絹ラボ(世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」等研究奨励事業)研究で採択された「宮崎有敬研究会」による研究テーマ『宮崎有敬の生涯と業績』~宮崎勝美家文書を読み解く~ の研究成果をまとめた冊子が発行されました。

 宮崎有敬(1833-1895)は明治時代前期に活躍した人物で、今からおよそ190年前となる1833(天保3)年に現在の伊勢崎市境伊与久に生まれ、その後、明治維新から8年間の官歴を経た後、地元ぐんまの県政及び地域経済の発展に尽力しました。

 主な業績としては明治12年から5年間を初代の群馬県会議長、その後21年~24年まで県会議員を務めるなど政治家の一方で、蚕糸業の発展に尽くし、足踏み式繰糸器械の発明とその普及、県内の多くの蚕糸業者を結集して生糸の直輸出を行った上毛繭糸改良会社を牽引しました。

 また、群馬経済協会の設立や農業金融公社に関する私見等の政策提言なども行いました。

 現在の前橋公園内には楫取素彦撰文による「宮崎有敬翁紀功之碑」が建ち、群馬県議会議事堂の展示ホールにある県議会の歴史コーナーには「群馬県発足時に特に功績のあった4人が「四傑の碑」として紹介されています。

 今年度の絹ラボ研究では「宮崎有敬」が蚕糸業に果たした功績を中心に、群馬県立文書館複製所蔵資料の「宮崎勝美家文書」より12件の翻刻を行い、その業績をまとめたものです。

 冊子はA4判全100頁で1/3を本文、2/3を資料集(12件の翻刻ほかを収録)とし、今後の蚕糸業史研究の資料となるようまとめています。
 発行部数は120部とわずかなため、県内外の公立図書館等を中心に寄贈しました。

目次は

   はじめに
   第1章 生い立ち
   第2章 有敬の官歴
   第3章 踏転繰糸器械と製糸勧奨組合
   第4章 繭糸改良と国会開設運動
   第5章 上毛繭糸改良会社
   第6章 有敬と横浜同伸会社
   第7章 県議会議員時代
   第8章 有敬の政策提言
   第9章 その他
   むすび
    略年表
    参考文献
   資料集

※「宮崎有敬研究会」は温井眞一、笠原実の2名(ともに伝道師)で構成しています。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「富岡市立妙義小学校」で学校キャラバン

2024年01月14日 17時19分49秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立妙義小学校」で学校キャラバン

 令和5年11月15日(水)、富岡市立妙義小学校で3年生7名を対象に学校キャラバンを行いました。

 12時25分、妙義山の懐に包まれるように建っている学校の玄関前に集合した3名の伝道師を、校長先生、教頭先生が出迎えてくれました。その場であいさつを交わし、1階の会場に機材を運び入れて座繰り体験の準備をしました。学校キャラバンに初参加の大塚さんにとって本校は、大変馴染みのある所の様子で懐かしそうに話をしてくれました。

 世界遺産センターのI井主任、K田主任と職場体験学習に来ていた高校生も加わり、13時25分からキャラバン開始。

まず児童とのあいさつ。
「よろしくお願いします。」と、7名のそろったきれいな声に少し感動です。その後伝導師から自己紹介。
学習内容と注意点も伝えて、J保さんO塚さんの指導による座繰り体験がスタートしました。

 予定時間は45分。座繰り機を囲むように集まった児童に、繭を見せ糸口から取り出した繭糸を指しながら、箕ご箒の使い方やハンドルの回し方を実演して見せ、児童に作業のやり方を伝えます。
児童は目の前で繰り広げられる繭糸を取り出す手さばきに「わーすごい!」の声。ハンドルを回すと「ベアリングだ!早くやりたい!」の声も。早速2人1組になり、ハンドルを回す子にはゆっくりと、箕ご箒を使う子にはカタカナのノを書くようにと繰り返し伝えます。時には「もっと速くすると上手になるね。」の指導が入ります。
スムーズにできると「うまいね。上手だね。」と褒め言葉が自然に出ます。
児童に続いて担任、校長先生、高校生が座繰りを体験し大きな拍手の中、座繰り体験は終了しました。

 「先生頑張って!」「先生速い!」はもちろん「サナギが出てきた。」「もう一回やりたい。」と、児童が体験を心から楽しんでいる様子をそばで見ていると、伝道師の仕事も誇りに思えます。

 最後に生糸の帯に担任がハサミを入れると、児童は耳をそばだて音を聞きます。
カットが終わった瞬間の「お~おっ。」という声と、生糸がもらえることを聞いた児童の嬉しそうな表情が心に残りました。初めて座繰り体験をした高校生は「右手でハンドルを回す感覚が独特で難しかった。」と、感想を伝えてくれました。児童に囲まれての体験はきっとよい思い出になったことでしょう。

 手早く片付けを終え、校長先生に終了を報告し、互いの労をねぎらい校舎を後にしました。本日参加の伝道師はJ保明子、O塚初子、O形の3名でした。  (O形 榮一 記)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする