透明タペストリー

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「日本の仏像 飛鳥・白鳳・天平の祈りと美」

2017-10-06 | A 読書日記



■ 『日本の仏像 飛鳥・白鳳・天平の祈りと美』長岡龍作/中公新書 をようやく読み終えた。この本の初読は2009年6月、その後2015年10月に再読しているから、今回が3回目。

章立ては次の通り

序章    仏像を造るとはどういうことか
第一章 聖徳太子のために造られた仏像
第二章 生身という思想
第三章 釈迦に出会う
第四章 仏はどこにいるか
第五章 天の動き
第六章 国土を法界にする
第七章 救済のかたちと場所
終章  重ねられる祈り

序章に「仏像を造るとはどういうことか」とあるように仏像が造られた背景、仏像の持つ意味などについて論じている。

取り上げているのは法隆寺の釈迦三尊像や薬師寺の薬師三尊像など、有名なものが中心。だが、専門的な内容で、仏像と飛鳥時代、奈良時代に関する基礎的な、いや、かなりの知識がないと読みこなせない。どちらの知識もない私などは今回も字面を追うことに終始した。

第七章「救済のかたちと場所」の最後、**仏像は祈りのためにある。祈りの心を喚起するのが仏像の役割だ。深い信心を仏像へ寄せるために会いたい人の姿をそこに重ねる、それは釈迦への篤い思慕が仏像を造らせたという、仏像の始まりの物語と同じ心によるものだ。**(261頁)を押さえておきたい。 

この本で扱っているのは7、8世紀の仏像。あとがきに**続篇を書きたいと思っている**(269頁)とあるが、本書のような密度の仏像通史が出たら読みたい。その前にまた京都にでも出かけて仏像を鑑賞したい。


 


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