透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

旧弾正橋(八幡橋)を観る

2024-04-24 | A あれこれ


※ タイトルの旧弾正橋が旧弾性橋となっていました。ある方にご指摘いただき、訂正しました。拙ブログには誤字が多くお恥ずかしい限りです。言葉の誤用もありそうです。本稿の構造的な解釈も私見につき、誤りがあるかもしれませんが、それは言うまでもなく、私の理解不足によるものです。

 富岡八幡宮から徒歩で数分のところに国の需要文化財に指定されている、この旧弾正橋(八幡橋)がある。この橋のことを、うさぎさんの「今日のころころこころ」というブログで知り、いつか見てみたいと思っていた。ようやく願いが叶った。


この橋のことは何も知らないので、橋のたもとに設置されていた案内板の写真を載せる。その説明文から一部引用したい。**アーチを鋳鉄製とし、引張材は錬鉄製の鋳錬混合の橋てありかつ独特な構造手法で施工してある。**


側面から橋の全形を見る。

この橋は写真に付けた番号順に1 アーチ、2 床版(人の歩く床面)、3 吊材、4 タイロッド、以上の要素で構成されている。3の吊材によって吊り上げた2の床版を1のアーチによって支えるという構造。これはブランコと基本的には同じ構造でブランコの支持フレームが1、人が座る座板が2、座板を支持フレームから吊り下げている鎖が3に相当する。更にこの橋は1のアーチが2の荷重で変形して下方に下がるのを防ぐために4を設置している。説明文によると、1に鋳鉄が使われ、引張材である3と4に錬鉄が使われているという。


写真③で示した3は吊り材1本、3は吊り材は吊元では1本だが、分岐して2本にしていることを示している。片面4カ所で吊っているが、内側の2カ所は2本、外側2カ所は1本。

この吊り材の他部材との接合部に注目した。以下、その様子を写した写真。


吊材上端の様子


格子状に補強部材を設置した床版(こういうのもワッフルスラブって言うのかな)を吊り上げている様子。吊材は2本。


吊棒1本の箇所の下端の様子。この橋の一番の見どころ。

床版を角型の梁材 6で受けて、棒鋼 1でアーチに吊っている。2と3はタイロッド、4本。前述したが、床版が自重と人の荷重で下方に下がろうとすると、引張材であるタイロッドが抵抗、アーチを助けて床版の位置を保持する。なお、写真⑦の4は橋の両側の構面の面内変形を防ぐブレース。5は橋の手すりの支持材(つっかい棒)。6の下に設置されている接合部品(鋳造品だと思われる)の両端に菊の紋章が施されている。


橋の端部の様子。タイロッドをボルト留めしている。上下2本のタイロッドを1本にまとめている、と推測されるが、確認しなかった(ダメじゃん)。

構造力学的な要求に素直に従って、必要部材をきちんと配置している。いいなぁ、こういうの。


現地で気がつかなかったこともあって、的確な写真があまりなかった。トリミングして、説明的な写真にしたが、どうも・・・、この橋はまた観たい。