透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「探求する精神」

2022-03-09 | A 読書日記

   

 『探求する精神 職業としての基礎科学』大栗博司(過去ログ)(幻冬舎新書2021年)を数日前から読んでいる。昨日(8日)、朝カフェで読んだ。

**世界的知性が語る自らの半生、そして科学研究の喜び。**(帯のことば)

**世界で活躍する物理学者が、少年時代の本との出会いから武者修行の日々、若手研究者の育成にも尽力する現在までの半生を振り返る。これから学問を志す人、生涯学び続けたいすべての人に贈る一冊。** カバー裏面の本書紹介文の後半にこのように書かれている。私は高校1年生に読んで欲しいと思う。世界的知性と評される著者の半生はどのようなものだったのか知ることができる。どんな本を読んできたのか知るだけでも意義があると思う。

**シカゴでは南部さんにとてもお世話になりました。ご自宅に呼んでいただいて、奥様のおいしい手料理をご馳走になったことも何度もあります。夕食の後に映画『男はつらいよ』を見るのも楽しみのひとつでした。南部さん(私の注:南部陽一郎 ノーベル物理学賞受賞者 著者の大栗氏にシカゴ大学の助教授にならないかと声をかけた。大栗氏は応じ、シカゴ大学に着任した。)はこの映画がお好きで、ビデオをコレクションされていました。観賞する姿勢は真剣そのものでした。渥美 清の演じる寅次郎が身勝手な振る舞いをすると、「けしからん」と口には出さないものの、みるみる不機嫌になられました。**(189頁)

巻末に著者の大栗氏が読んだ本で本書で取り上げている84冊のリストが載っている。専門書が多いのかと思いきや、文庫と新書が意外に多く、41冊。『はたして空間は曲がっているか ―― 誰にもわかる一般相対論』都筑卓司(ブルーバックス)を小学生の時に読んだというから驚く。84冊の本のなかで、私が読んだ本はごく僅か。カントの『純粋理性批判』光文社古典新訳文庫、デカルトの『方法序説』岩波文庫などは書名を知っているだけで読んだことはない。大栗氏が高校生の時に読んだという朝永振一郎の『物理学とはなんだろうか』岩波新書(1979年)を私は1979年11月28日に買い求めている。





書棚から取り出して表紙を見ていて、本当に読んだのかなと思い、ページをパラパラ繰ると 「ケプラー:天界の法則 ガリレオ:地上の法則 統合 法則体系 791201 」という書き込みがあった(上巻113頁)。他の頁にも書き込みや▽マークがあったから読んだのだろう。42年ぶり!の再読も良いかもしれない。

リストに載っている『ご冗談でしょう、ファインマンさん』上下巻(岩波現代文庫2000年)は有名な本、読んでみたいと思いながら未読。『真理の探究――仏教と宇宙物理学の対話』佐々木 閑+大栗博司(幻冬舎新書2016年)、『改訳 科学と方法』ポアンカレ(岩波文庫1953年)はじめ気になる本が何冊かある。このリストを目にしたのも何かの縁、気になる本を何か読んでみよう・・・。