透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

いつものように

2009-09-13 | A あれこれ



 休日。いつものように午後のひと時をカフェ・シュトラッセで過ごす。曲名はサン・サーンスの「白鳥」くらいしか分からないが聴いたことのあるヴァイオリンの調べが店内に静かに流れている。

まずいつものように朝日新聞を読む。連載が始まった川上弘美さんの「七夜物語」、確か以前「週刊ブックレビュー」で川上さんは小学生の女の子を主人公にした小説を書きたいと語っていた。この連載小説は小学4年生の女の子 さよちゃんが主人公の物語。さよちゃんは図書館が大好き。図書館で見つけた好きな本のタイトルが「七夜物語」、先日読んだ紹介文にはそう書かれていた。

新聞をざっと読んだ後、いつものように持参した本を読む。『流れる星は生きている』中公文庫 **子供たちは、私を真剣な眼で見上げている。「いまに何か貰ってくれるにちがいない」と、信じて待っている眼であった。その眼にはげまされるように、私は激しい屈辱と闘いながら、また押してみた。しかし何の反応もかえっては来なかった。

「お母さん、きっとどこかでおにぎりを貰って上げるからね」急にそう言いながら涙がこみ上げてきた。これほどまでにして、私は生きなければならないのだろうか。**こんな場面を読むと涙ぐんでしまう・・・。

本から離れて店内を見て思う。このインテリアにはこの椅子とテーブルがピッタリだな、と。

同じテーブルがポン、ポン、ポンと並んでいる。この様子をみて、何故か過去から現在へと続く時の流れを想起した。そして先日テレビで見た伊勢神宮の式年遷宮のことを思い出した。20年ごとに社殿を造り替えて神体を移す例の行事。神宝もすべて新調するのだそうだ。武器や服飾品などの神宝のなかにはもう新調することが困難になってしまったものもあると番組では紹介していた。それは朱鷺の羽を使うものだったが、もう朱鷺がいない・・・。

7世紀末から延々と続く行事。そして思った、そうか式年遷宮
も「繰り返しの美学」だと。

再び『流れる星は生きている』に戻る。**二人の子供は、「寒い、寒い」といっていて、大豆を食べる元気さえなかった。私は背中の咲子を下して、乳をふくませたが一滴の乳も出て来なかった。**

続きは夜自室で読もう。溢れる涙を気にしないですむ。