エッセイ お彼岸 課題【秋・自由課題】 2019.10.11
夏が終わった。
澄みきった青空の日が続くと、何時も彼岸がきて季節が移るのだと感じる。
今年は台風の影響で風が吹いたり大雨が降ったりと、お天気が悪く、お墓参りに行きそびれてしまった。
七月に夫の長姉の娘、姪の息子が亡くなった。
梅雨時の暗い日だった。
姪は亡くなった長姉に変わり、親戚の集まりにはきちんと出席し、若い世代の明るい話題で楽しませてくれる。
気丈な姪は私たちに涙を見せなかった。
夫は妹のように可愛がっている。
その姿に「可哀そうだなー」と何度も呟いた。
お葬式が終わるまで長い時間があった。
その間、普段は疎遠だった身内と、何度も電話をかけあった。
亡くなった義父や義母、姪の両親の事、色々な話しをした。
そんな事があったせいか、亡くなった人達を身近に感じた。
もう二十年近く、地元のグループで里山を歩いている。
一人だけの男性Oさんは毎月のコースや計画を練ってくれた。
道中、道草とお喋りで先に歩くOさんに遅れても、黙って待っていてくれる、お兄さんのようだった。
会が始まってすぐに奥様を亡くされた。
お弁当はコンビニの物が多かったので、昼食の時は、沢山のおすそ分けが集まった。
Oさんはガイドブックの他に色々な提案をしてくれた。
菩提樹池の蛍、ザゼンソウの群生。
人が余り立ち入らない里山の奥、落ち葉が深く積った小金沢。
東京湾の無人島猿島、廃線になった山梨の長いトンネル。
「行ってみましょう」は、私達にとって冒険だった。
暫くお休みをしていたが、今年の冬に亡くなられた。
以前奥様の眠る霊園のことは伺っていたので問い合わせたら、もうお墓に入られたことが分かった。
お彼岸には間に合わなかったが、今月末お墓参りをする。
お好きだった珈琲を誰かがお供えするかもしれない。
先生の講評……抑制された表現だけに、追憶の悲しさが漂う、特に最後のしれない。
つつじのつぶやき……もう2年が(3年と間違いました)、の思いです。
早い終息かと思われた「コロナ禍」、まだ油断は禁物ですね。