エッセイ 読書 【小説・映画・テレビ・音楽・絵】 2014・14
何がきっかけだったのか、若い頃読書にはまったことがあった。
元々本を読むことは好きだったが、夢中になったことはなかった。
物語の、それから、が楽しみだったので、長編小説が多かった。
テレビの大河ドラマの影響も受けた。
最初の頃、吉川英治の「新平家物語」を読んだ。
第一巻を読み終えてすぐに二.三巻と買い、全巻そろえたから小遣いが痛かった。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」も面白かった。
テレビでもドラマ化されたが、本の中の竜馬は、のびのびとしたイメージだったのに、何か違うなと思いながらも毎回見た。
その後「竜馬」は度々ドラマ化されたが、私の中の竜馬は、最初に出会った司馬遼太郎の竜馬になっている。
海音寺潮五郎の「平将門」も思い出す。
遠い昔、関東地方の見覚えのある地名の山野を、砂埃を上げながら戦った強いけれど無骨な人物が居たという物語は、しばら く頭の中をぐるぐると駆け巡った。
「樅の木は残った」を読み始めてから、何か途中途切れて、登場人物の位置が判りにくく時間がかかった。
その為、山本周五郎に行くのは少し後になったが、江戸時代の、特に下町を舞台にした人情物を読むうちに夢中になった。
赤い表紙の全集を揃えた。
タイトルが面白い「ちゃん」や「かあちゃん」「ちいさこべ」。
「さぶ」は、「栄二」が主人公のような話だったが、どうして「さぶ」なのか不思議に思ったことを思い出す。
あの頃、「会社に行かず、一日中読み続けたい」と熱中した本も、今は読まなくなった。
時々図書館に行く。
本の匂いにつられ、読みたい本が何冊か見つかる。
少しわくわくしながら読み始めるが、どういう訳か読み続けられない。
眼が疲れる、他の用事などを思い出して集中しない。
あれほど願った読書が、最近少しずつ遠くなった。