エッセイ Kくんのお母さん 課題 【秋・自由課題】 2015年10月9日
Kくんくんのお母さんを意識したのは、二男が通う幼稚園の父母会の時だった。
月に一度、保育が終わった後、子供たちが使った小さな椅子に腰かけ、輪になって話し合う。
毎月と言っても教室の前までの送り迎えが義務だったので、皆顔なじみになっていた。
それでも最初の時は、改めて自己紹介や役員決めなどをするので緊張する。
Kくんのお母さんの番になった。
「夜のお勤めなので、午後遅くなると困る、役員にはなれない」と言う。
誰かが「遠くまで行かれるのですか」と聞くと都心だと言う。
人は見かけによらないのだなと思った。
どう見ても水商売の感じは無かった。
お化粧っ気はないし、髪もそれらしくない、おしゃれとはほど遠い感じだった。
他の人も同じように感じたのか顔を見合わせた。
暫くして、Kくんの近所の人の話で、「大学の英語の先生ですって」と聞いてきた。
「それもらしくないよね」誰かが言った。
毎月の父母会で、若いお母さん達の議論が白熱し収まらない時がある。
Kくんのお母さんが、ニコニコしながら話の順序をたてて意見を言うと皆が納得する、らしくなってきた。
Kくんはお姉ちゃんが二人いる。
すぐ上のお姉ちゃんとはよく遊ぶが喧嘩もすると言う。
二男が遊びに行くと、言うことを聞く二男がいいとお姉ちゃんが可愛がってくれるので、よく揉めたとか。
お母さんは、子供が六年生の春休みになると、イギリス旅行に連れて行く。
三人姉弟なので、その時はお母さんを一人占め、思いっきり甘えさせるのだと言う。
やっぱり考える事が違う。
上のお姉ちゃんは大手の食品会社で開発と研究をしている。
二男を可愛がってくれた下のお姉ちゃんは、統計学が専門で、経済アナリストのスタッフをしているとか。
Kくんのお母さんは凄い、ちゃんと教育者だ。
先生の講評・・・
Kくんのお母さんの印象が、前半と後半で落差のあるのが面白い。
筆者の素直な気持ちが書かれて快い読後感。