今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ジャンク籠から救出のPEN-D2の巻

2018年01月09日 10時40分54秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニア」さんの今年の一発目。PEN-D2 #1623XXです。きれいな個体なのに露出計不良でジャンク籠に入っていたものを救出されたそうです。D2は個体数が少ないので希少でブームの頃は相場も高かったですけどね。まぁ、有意義な活動に感謝です。確かに露出計は感度低下の状態で、稀に感度が上がるような症状がありますので回路をやり直してみましょう。

 

ははぁ、電池室の液漏れ(ガス)でリード線が腐食断線したために継いであるのね。このリード線はダイカストボディーにクランプや接着されているので引っ張っても抜けてこないので、完全交換にはすべて分解するしかないのですね。

で、新しいリード線に交換しておきます。

 

 

シャッターを分解して行きますが、ハウジングのネジが緩み加減ですね。ここはきつく締め込まないと容易に緩みます。また、PEN-Sなどのように緩み止めも塗布できませんので条件が悪いのです。私は塗布しちゃいますけど。

 

基本的にはPEN-Sと同じですけど部品が追加されて点数は多いです。

 

 

カム板、カバー、レンズ類。

 

 

では、電池室からのリード線をボディーに通していきます。元々、電池の必要がないPEN-Dが基本設計ですから、そこに電池室を設けて配線する追設計に苦心していますね。

 

このように配線されてダイカストの溝でクランプしています。

 

 

D系は後玉の曇りが持病です。シャッター羽根側は一般ガラスでこちら側は新種ガラスです。

 

例によってエンジン架に設置された栄発動機なんちゃって。。

 

 

巻き止めの掛かりを調整します。

 

 

基板の見直しと調整抵抗の交換によって感度を取り戻しました。ファインダーも清掃しておきます。

 

意外に他所さんの作業では接眼部のモルトは無視されていることが多いです。

 

 

ちゃんと貼っておきます。メーター窓と駒数ガラスの曇りを磨いておきます。

 

 

レンズネームリングはなるべくカニ目は使わず、ゴム摩擦で開け閉めした方が良いです。私はずいぶん昔から脚用ゴムを流用していますが、JHTさんから発売されているレンズメンテナンスツールが便利です。http://amzn.to/2FeVzLA

 

Dシリーズは併売されていましたね。スプールは中央D2のみ「従来のスプール」でELタイプは生産されていないことが分かります。

 

これで完成です。使用感の殆どないD2は希少です。後ろの私所有のD2と殆どシリアル№が同時期ですが、比較するとがっかりしてしまいます。こんな個体がジャンクで消えて行くのは非常に惜しいと思います。また、救出活動お願いしますね。

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