情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

「通信・放送の総合的な法体系の在り方」答申案に関するパブコメを送ろう!~21日まで

2009-07-20 00:09:22 | メディア(知るための手段のあり方)
 総務省が情報政策審議会に諮問した「通信・放送の総合的な法体系の在り方」に関する答申案がまとまり、現在、パブリックコメントを募集中だ(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin01_000021.html)。…というのは知ってはいたが、あとで考えようっと思っていたら、21日の締め切りまであと2日。しかも、21日といっても、正午までなので、実質的にはもう一日程度しかない。皆さん、もう提出しましたか?

 幸い、インターネットに関する規制はかなり後退し、なんとか、政府の直接的な関与を避けることができそうだ。

 この点については、答申案も「インターネットによる一斉同報等の放送に類似した通信を、放送とともに「メディアサービス」(仮称)としてコンテンツ規律の対象とすることに対しては、昨夏に実施した意見招請においても、昨秋に実施した関係事業者等からの意見聴取においても、批判的意見や慎重な意見が多く、これまでの考え方を変えるに至るまでの必要性は認められない。」としており、皆さんのインターネット規制に対する批判の声が届いたようだ。

 それどころか、見直しの目的の一つとして、「情報の自由な流通の促進」が掲げられており、当ブログとしては、先見の明があったのではないかとちょっと嬉しくなってしまう。

 しか~し、そんなことで採点を甘くするわけにはいきません(笑)。びしびしと、コメントしましょう。

 思うに、一番の問題は、放送・通信行政を担う部署がどうあるべきかということに関する視点がないことだ。

 韓国では、イミョンバク政権が樹立されたとたん、あっという間に、放送やインターネットへの規制が始まった。せっかくの放送・ネットの民主化が一気に後退してしまった。

 実際、同じようなことが日本でも起きた。そう、菅総務大臣時代に、あの大臣の個性によって行政指導や放送命令が発せられた。 

 放送が時の権力に左右されるようなことがあったら、民主主義の前提となる情報の流通が阻害され、民主主義が衰退してしまう。

 そこで、パブコメには、ぜひ、放送・通信行政を時の権力から独立させるためのシステム、独立行政委員会などのシステムを取り入れるような提案を盛り込んでほしい。

 二つ目に重要な点は、答申案が、放送や通信が、市民みんなの共有財産であることをまったく認識していないことだ。
 
 放送のデジタル化によって、せっかくホワイトスペース(空きスペース)ができるにもかかわらず、そのスペースを市民に開放しようという考えがまったく見受けられない。

 ただし、答申案では、ホワイトスペースについて、「いわゆるホワイトスペース(放送用などある目的のために割り当てられているが、時間的・地理的・技術的な条件によって他の目的にも利用可能な周波数)を活用するため、関係者による検討の場を立ち上げ、具体的なニーズ、利用形態、共用する技術的条件に関する技術的検証を行い、その活用可能性を踏まえ、技術基準の策定等の制度整備を行うことが適当である」と述べているので、市民への開放を求める声が大きければ、一定程度考慮せざるを得ないと思われる。

 そこで、パブコメ段階からきちんと市民メディアへの開放をアピールしておくことが非常に重要になる。

 第3点は、答申案が、放送について、内容規制をする動きを見せていることだ。すなわち、答申案は、いわゆるレイヤー化(横割り)による規制が採用されているため、放送について、「放送施設の設置と放送の業務をそれぞれ別々の行政手続とし」たうえ、地上放送などについて、「認定制」のように適格性を有する者を比較する審査手続きを導入することをうたっている。

 これを安易に見逃すと、放送内容について総務省が口を入れる手続きがさらに増えることになり、放送が現政権のプロパガンダ化してしまう。

 この点への危惧を盛り込むべきだと考える。

 第4点としては、日本では、クロスオーナシップ(系列化)規制が、「ただし、当該放送対象地域において、他に一般放送事業者、新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者がある場合であって、その局が開設されることにより、その一の者(その一の者が支配する者を含む。)がニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれがないときは、この限りでない。」という「放送局に係る表現の自由享有基準」の例外規定(第4条)=従前は、改正前の「放送局の開設の根本的基準」9条3項において規定してあったもの=によって、骨抜きにされ、実際には完璧ともいえる系列化が完成している。

 ところが、答申案では、さらに、これを緩和しようというのだ。これは見逃せない。クロスオーナーシップによる弊害を最小化することをこそ、考えなければならないのに、緩和とは…。


 以上、ほかにもあるとは思いますが、

1)放送・通信行政の政府からの独立策を盛り込め
2)通信・放送が、市民共有の財産であるとの認識を明確にしたうえ、ホワイトスペースを市民に開放するなどの方策を盛り込め
3)総務省支配の現状で、放送内容を規制することにつながる認定制度を導入することは中止しろ
4)放送局に係る表現の自由享有基準を緩和するな。クロスオーナーシップ(系列化)の弊害を防止しろ。

 という4点はぜひ、パブコメに盛り込んでほしい。



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