情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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だれでも分かる普天間問題のまとめ~ツイッターでの議論から分かったこと【随時更新】

2010-06-13 11:42:14 | 有事法制関連
 沖縄の普天間基地問題についてツイッターで議論をした結果、さまざまな論点について私なりに結論が出たな、と思うところまでいったので、ここらあたりでまとめておきたいと思う。いかに、普天間基地の辺野古への移設が税金の無駄遣いであるか(少なくとも無駄遣いではないという説明がない)、よく分かる。争点は、1)普天間基地はこのまま使い続けることができるか、2)沖縄の基地の移設先は県内でなければならないか、3)基地移設について政府は納税者に十分な説明をしているか、の3点である。え、中国や北朝鮮の脅威については争点ではないのか?ですって…。在日米軍全体を日本からなくせっていう議論ではなく、海兵隊の問題ですから、抽象的に中国や北朝鮮が脅威かどうか、なんて、議論をしても意味がない。海兵隊がいることが「脅威」なるものに対し、いかなる「抑止力」をもっているかという具体的な話をしないといけない。そして、それは政府の説明にかかっているわけだ。では、論点に。

1)まず、普天間基地を廃止するためには、辺野古への移転が実現しないといけないのだから、辺野古への移設は仕方がないという議論がなされる。しかし、この点、米軍普天間飛行場の移設をめぐって、かつて米政府代表として交渉にあたったリチャード・ローレス元米国防副次官は、

「米国は実施可能な代替案があるとは考えていない。したがって、日本の結論が辺野古案にならなければ、我々は普天間に居残るしかない。」としつつも、


「普天間飛行場は、安全や騒音の問題を抱えているから継続使用となっても長続きしない。最終的には海兵隊は撤退しなければならなくなる。」と答えている。(http://www.asahi.com/politics/update/0303/TKY201003030416_01.html)

 米国は普天間の使用継続は一時的なものでしかないことを自覚しているわけだ。

 したがって、「米政府は飛行場を継続使用していくとの判断を固めたことが分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。米政府は今後、鳩山政権の出方を見守りながら、継続使用する考えを日本側に伝えるタイミングをはかっていく」(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100418/plc1004180130002-n1.htm)という記事はミスリードするものだ。一時的には使用を継続するが、そう遠くないうちに普天間基地の使用は中止せざるを得なくなる。これを前提に議論を進めなければならない。

 仮に米国が本気で普天間使用継続を持ち出してきた場合、いつまで使うつもりなのか、明確にさせればいい。

 しかも、ローレンスは、【最終的には海兵隊は撤退しなければならなくなる】とも述べている。ずばり、国外移設が可能だということだ。海兵隊が本当に日本の安全保障に必要か、政府は具体的に答えていないわけだが、そうであれば、撤退しなければならないのであれば、どうぞお引き取りくださいということで構わないと思うが…。

 さて、使用できなくなる時期について、ここは私見だか、オスプレーを普天間で使用することには躊躇があるのではないだろうか。周辺住民もオスプレー配備にはかなり抵抗するだろうから、その時点で使用中止を判断せざるを得ないかもしれない。(以下、私見が偏っていると思う方は、無視してください。私見は補足にすぎませんから)

 なお、2014年の海兵隊のグアム移転については、グアム側の事情ですでに5年近くの遅れが見込まれており、その頃には、米国の判断として普天間は使用中止せざるを得ないかもしれない。

 沖縄の市民の反対の声、本土の市民の沖縄を支える声があれば、ことはもっと早く進むだろう。



 第2に、普天間基地の移転先は沖縄県内でなければならないか、という問題だ。
 この点については、非常に明確だ。

 琉球新報によれば、【米軍普天間飛行場移設をめぐり、大田昌秀知事(当時)が代替施設を拒否した後の1998年3月、日米の非公式協議でカート・キャンベル米国防次官補代理(現国務次官補)が日本政府の決定次第では、北九州など県外への移設が可能だとすることを、日本側に伝えていたことが琉球新報が14日までに入手した政府内文書で分かった。県外移設が不可能な理由について日本側が挙げた「沖縄の戦略的位置」を打ち消し、地元の反対など政治的に移設先を準備できないためだと指摘した。】(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-152829-storytopic-53.html)という。

 要は、沖縄県内移設は、米国の都合ではなく、日本側の都合にすぎないということ。日本政府は、有権者を納得させるために、いつも、「米国がこういっているから…」ということを口実にするが、同じ手を使っているにすぎないということが分かったわけだ。

 同紙には、日本側が【県内移設の理由として「沖縄の戦略的位置」を挙げ、さらに「沖縄に海兵隊を支えるためのインフラがあることそのものが、在沖海兵隊の県外移駐を困難なものとしている」と説明した】ところ、

【キャンベル氏は「違うのではないか。事実は、日本政府が沖縄以外に海兵隊のプレゼンス(存在)を支える基盤提供が政治的に不可能だということだろう」と指摘し、米側の運用を理由にすることをけん制した。北九州や四国への移設は可能かとする日本側の問いにキャンベル氏は「当然だ」と答えた。】と明確に書かれている。

 なお、【2001年の9・11米中枢同時テロ以降、戦略環境が変わったとして米軍再編協議では県外移設は議論していない。】というが、9・11が沖縄県内移設を拒む理由にはならない。納得させるにはきちんとした説明が必要だろう。

 私見だが、9・11後は、軍拡派が米政府内で勢力を増し、辺野古ほど沖縄にとって使いやすいところは見つからないので、対テロ戦略を口実に辺野古案を押し付けようとしている
にすぎないのではないか。


 最後、第3に、日本政府が海兵隊の県外・国外移転ができない理由について説明をしているか否か、という点である。この点は、単に抽象的な理由ではなく、なぜ、その装備を備えたその規模の海兵隊が、なぜ、沖縄の普天間という場所に必要なのか、そして、具体的に普天間でいかなる運用を行うから、ほかの場所では代替できないのか、を説明しなければならない。税金を使う場合に、必要性だけを抽象的にわめき散らしても仕方がなく、必要性、非代替性、規模の適正性などについて合理的な説明がなければならないのは言うまでもない。日本政府はこの点、具体的な説明をしていない。

 たとえば、今年4月(マスメディアが早く辺野古に決めろと騒ぎ立てていた時期)

鈴木宗夫議員の

【グアムにおける米軍施設設備に関する環境影響評価書「Draft EIS Volume2 Marine Corps-Guam2-1」によると、「ロードマップ」に基づいて沖縄からグアムに移転する海兵隊要員の中に、「航空戦闘部隊(千八百五十六名)」及び「航空管制部隊(二百五十名)」が含まれているが、これらは在沖縄海兵隊のどの部隊に所属しているのか、中隊単位で明らかにされたい。また、右部隊には、普天間飛行場に駐留する部隊が含まれているのかについても、その根拠となる関連資料を具体的に示した上で明らかにされたい。】(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a174301.htm)という質問に対し、


政府は、【グアムに移転する在沖縄海兵隊の部隊については、米国が今後移転に関する具体的な計画を作成する過程において更に検討することとされており、現時点では決定されていない。】(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b174301.htm?OpenDocument)

と答えるのみ。結局、辺野古に移転した後、どの規模の海兵隊がどのような運用をするのか、そしてそれが日本の安全保障にとっていかなる意味があるのかを、具体的にはまったく明らかにしていないわけだ。


 この点、米国は違う。議会が【NATIONAL DEFENSE AUTHORIZATION ACT FOR FISCAL YEAR 2010 CONFERENCE REPORT】という1236ページにもわたる報告書を作成し、国防予算についてきちんと精査し、その結果を納税者に明らかにしている。

 たとえば、太平洋地域海兵隊については、


【2837項 アジア太平洋地域における海兵隊の要求に関するレポートと意見
(SEC. 2837. REPORT AND SENSE OF CONGRESS ON MARINE CORPS REQUIREMENTS IN ASIA-PACIFIC REGION.)

(a)提出すべきレポート―この法律が施行されて180日以内に、国防省は、防衛委員会に対し、太平洋地域海兵隊の訓練と即応に必要なものに関するレポートを提出せよ。

(a) REPORT REQUIRED.―Not later than 180 days after the date of the enactment of this Act, the Secretary of Defense shall submit to the congressional defense committees a report on the training and readiness requirements necessary for Marine Forces Pacific, the field command of the Marine Corps within the United States Pacific Command.


(b)レポートの内容ーレポートは下記の事項を含まなければならない
 (1)常時、あるいは一時的に、配備、移転される海兵隊の部隊の詳細、それには、部隊のタイプ、構成要素、部隊の現在の位置、移転先

  (2)現在の、そして将来の部隊の能力を維持するために必要な訓練機材の詳細

  (3)太平洋海兵隊の世界規模の移動、そして戦術規模の移動を行うために必要なものの詳細、それは訓練、即応体制、世界規模の移動手段能力における困難さを軽減するための国防省の考えを踏まえた計画を含む海兵隊の移動に合致するものでなければならない。


(b) CONTENTS OF REPORT.―The report required under subsection (a) shall contain each of the following:
   (1) A description of the units of the Marine Corps expected to be assigned or realigned on a permanent or temporary basis to Marine Forces Pacific, including the type of unit, the organizational element, the current location of the unit, and proposed location for the unit.

   (2) A description of the training requirements necessary to sustain the current and planned realignment of forces specified in paragraph (1).

   (3) A description of the strategic- and tactical-lift requirements associated with the training, operational readiness, and movement of Marine Forces Pacific, including programming information regarding the intent of the Department of Defense to eliminate deficiencies in the strategic-lift capabilities.】

という感じ。


 グアムの基地個別の問題についても、米国は、

【Guam Integrated Military Development Plan】http://www.docstoc.com/docs/5646080/Guam-Integrated-Military-Development-Plan

【沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト】(http://www.guambuildupeis.us/documents)

において、きわめて詳細な情報公開をしている。

 税金を使うということはこのような説明を伴うということであり、日本政府は全くその説明責任を果たしていない。

 マスメディアはあれほど、鳩山、小沢問題について、説明責任を叫びながら、基地移転については、何が辺野古に残るのかすら、はっきりしていないのに、説明責任を叫ばないのは、防衛機密費でももらっているからかな~、おっと、これは私見でした。



 いずれにせよ、以上から、辺野古への移設は日本側が代替地を用意すれば県外でも可能であること、もし、代替地が用意できなくとも普天間はいずれ使用不可能となるので国外に移転することが分かる。

 それが安全保障上問題があるというならば、それは税金を使う政府が納税者に海兵隊が日本の安全保障上必要な理由を分かりやすく説明するべきであり、それができないならば、まぁ、米国本土へおひきとりいただくほかないわけだ。

 ツイッターでの普天間基地問題の議論において、現在の到達点だと私が考えるところをまとめてみました。

【追記】
 まぁ、こう書くと、中国の脅威を認めないのか、とか、政府は海兵隊の必要性について説明している、とか、反論する人がいるわけだが、子供手当を一人月額20万円にして、将来の日本を支える人を物理的に豊かな環境で育て立派な教育をしようなんていったら、そういう人はどう感じるだろうか?
 そんな金払うべきではないと思うだろう。
 でも、将来の日本を支える人を豊かな環境で育て立派な教育をしようということ自体には基本的に反論できないはずだ。
 脅威があるから、軍事予算はなんでも認められるという考えがおかしいことはこれだけでよく分かる。
 いかなる脅威があり、それに対して、辺野古におかれようとしている海兵隊がいかに抑止力として役立つかの具体的な説明がなされていないままに税金を新基地建設に使うことは納税者を馬鹿にした行為だということだ。


【追記2】
ついでなので、そのほかの論点で気のついたことも付け加えることにした。

(1)普天間基地が国連軍の基地だぞ~という指摘について。
 それがなんなの、という感じもするが、いずれにせよ、在日国連軍の実態は、

横田にある【司令部には、司令部要員として4名が常駐しているほか、各国大使館に駐在武官の兼務を含めて23人の連絡将校団が常駐。3~4ヵ月に1回程度の頻度で情報交換のための非公式会合を行っている】という程度(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E8%BB%8D)

 
(2)借地料で儲けているだろう!という点について
 借地料の詳細は→http://www.shindo-f.com/data_okinawa.html

 たとえば、普天間は、年間借地料坪単価(平均)5,016円 (下限値4,694円~上限値6,109円)。これ、年間の数字ですからね。もし、基地がなくなってマンション経営などできたら、はるかに儲かる。


(3)辺野古アセスに関する情報
環境アセス方法書
http://homepage2.nifty.com/~jaga/dugong/material/0708sd_kari.pdf

◆この方法書の問題点の指摘
http://jaga.way-nifty.com/dugong/files/opinion_kanshidan.pdf

環境アセスメント準備書
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/kakubu/03tyoutatubu/junbisyo/junbisyo.html

要約書
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/kakubu/03tyoutatubu/zyunbiyouyaku/zyunbisyo.html

◆アセスについてやり直しを求める訴訟の訴状
http://www.mco.ne.jp/~herikiti/img/sojo.pdf

(4)グアムのアセス
http://www.guambuildupeis.us/documents












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【ツイッターアカウント】@BarackObama

【メール】→http://www.whitehouse.gov/contactから


【ツイッター例文】
JAPAN IS NOT US'S COLONY! We won't support US BASE. All US BASE OUT! from our country.

Please HELP Okinawa. 75% of the American bases in JP is in the islands, only 0.6% of JP land. Relocate #Futenma base outside.

Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8

 




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