情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

クジラにまつわる3つの記事~グリーンピースの印象が操作されている証左

2009-06-14 08:24:19 | メディア(知るための手段のあり方)
 上の記事(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0117&f=national_0117_002.shtml)は、中国でのできごと。これを見て、やっぱり中国は野蛮だなぁ…などと思う人は結構いるよね。


 それと比較すると、下の記事(http://osaka.yomiuri.co.jp/animal/genre7/20090516-OYO8T00286.htm)は、日本の市民のクジラに対する愛護精神をテーマにしている。日本のマスメディアはクジラを助けてあげたいムードいっぱいだ。【和歌山県田辺市新庄町の内之浦湾に迷い込んだマッコウクジラの救出作業は、15日で打ち切られ、海岸で見守っていた市民らは「かわいそうだが、何とかならないのか」と肩を落とした。今後は、市などが24時間態勢で見ていくという。】という記事に違和感を感じる人はほとんどいないのではないかなぁ?





 そのことは、次の記事(http://tabi.chunichi.co.jp/odekake/0330002mie_tateboshiryo.html)のように、海岸に追い込んだ魚を喜んでつかみ取りする光景が野蛮だという視点で伝えられていないことと比較すると、よくわかる。魚は食べ物として扱われ、クジラ(日本沿岸のクジラ)は野生動物として扱われる。





 ところが、よ~く考えれば、中国は、南氷洋での捕鯨などはしていない。他方、日本は南氷洋での捕鯨にこだわっている。

 そして、環境保護活動の一環として反捕鯨キャンペーンを行うグリーンピースに関する印象は、日本ではお世辞にも良いとはいえない。そのような印象が根付いたのは、マスメディアの取り上げ方にも一因があると思う。南氷洋での捕鯨活動については、マスメディアは、肯定的に受け止め、それに反対する者を冷たく取り上げる。

 なぜ、日本沿岸でのクジラに対するマスメディアの姿勢と南氷洋のクジラに対するマスメディアの姿勢は180度違うのだろうか?

 クジラに対する日本の市民の感情は、本当は、沿岸に打ち上げられたクジラに対する感情に代表されるのではないだろうか?それにもかかわらず、南氷洋の捕鯨への反対の声が盛り上がらないのは、やっぱり、マスメディアの取り扱いの違いによるとしか思えない。

 たとえば、南氷洋の捕鯨に関するニュースになぞらえるならば、田辺のニュースは次のようになるはずなのだ。



 ■■パロディ開始■■

 和歌山県畑辺市古庄町の外之浦湾に迷い込んだマッコウクジラの遠洋追い出し作業は、15日で打ち切られ、海岸で見守っていた市民らは「これでクジラが食べられそうだ」と喜んでいた。他方、作業していた団体のメンバーは、「かわいそうだが、どうにもならない」と肩を落とした。古庄警察署は、追い出し作業時に、違法な行為があったのではないかとみて作業に関与した者から事情を聴く方針だという。

 追い出し作業は、鯨肉を食べたいという市民らの批判の声にもかかわらず、朝に約1時間強行されたが、クジラが出て行く様子はなく、中止された。水産庁などとも協議したうえで、打ち切りを決めたという。16日以降は、クジラの肉を求めて、大勢の市民が訪れると予想され、周辺の交通整理や警備にあたるという。

 クジラは、何度も体が横倒しになるなど弱ってきている様子。見ていた親子づれは、「捕鯨は日本の伝統。活きのいいうちに早く食べたい」と笑顔で話した。
  
 ■■パロディ終了■■

 このパロディ記事に違和感を感じるならば、本来、税金を使った南氷洋の捕鯨にも違和感を持つべきだが、そうなっていないというのは、まさにメディアのマジックだ。

 そうそう、毎回、注記するのもなんだが、私は「横領」鯨肉「窃盗」弁護団に所属している。とはいえ(「とはいえ」ってのも変か)、個人的にはおいしいものは好きなんだなぁ。でも、おいしいものが食べたいとしても、沿岸捕鯨でいいんじゃないかな~と思うようになっている。そう書くとこの記事の内容と矛盾しているじゃないか~という声が上がりそうだが、この記事のテーマはマスメディアの印象操作について述べているのであって、捕鯨の当否が直接のテーマではないので、ご注意を。

  



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