情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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毎日新聞余禄欄執筆者は、2ちゃんねらー?~「労働なき富」に、母親からの資金ネタで食いつく単純さ

2010-01-30 08:32:33 | メディア(知るための手段のあり方)
 今日の毎日新聞の「語録」(朝日新聞でいう「天声人語」)は本当に残念。まるで2ちゃんねら~の言葉じりを捕らえた突っ込みのような感じ。いや、その浅薄さは2ちゃんねるを例に出すのが失礼なくらいだ。語録には次のように書かれている。

 【母から贈与された資金が政治問題化しているさなか、先哲の言葉を引き「労働なき富」の大罪について国民に説いた首相演説は初めてである。(中略)何も首相がガンジーの遺訓に共感したことを疑うつもりはないし、その善意を否定もしない。しかし、演説を聞いた国民が、この言葉の語り手は果たして切れば血の出る現実と本気で渡り合っているのだろうかとうい疑いを抱くのは仕方ない】

 鳩山は、ガンジーの「七つの社会的大罪」を引用した後、次のように演説した。

 【20世紀の物質的豊かさを支えてきた経済が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。資本主義社会を維持しつつ、行き過ぎた「道徳なき商業」、「労働なき富」を、どのように制御していくべきなのか。人間が人間らしく幸福に生きていくたまえに、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。今、その理念が、哲学が問われています】

 鳩山がターゲットにしたのは、「道徳なき商業」、「労働なき富」であり、それらに搾取されている「国民」ではない。彼は、【「労働なき富」の大罪について国民に説いた】のではなく、「労働なき富」をいかにして制御するかが課題であり、自らがそれに取り組むことを宣言したわけだ。

 したがって、本来、この演説については、新自由主義からの転換を改めて宣言したものだという評価がなされるべきであり、例えば、経済の自由の必要性とそれを制約することの必要性との調整をいかになしていくべきかという非常に重大な課題について、市民も積極的に考える必要があることを新聞社は訴えるべきだろう。

 そもそも、「道徳なき商業」、「労働なき富」について、鳩山が批判できるのは、民主党が企業からの献金を多額には得ていないからである。

 2008年には、経団連会員企業の献金額は、自民党へは27億円、民主党へは1.1億円だった。2004年から2008年までの5年間の合計金額では、自民党へは128億4000万円、民主党へは3.9億円。


 いいですか、128億4000万円 VS 3.9億円。

 民主党は自民党のわずか3%の献金しか得ていないわけだ。

 この圧倒的な資金力の差を鳩山家の私財を投じるなどして対抗し、民主党は政権を獲得するに至った。

 もちろん、首相が私利私欲を貪るための資金として母親からの資金を使ったという評価がなされるのならまた、違ってくるだろうが、鳩山氏が多額の企業献金を得たなどという報道はない。むしろ、そういう意味ではクリーンな政治家といえよう。

 余禄担当者に悪意を感じたのは、それだけではない。

【何も首相がガンジーの遺訓に共感したことを疑うつもりはないし、その善意を否定もしない】という部分からは、なんだか、鳩山が単にガンジーの遺訓に共感したことを話しただけのように聞こえる。

しかし、そうではない、彼は、「道徳なき商業」、「労働なき富」に対し、ある意味、宣戦布告をしたわけだ。新しい形の富の偏在を許さないという固い決意だ。

母親からの資金の問題で叩かれるのが分かっていながら、あえて、そこに触れた鳩山の勇気を称賛したいし、また、いったん口にした以上、新しい形の富の偏在の是正に本気で取り組んでほしい。実行するかどうか、市民は監視を続けなければならない。

※冒頭の画像は→http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51253608.htmlから



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