情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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民主党の放送に関する独立行政委員会は本当に機能するのか~原口構想の問題点を指摘する

2009-10-08 18:00:50 | メディア(知るための手段のあり方)
 民主党が検討している放送行政に関する独立行政委員会がずいぶん、変貌しているような感じだ。冒頭の図は、原口総務大臣が朝日新聞に対して回答した内容を図示したものらしい。もともと、民主党の提案は、免許付与権限も委員会に与えるしくみ、つまり、総務省のうち規制監督権限を独立行政員会に移すというものだったはずだ。しかし、この図では、免許などの権限は総務省に残したまま、権限行使の適否をチェックする機関として、独立行政委員会を設けるようなのだ。警察に関する公安委員会のようなものだろう。

 原口大臣は、【放送局に対する総務省の規制・監督を監視する組織とし、番組内容などへの不当な介入を防ぐ役割を持たせる。「言論の自由を守るとりで」とする考え】(朝日:http://www.asahi.com/politics/update/1005/TKY200910050436_01.html)だという。

確かに、朝日新聞が指摘するとおり、【自民党政権時代には、関西テレビの「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題をきっかけとした07年の放送法改正論議で新たな処分規定が検討されるなどメディア規制の動きが何度も浮上。放送免許を付与する権限を持つ総務省も、番組の内容に問題があったなどとして、しばしば行政指導を行ってきた】のであり、原口大臣が【時の政権の意向が放送局への圧力となり、言論統制が起きる恐れがある、との認識を示した。その上で、委員会の基本的な性格を「政治権力から独立した委員会」とし、言論統制の危険を排除する、と強調した】点は正しい。

 また、【FCCは番組の内容を規制する権限も持っているが、委員会は放送界の自主・自律にゆだね、口出しはしない。放送による人権侵害などの救済は、現在は、NHKと民放がつくる第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)が担っているが、今後もこの枠組みを尊重していく】という見解も歓迎すべきだと思う。

 しかし、欧州評議会の指令でも指摘されているとおり、内容について独立行政員会が一定の機能を持つことで行政がないように直接口出しすることを防ぐことができるという一面もある。

 したがって、大臣が交代すると頻発したりした「行政指導」を総務省が実施しないというルールも必要になろう。独立行政委員会が内容について規制権限を持たないということは、番組内容について総務省が発した行政指導についても何も言えないということになるからだ。

 しかし、そもそも、総務省に免許権限などを残した上で、本当に監督ができるような独立行政委員会を設置することができるだろうか?これはかなり難しいのではないか。

 システムとして考えられるのは、免許付与などの審査を実質的に独立行政委員会が担当し、総務省はその指示に基本的に従うというような仕組みだろうか…。

 いずれにせよ、民主党の独立行政員会構想は今後も監視し続ける必要がある。






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