情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

国家公務員から取材、記者に証言拒絶認めなかった東京地裁藤下判事とは

2006-03-15 06:49:38 | メディア(知るための手段のあり方)
米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、読売新聞記者が、同社の課税処分に関する取材源の証言を拒んだことの是非をめぐる裁判の決定が14日、東京地裁であり,藤下健裁判官は「記者が得た情報が、国家公務員の守秘義務に反して得られた可能性がある場合、取材源の開示を求めるのはやむを得ない」と述べ、取材源を明かすよう命じた。同裁判官は、情報源が仮に国税庁職員など政府職員の場合、課税情報を記者に伝えることが国家公務員法の秘密漏洩(ろうえい)罪に当たると指摘。「このような場合に証言拒絶を適法として認めると、犯罪行為の隠ぺいに加担することになる」とした。さらに同裁判官は、記者が取材源を明かすことで政府職員らからの取材が難しくなったとしても、「法秩序の観点からはむしろ歓迎すべき事柄」と述べた。(読売)。

この裁判官は,「裁判官Who’s Who」によると,83年に東京地裁判事補となった後,法務省民事局,在オランダ大使館一等書記官,法務省民事局第5課長,中央省庁等改革推進本部事務局企画官などを歴任した上,東京高裁判事を経て,東京地裁裁判長となっている。

どちらかというと,裁判官というよりも高級公務員という感じか?だからこそ,「記者が取材源を明かすことで政府職員らからの取材が難しくなったとしても、『法秩序の観点からはむしろ歓迎すべき事柄』」という発想が生まれるのだろう。

裁判は、米国の健康食品会社の日本法人の課税処分に関する報道に絡んで行われたもので,日本の各報道機関の報道について、米司法当局が記者らの嘱託尋問を求めたが,NHK記者についての昨年10月の新潟地裁決定は、記者にとって取材源は民事訴訟法上、証言拒絶が許される「職業の秘密」に当たると認定している。

抗告審が,真に報道目的で、社会観念上も認められるものなら、それは正当な業務行為である」という最高裁判決(「外務省機密漏洩事件」)に則った判断をなすことを期待したい。




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