自衛隊員は取材に応じてはならないのか～防衛省・「記者取材お断り」？！通達

　読売新聞が中国潜水艦の事故について独自ルートの情報で記事にしたことに関連して、情報源とされた一等空佐が今年２月、自衛隊法違反（防衛秘密の漏洩）の疑いで強制捜査されたうえ、３月、書類送検されたという事件があった(※１)。ちょうど、そのころ、自衛隊内部では、「部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領について」と題する事務次官通達が発せられていた。この通達については、５月になってようやく、産経新聞が記事にして公になった。その記事の防衛省のコメントでは、「通常の取材活動は含まれない」としている。しかし、通達が実施されたのは、今年２月、読売新聞に情報を提供した一等空佐が自衛隊警務隊の家宅捜索を受けたことが大きく報道されたのは２月中旬、この「偶然の一致」は、記者へは情報を漏らすなという示唆にほかならないと思うのは、私だけではないはずだ。

　通達には、上司への報告が必要な場合として、「再三にわたる電話、電子メール等により接触、職務に係る情報の提供等を求められた場合（明らかに不当な働き掛けに至らないと認められる場合を除く）」（※２）が挙げられている。

　そのうえで、この通達に関するＱ＆Ａで、部外者には、「記者や国会議員も含まれる」と明記した上、口頭による情報提供要望も※２の事例に該当するとしている。

　そして、肝心なことは、このＱ＆Ａには、「通常の取材活動は含まれない」とは書いていないことだ。前述のとおり、この通達が実施されたあとに、中国潜水艦事故に関する情報を記者に漏らした一等空佐が強制捜査された。この情報は、本来、国民に公開するべき種類のものであり、秘密にするべきものではないはずだ。それにもかかわらず、その類の情報すら記者に漏らしたら大変なことになりまっせという脅しだ。

　防衛省になって自衛隊がやりたい放題している事例の一つだと思う。

　ちなみに、防衛省は、内部告発についても目を光らせているようで、内部告発の手続きに関するウェブページ（※３）には、必要もないのにわざわざ、【平成１８年４月１日から平成１９年３月３１日の間に防衛省の公益通報窓口に寄せられた情報については、公益通報の受理対象となるものはありませんでした】と書いてある…。

　防衛省を庁への格下げを！


※１：http://www.j-cast.com/2007/02/16005573.html

※３：http://www.mod.go.jp/j/library/koueki_tuho/index.htm

【参考記事】
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/225865d026d7e02197d86421f9be9844




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