情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

Firefoxと記者氏名非公開~政府インターネットTVについて

2006-01-04 19:38:11 | インターネットとメディア
白片吟K氏さんのコメントにあったFirefoxについて,ネットで調べていたところ,政府インターネットテレビに関する記事があった。IEしか使えない…と思ったらFirefoxも使えたとか,いや使えないとか書いてあり,非IEユーザーはまだまだ大変そうだ。ところで,質問する側の記者の所属,氏名が消されていることについて,その記事に少し書き込みがあった。消されている経緯は,読売新聞政治部次長柴田岳氏が新聞研究12月号で次のように説明している。

1)内閣広報室が2005年5月,インターネットテレビを始めたいと官邸記者クラブに申し入れた。

2)記者クラブは,6月,報道取材と政府広報との線引きという根本的な問題を含んでいることなどから,日本新聞協会の編集委員会に是非の判断を仰いだ。

3)編集委員会は,9月,次の5点を留意点として,インターネットテレビを認めるという考え方を示した。
  ①実施にあたっては必ず報道側に了解を求め,その都度,配信内容,配信方法等について適切な対応をとるよう行政側に要請する。
  ②報道目的の会見である異常,報道機関の活動が阻害されるようなことがあってはならない。

  ③行政側が独自の広報開始を契機に,報道機関への広報機会の削減・停止,あるいは報道機関の活動を阻害しないよう要請し,監視する。

  ④記者会見の内容を,行政側に都合のいいように編集することは認められない。報道側と協議し了解を得た編集はこの限りではないが,いかなる場合にあっても,行政側の判断で事実が歪曲されることのないよう監視する。

  ⑤報道側も取材機会をより拡大するよう働きかける。

4)これを受けて,官邸記者クラブは,同月,内閣広報室と協議をしたうえ,前記5項目を基本とした確認をして,インターネットテレビを認めた。

5)この際,【官房長官の記者会見などで質問者が社名や氏名を名乗っている部分は配信の際は削除し,質問内容をテロップにするなど,視聴者が理解しやすい内容にすることになった】。

6)また,首相の「ぶらさがり」取材の動画配信は,ぶらさがりの位置づけなどが曖昧な部分があるため,配信対象からはずした。


上記5は,①質問者が社名や氏名を名乗っている部分は配信の際は削除する,ということと②質問内容をテロップにするなど,視聴者が理解しやすい内容にするという異なった論点を含んでおり,①についてはなぜそうなったかについて柴田氏は触れてはいない。しかし,内閣広報室からそのような要望があったとは思えないため,記者クラブ側(幹事は読売)からの要望だと思われる。

柴田氏は,ぶらさがりなどの取材について,【重要テーマについては,首相番の若手記者に質問をまかせず,ベテラン・中堅記者がぶらさがり取材に参加し,首相がはぐらかしたり,拒否したりした場合は,それを報道するくらいの緊張感が必要だろう。「政府インターネットテレビ」が動画配信をためらうような厳しいやりとりが連日行われるべきなのだ】と指摘している。


立派なご指摘である。ただし,残念ながら,個人的には,少なくとも,テレビで見るぶら下がり取材で,小泉を困らせるような質問を聞いたことがない。

【報道取材と政府広報との線引きという根本的な問題を含んでいる】と言われても,どこに違いがあるのか,と突っ込まれるのが落ちではないか,とも思う。

さらに,所属社と氏名を削ることになった経緯を読んで,「やっぱりね」とがっかりした。

その先に,上記の立派なご指摘があったわけだ。
是非とも読売新聞が先頭に立って実践してほしい。何なら,柴田政治部次長(いわゆる「デスク」,当番で政治面の編集をする役…のはず。東京読売では違っていたら訂正します),あなたが,質問してはどうでしょうか!もちろん,所属社と氏名を削除しないように申し入れた上で!


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