情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

米国がまたまた違法捜査~メディアが次々批判(その時が来たら日本のメディアは…)

2006-06-28 01:31:08 | メディア(知るための手段のあり方)
【国際的な資金移動の大半を把握できるという金融ネットワークを監視に利用して、米財務省がテロ組織の摘発に役立てている実態が23日明らかになった。金融機関を結ぶ世界的な通信ネットワーク「SWIFT」(本部・ベルギー)から情報を取得。工作員らの捕捉などに「極めて効果的」(財務省幹部)というが、人権団体などからはプライバシー侵害を懸念する声も出ている】(朝日)という問題で,【米主要各紙は同日、この問題を一斉に報道。スノー長官は「米国民の個人的な取引記録をあさっているわけではない」として、監視はテロ容疑に限定し、国民のプライバシーに配慮していると強調。テロ組織の資金源を捜査するための「情報源と手段が公になったのは大変残念だ」と報道を批判した。】(西日本新聞)という。

これに対し,【米紙ニューヨーク・タイムズは金融取引情報の入手をめぐる報道がブッシュ政権に批判されていることに対し、真っ向から反論して】おり,【ビル・ケラー編集主幹は25日、電子版に載せた読者への手紙で「この国の創始者たちは、大統領の言葉をうのみにしたり、報道内容に関する重要な決定を政府にゆだねたりすることを、賢明でも愛国的でもないとはねつけた」と指摘。さらに「今回は合法性に疑念を抱く当局者もいた。正確な報道は公益に利すると信じている」と訴えた。 】(読売)という。


その手紙の原文にあたってみた(ここ)。

It's an unusual and powerful thing, this freedom that our founders gave to the press.(祖国の創始者がプレスに与えた自由は,とてつもなく力強い) Who are the editors of The New York Times (or the Wall Street Journal, Los Angeles Times, Washington Post and other publications that also ran the banking story) to disregard the wishes of the President and his appointees?(ニューヨークタイムズの編集者が大統領や部下の意向を軽視するはずがない) And yet the people who invented this country saw an aggressive, independent press as a protective measure against the abuse of power in a democracy, and an essential ingredient for self-government. (しかし,この国の創始者は,民主主義社会において,攻撃的で独立したプレスを避けられない権力の腐敗からの守り手だと考えた)They rejected the idea that it is wise, or patriotic, to always take the President at his word, or to surrender to the government important decisions about what to publish. (創始者たちは,大統領の言葉を常にその言葉どおりに受け取ったり,何を報道するかという決定を政府に委ねることが,賢く,愛国的だ,という考え方も排除した)

The power that has been given us is not something to be taken lightly. The responsibility of it weighs most heavily on us when an issue involves national security, and especially national security in times of war. (我々に与えられた力は軽く考えるべきではない。国家の安全,特に戦時における国家の安全に関わる問題をテーマとするとき,その責任はもっとも重くなるのだ)

こういうメディアがあったら,「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」という発言をすることはできないのに…と思ってしまうのは,隣の芝だからだろうか…。


ちなみに,【令状のない電話盗聴や通話記録収集に続く銀行取引の監視について、プライバシー侵害を懸念する米国自由人権協会は「ブッシュ政権の権力乱用だ」と非難した。】(上記西日本)という。



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憲法改正国民投票法案で社民が条件闘争!?

2006-06-28 00:46:17 | 憲法改正国民投票法案そのほか
ちょっとびっくり。朝日新聞によると,【憲法改定の賛否を問う国民投票法案にどう対処すべきか、社民党が苦慮している。共産党と同様にあくまでも廃案を目指しているが、現在の議席数を考えると成立の阻止は難しい。このため、「もし法案が成立してしまうなら、せめてより良い制度にすべきだ」として、法案の修正を視野に入れた現実的な条件闘争論が上がり始めた。】というのだ。

確か,社民党は,現時点での国民投票法成立の狙いは憲法9条改悪にあるため,断固反対という立場ではなかったか…。

個人的には,国民投票法案自体は,必要であればつくればいいが,今は特に改憲自体必要がないため,国民投票法案をつくる必要もないと思っている。教育基本法だって必要もないのに改悪しようとしているが,自民党が考えているのはそれと同じだ。

安倍はいう。「戦後教育のあり方にも検討すべき問題があったと思う。夢を持たない若者の増加や不登校児童の増加、倫理観の欠如、学級・学校崩壊、学力低下など、いまの教育は社会の現状に対応できていない。21世紀にふさわしい日本の教育の柱を立てるため、私たちは教育基本法改正案を国会に提出した」(安倍ブログより)

では,新しい教育基本法案は,どこが違うのか。「最も大きな違いは、現行法では抜け落ちていた、『公共の精神を尊ぶ』『伝統・文化の尊重』『郷土や国を愛する気持ち』『生命や自然の尊重』『道徳心』『自律の精神』などを書き込んだこと。21世紀にふさわしい、日本の香りがする改正案だと思う」

へぇ~,

教育基本法で,『公共の精神を尊ぶ』『伝統・文化の尊重』『郷土や国を愛する気持ち』『生命や自然の尊重』『道徳心』『自律の精神』を唱えば,

若者に夢を持たしたり,不登校児童を登校させたり,倫理観を備えさせたり,学級・学校の崩壊をとどめたり,学力アップすることができるんだぁ。

まぁ,道徳心っていうのは,倫理観に近いのかも知れないが,ほかは,かすりもしていないのでは…。

…というくらい,まったく,必要のない教育基本法改正を進める自民党政権下で改憲をさせてはならない。そう思う。


ただし,【共産党と合わせても議席は少なく、憲法で認められた国民投票そのものを否定することはできないという悩ましさがある。】のは事実だ。

また,天下分け目の決戦の時に,【「どうして国会でちゃんとした土俵を作ってくれなかったのかと言われかねない」】というのもそうだろう。

しかし,条件闘争は,まだ,早すぎないだろうか。自民党が次期総裁について必ずしもまとまったわけではないこのときに,なぜ…?

難しい問題ではあるが,市民の声を十分に聞いて方針を決めて欲しいもんです。





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