集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

由宇の山の奥から

2015-05-01 19:42:29 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 いやあ、広島カープ、今年は最強ですね!!!二軍が・・・・(ガッカリ)。
 一軍も二軍と同様、ぶっちぎりの首位であればいいのですが、まあ・・・いつもの姿ですよ。ファン歴30年弱。嫌な慣れが身について困ります(泣)。
 このへんの諦めが早いのも、イマドキのカープファンと一線を画するところですね。悪い意味で。

 それはともかく、今現在ウェスタン最強のカープ二軍が、山口県岩国市由宇町(当時は玖珂郡由宇町)の山奥に本拠地を構えたのは、忘れもしない平成5年春のことでした。
 それまでのカープ二軍は、今は亡き市民球場で親子ゲーム(昼に二軍、夜に一軍の試合をすること。最近少なくなりましたね)をしたり、呉の二河球場を借りたりと、結構なジプシー生活をしていました。ついにできた二軍の本拠地に、ジモピーはウキウキした記憶があります。
 由宇練習場のメイン球場は、両翼100m、センターまで122mの堂々たる球場。やたらとファウルグラウンドが広く、かつ、メジャーリーグのようにサード側にホームチームが陣取るという特異な形状は、後日マツダスタジアムを作るときの様々なデータ取りに使われております。メイン球場のレフト場外には、サブグラウンドと鳥かご(バッティング練習用のケージ)、ブルペンなどが設置。プロの練習に資するものが全て整った由宇練習場は、山口県のド田舎に突如舞い降りた、当時の球界最先端の球場でした。
 ただ一つの欠点を除いて・・・

 由宇練習場の設置場所は、いまもって「日本プロ野球最後の秘境」と呼ばれる、恐ろしい山奥です。
 おそらく建造前、貧乏なカープ球団が土地探しをする時に、「若手選手の寮がある広島県佐伯郡大野町からほど近いところで、安く広大な土地が手に入るところ」・・・という条件で土地探しをしたからこんな場所になった、てなところだったんでしょうが、まあとにかく、すごい山奥です。
 付近は「笠塚」という、もともとは人家が2~3軒あるかないか、という集落で、最寄りの駅(山陽本線由宇駅)まで車で30分、最寄りのIC(山陽道玖珂IC)まで車で同じく30分。選手が練習辛さに脱走しても、すぐさま追っ手がかかってとっ捕まる、という素晴らしい球場です。
 また、山の中にあるせいで、走るコースがとってもたくさんあります。
 試合前、選手はアップで坂道や階段をダッシュ!試合中、先発を外れた先発投手陣は外野の外側に作られたランニングコースをダッシュ!試合後、エラーやヘボいバッティングをした選手はバツとして坂道をダッシュ!てな感じで、カープ二軍はとにかく良く走ります。
 それ以外にも激しいノック、何時間にも及ぶロングティー。凄まじい叫び声を上げながらの投げ込みなど、傍で見ているだけで、吐き気がするほどの練習量。やはりプロはこうでなくては、というほどの努力を見せてくれます。

 しかし考えてみれば、こういうものを間近に見ることができる環境があるというのは、幸せなことです。
 プロの世界は一見華やかですが、その実、激しい競争の世界です。その競争を勝ち抜くためには、いろんな学校や地域で天才と言われた選手が、ゲボを吐くような凄まじい努力と闘志をぶつけあって、やっと勝ち上がるものだ、ということを、由宇練習場では毎日のように見ることができます。
 その割に、うちの地元の教育程度はなかなか上がってくれませんが(恥)。
 しかし、その努力を見るに付け、カープの選手みんなに幸せになってほしいなと、つくづく思います。

 そういえば由宇練習場からは、数々の有名選手が旅立ち、あるいは逆戻りしてきました。
 今までで一番印象に残る選手を挙げろ、と言われれば、やはり堂林翔太選手ですね。
 高卒ルーキーのころから知っていますが、高卒すぐとは思えない鋭いバッティング!そして、甲子園優勝校のピッチャーとは思えない雑な守備(泣)。
 1回の試合で、3本ヒットを打ったら3回エラーする、というような不思議な選手でした。
 守備力はあまり変わってないようですが(泣)。
 
 ともかく、若鯉が鍛えに鍛える由宇練習場は、日本プロ野球に残された最後の「道場」のような気風を残す場所です。
 車の運転に自信のある方は、ぜひ一度、由宇練習場に来ていただきたいと思います。
 きっと、日本一の厳しい練習と、すばらしい選手に出会えるはずです。
 そのかわり、お弁当やお茶は事前に準備してきてください。付近には本当に、なにもありませんので・・・

コメントを投稿