tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

年金運用損5・8兆円

2008年07月04日 15時27分09秒 | 社会
年金運用損5.8兆円
 平成7年度、厚生年金と国民年金の積立金のうち91兆円ほどを運用していた「年金積立金管理運用独立行政法人」というところが、1年間の運用の結果、5.8兆円の赤字を出したと報道されました。
 大切な国民の金を預かりながら大変怪しからん話だという見方もあるでしょうし、 サブプライムローン問題などで、世界中の金融機関が大きな損害を出している中で、その程度で済んだのはまあまあ良かったという見方もあるでしょう。

 厚生労働大臣は、担当者の首をすげ替える意向だなどと報道されています。世界経済がこれほど混乱し、先行きが不安視される中で、もっとうまく運用しろという意思表示なのかもしれませんが、何をどこまでやるべきだと考えているのでしょうか。

 原油やトウモロコシ、大豆に手を出せば、うまくいけば儲かるかもしれません。株が下がる時は、空売りして安値で買い戻せばもうかるでしょう。日本の政府が年金の積立金でそんなことをすべきでしょうか。運用利回りを極大化することを目標にした資産運用というのは、結局は、当世流行の「投機による富の移転」に手を出すことです。それこそが世界経済の混乱の大きな原因ではなかったのでしょうか。

 年金問題は深刻です。少しでも多くの運用益をという政府の気持ちもわかります。しかし最も基本的な問題として、マーケットを利用して、他人の創った付加価値を、旨いことこちらに移転させて、キャピタルゲインで年金問題のやりくりをする、といったことでいいのでしょうか。

 世界の安定と健全な経済成長に貢献することが日本の使命だとすれば、エネルギーや食糧問題に役立つような技術開発を徹底し、それらの分野で世界のリーダーになり、世界に貢献することで日本の経済成長を回復し、その経済成長の成果、つまり、自分たちの努力による成長の成果で年金財政も賄っていくというのが、日本の本来のあり方ではないでしょうか。 

 問題は、91兆円の運用の仕方などではなく、政府、さらには今日の日本のリーダーたちの志とビジョンの欠如のような気がしてなりません。

 

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