tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経営の長期視点と短期視点 2

2015年07月19日 11時03分00秒 | 経営
経営の長期視点と短期視点 2
 前回は日本的 経営の基本になっている考え方について、旧日経連が出した「これからの経営と労働を考える」をベースに見て来ました。

 経営における「長期視点」と「人間中心」の理念は、日本的経営の基本理念と認識されていますが、考えてみれば、これはエクセレント・カンパニーに共通した理念なのでしょう。アメリカでもヨーロッパでも、優れた企業は人を育て、長期に存続発展して来ています。

 しかし残念なことに、アメリカが経常収支赤字国に転落を明確に(1970年)して以来、先ず当期利益、そして資金繰りが目先の重大事になり、その手段として発達したマネー資本主義、金融工学によるキャピタルゲイン指向が、時価会計やキャッシュフロー重視の会計原則を生み、短期視点の経営が増えてきたことは否定できないようです。

 賃金・報酬の支払いなどでも「成果主義」が言われますが、成果主義は、通常前期の成果を対象としたもので、3年後、5年後を見通し将来の成果を高めていくような視点のものではありません。

 現実問題として、長期的な経営視点をないがしろにして、当期利益の極大化を図ろうとすれば、それは不可能なことではありません。今までの会社の積み上げた成果を当期利益に集中して実現し、さらには将来への投資を怠り、将来にコストを負担させて今期の利益を極大にすること(利益の先食い)は、やりようによっては十分可能です。

 悪く言えば、「あとは野となれ山となれ」方式の経営ということになります。世界のGMを巨大な債務超過企業にしたり、リーマンブラザーズ破綻で世界中に迷惑を掛けたりといったことはそうした経営の典型でしょう。

 環境問題では「サステイナブル=持続可能」ということが至上命題となっています。であってみれば、経済・経営問題における「サステイナビリティー」も、その経済の中に住む人びと、その企業で働く人びとにとっては至上命題でしょう。

 世界経済は1960年代の高度成長期から、1970年代以降のインフレ、スタグフレーション、さらに低成長・デフレ模様といった停滞期に入り、一国経済も、企業経営も短期的視点になり、マネー中心、人間は手段化といった誤った方向に進みつつあるように感じる人も少なくないのではないでしょうか。

 そうした中でも、日本経済、日本企業はそうした動きに流されず、「長期的視点に立ち」人間中心」の理念で着実な成長発展に進んでほしいものです。
 それがひいては、世界に役立つことになるのではないでしょうか。


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