tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

神話を信じるか見破るか

2011年07月20日 12時54分49秒 | 社会
神話を信じるか見破るか
 昭和一桁生まれのわれわれの世代は3つの大きな神話を経験したように思います。

 その第一は、皇国史観です。日本は神の国で、戦えば必ず勝つ、日本の戦いは聖戦であり国民はそれに命を捧げなければならない・・・・、などなど。
 1945年8月15日、これは作られた虚構であることが明らかになり、物心がついてから正しいと教えられていた価値観の崩壊を経験することになりました。

 第2の神話は土地神話です。地価は何時までも上昇を続けるものだから、土地を買っておけば必ず儲かる。 金を借りてでも土地を買ったほうが得ですよ。
 この神話は、1960年代の高度成長期から1991年まで続きましたが、バブル崩壊で破綻し、多くの悲劇を生みました。

 第3の神話は、原子力発電所の安全神話です。原発がエネルギーの大量安定供給を支える救世主として生まれ、それに付随して語られることになったこの神話は、日本の高い技術力への信頼とともに広く信じられてきましたが、今回、残念ながら崩壊することになりました。

 こうした神話は、すべて作られたものです。神話が虚構であったことがハッキリしてからよく考えてみれば、辻褄の合わないこともたくさんあり、なんで信じてしまったのかなということになるのですが、多くの人にはなかなか見破れないのです。だから神話になりうるのでしょう。

 しかし、こうして何回も騙されてくると、だんだん知恵がついてきて、だまされなくなる人も多くなるのではないでしょうか。
 かつては、戦争に反対した人も、土地バブルの崩壊を見通し、土地政策に反対した人もいました。原発についても同じと思います。
 しかし、世の中の多くの人が神話を信じてしまいますと、神話が真実として機能し、反対意見を制して、世の中を動かしてしまいます。

 では何故神話が生まれるのでしょうか、神話は「こうあってくれればいい」という多くの人の願望に沿ったもだからこそ、信じられるのでしょうが、そこには、そうした社会の願望に便乗したり、最初から意図的に神話を作り上げたりして、その神話を推進していく集団が必ずいるようです。

 誰が、何のために神話を広めるのかがわかれば、神話が真実か虚構か、神話を信じるべきか、その虚構を見破るべきかの判断にも役立つでしょう。

 もちろん神話もすべてが誤りであり、虚構であるわけではありません。
 古事記も神話です。古事記には、おかしなこと、奇妙なこと、真実とは考えられないことがたくさん書いてあります。しかし古事記から読み取り、学ぶべき大事なこともたくさんあります。
 神話のレベルが違うかもしれませんが、神話を如何に理解すべきか、神話に如何に対すべきか、よくよく考えなければならない問題のようです。


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