tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マイナス金利の功罪:1

2016年02月19日 14時21分20秒 | 経済
マイナス金利の功罪:1 経済と金利の関係
 マイナス金利が世界的に議論のテーマになっていますが、金利というものの「本来の性質」からマイナス金利問題を考えてみましょう。

 まず、なぜ金利がつくかです。「ヴェニスの商人」で明らかなように、キリスト教では昔は金利を取ることは認められていませんでした。同じルーツを持つイスラム教では今でも金利は認められていません。

 経済思想史ではプロテスタンティズムの勃興とともに金利が正当化されることになったといわれますが、これは産業革命、「経済成長の一般化」と関係があるのでしょう。

 中世のように何百年も経済成長ほとんどない世界で、つきあいのあるのは親戚知人ばかりという社会状態の中では、お金を貸すのは親切な行為で、返礼は「感謝」の気持ちということが当然だったのでしょう。今でも兄弟や友人に金を貸した場合、誰も「金利は何パーセント」などと言わないでしょう。

 しかし、経済が成長を始め、社会が広がり、カネを貸した相手(アカの他人)が、それで大きな利益を上げるといったことになると、自分が利益を上げるチャンスを相手に渡してしまうことになるので、相手の儲けの中からいくばくかの金利をもらっても当然ということになったのでしょう。

 金利というのは、もともと、経済成長のあるなしと、お金を貸す相手が、身内か他人かといった要因で決まってくるように思われます。
 
 ところで今の金融システムではカネの貸借は他人同士ですから、金利に関わる条件は、基本的に経済成長ということになります。
 そこで、経済と金融の関係を考えていく中から、「金融政策」が生まれることになります。

 そして、金融政策の考え方というのはどうなるかですが、もともと金融というのは、実体経済に従って動く従属変数の様なものです。
 たとえば、経済活動が活発になって、いろいろな取引が沢山行われれば、取引に必要なお金(通貨)は沢山必要になります。それで儲けが大きくなって、金利が相変わらず低ければ、カネを借りて商売をしても利幅が大きいので、経済活動はますます活発になるといった具合です。

 そこで、そんなに儲かるならもう少し利息を上げようということで、利息が高くなりますと、今度は商売の方は利幅が減りますから、あまり手を広げないという選択をして、結果は経済減速です。

 こうした金融、流通する通貨の「量」と「金利(質)」の水準が、実体経済とどういう関係にあるかを見て、それを政策に応用しようというのが、金融政策の基本的な考え方になるのでしょう。以下次回

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