tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

お水取りを目前に、聖林寺の倉本明佳ご住職と観音経を唱える

2020年02月23日 | 奈良にこだわる
得難い経験をさせていただいた。金曜日(2020年2月21日)、社寺でボランティアガイドを行っている「ナント・なら応援団」(南都銀行OB・OG)の団員向けの研修会が開催された。今回の講師は聖林寺(しょうりんじ 桜井市下692)ご住職の倉本明佳(みょうか)さんで、演題は「国宝十一面観音の来歴~まなざしの行方~」だった。倉本住職は県「祈りの回廊」(2020年春夏号)9ページ目に大きく紹介されている。

事前の打ち合わせでは、「観音経のデータを送りますので、印刷をお願いします。PowerPointで入江泰吉さんが撮られた十一面観音さまの画像を投影しますので、皆さんとご一緒に観音経を唱えましょう」とのことだった。なお観音経とは法華経の一部で、「法華経第25品、観世音菩薩普門品(ふもんぼん)の通称。観音品(かんのんぼん)」(デジタル大辞泉)である。

般若心経より少し長い程度の短いお経である。観音経のことは以前、松原泰道著『観音経入門』(祥伝社NONBOOK)を読んで、少し予備知識があった。この本には、こんなことが書かれていた。

どろどろの生活の中で、なんとかして安らぎを得たいとあせっているのが、私たちの現実の姿です。このあせりをなだめすかして現実的な欲望を人間性自覚の尊厳な願いにまで高めさせようと、手を代え品を代えて説きすすめられるのが「観音経」です。

「そんなに卑屈にならなくともよい、そんなに泣き悲しまなくともいい。あなたはまだ気がつかぬが、あなたにはこんなすばらしいはたらきが宿されているのだ。既得のあらゆる概念をすてて、あなた自身の原点にたち返ってごらん。あなたをあなたたらしめる尊い人間性を必ず自覚できるのだよ」とあなたに内在する大きないのちが、あなたに呼びかけているのです。その声が目(ま)のあたりに観えることを教えるのが「観音経」です。



そんなお経を殺風景な銀行の会議室で唱えてくださるというのだ、これは有難いことである。世間は新型肺炎騒動でざわついているし、また3月からは東大寺二月堂で修二会(お水取り)が始まる。修二会は二月堂の秘仏・十一面観音さまに我々衆生の罪過(ざいか)を懺悔(さんげ)し、その功徳(くどく)によって除災招福を祈るという悔過(けか)法要なので、趣旨は同じである。

ご講演では、聖林寺のご本尊「子安延命地蔵菩薩」のことや、それが『大和の民話』に登場すること、観音さまとはどんな仏さまか、頭上の化仏は何を意味するかなど、興味深い話が続いた。最後に、観音さまの画像を東大寺二月堂の「お松明」の横に投影した。



倉本住職は持参されたお鈴(りん)を取り出され、その音を合図に読経が始まった。我々はそれに唱和する。観音経では、「念彼観音力(ねんぴかんのんりき)」(観音菩薩の力を念ずれば…)という言葉が13回も繰り返され、13の観音さまのご利益が説かれる。

時間が一瞬止まったような、不思議な体験だった。唱和した皆さんも、心が洗われた気分だっただろう。この観音さまは本年6月16日(火)~8月31日(月)まで、上野の東京国立博物館に出陳される。その間、聖林寺では観音堂(収蔵庫)を建て替えされる。今、そのためのご寄進を募っているという(銀行振込または郵便振替)。皆さんも、ぜひご協力をお願いいたします!
コメント (2)
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