天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

鎌倉幕府の成立年

2024-02-22 | Weblog
 かつて、鎌倉幕府の成立は1192年とされ、教科書にも載っていました。
 この年、源頼朝が征夷大将軍に任命された事を以って
 幕府が成立したとするもので、
 「イイクニ(1192)作くろう鎌倉幕府」という語呂合わせで覚えた方も多いかと思います。

 しかし、歴史学での鎌倉幕府の成立年は1192年ではなく、
 1185年であるとの説が採用され、その旨記載した教科書もあります。
 ところがそれにも異説があります。

 以下、簡単に諸説を書きます。
 1180年(治承4年)説
 頼朝が侍所(御家人の管轄機関)を設置した年
 この時すでに南関東のほぼ全域を支配下においていました。

 1183年(寿永2年)説
 朝廷から頼朝に対し、東国の支配権を承認する宣旨を出した年
 朝廷が頼朝に東国限定という条件付きですが、支配権を認めました。

 1184年(元歴元年)説
 頼朝が公文所、問注所を設けた年
 これにより、政務、裁判の仕組みが整いました。

 1185年(文治元年)説
 頼朝は諸国に守護・地頭を置く権利を得た年

 1190年(建久元年)説
 頼朝、征夷大将軍よりさらに上の官職である右近衛大将に任命された年
 日本国総追捕使・総地頭の地位も得、諸国守護を恒常的に担う立場となります。

 1192年(建久3年)説
 頼朝、征夷大将軍に任命された年

 この各説を見て来ると、幕府による支配体制は、征夷大将軍に任命されるより前に、
 少しずつできあがっていったと考えられます。
 その中でも、各地の軍事・警察権を掌握する「守護」と、
 年貢の徴収や土地管理を担当した「地頭」を任命する権利を
 頼朝が得たことを最も重視するのが、1185年説です。
 ちなみに、征夷大将軍に任じられた1192年は、
 実質的にできあがっていた幕府の体制が、
 名実ともに完成した年ということになります。

 ある特定の出来事、年代を指して鎌倉幕府が成立したと考えるのではなく、
 段階的に成立していったと考えるのがいまの歴史学の標準的な見解のようです。
 教科書では、特定の年に成立したとは明記しないのが、
 最新の日本史になっているようです。
 

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豆まき

2024-02-04 | Weblog
 季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると信じられていたため、
 それを追い払うための悪霊ばらいの行事が執り行われていました。
 節分に豆まきがいつから行われて来たかは、明らかではありませんが、
 文献が見られるようになるのは南北朝時代以降のことです。
 豆は、「穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっている」という信仰、
 または語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」を
 鬼の目に投げつけて鬼を滅する「魔滅」に通じ、
 鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、
 一年の無病息災を願うという意味合いがあるとの事です。
 
 2024年2月2日の下野新聞の「あなた発 とちぎ特命取材班」に、
 節分に何をまく?との記事がありました。
 下野新聞を含む全国10道県の地方紙が合同アンケートを実施した結果でした。
 参加した新聞は、下野新聞のほか、北海道、岩手日報、河北新報(宮城県)、
 上毛(群馬県)、信濃毎日(長野県)、西日本(福岡県)、熊本日日、宮崎日日、
 南日本(鹿児島県)です。
 アンケートは、多様な声を聞き取るのが目的で、
 1月下旬、インターネット上で実施し、2389人が回答しましたが、
 無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なるとの事です。

 「節分でまくもの」(複数回答)を尋ねる質問で、
 落花生が62.2%、大豆が49.3%だったとの事です。
 落花生が多いのに意外な感じがしました。
 地域的には、北海道と東北6県、新潟県、長野県と
 九州南部の熊本県、宮崎県、鹿児島県で落花生を使う人が多いようです。
 数字が出ている所では、北海道、90.4%、岩手91.1%、宮城88.9%で、
 九州南部では、宮崎92.2%、鹿児島87.7%に対し熊本57.7%でした。
 その他の都府県では、大豆をまく人が多かったとの事です。

 栃木県では204人が参加し、
 複数回答の中で「大豆」を選んだ人は89.7%。
 「大豆のみ」に限れば79.9%で、他の地域より割合が高かったとの事です。
 一方、複数回答で「落花生」を選んだのは15.2%、「落花生のみ」だと7.4%でした。
 少数ですが、栃木県内にもあめや小豆をまく人もいたとの事で、
 「その他」と答えた人は、
 小分けパック入りの豆菓子を挙げる人が目立ったとの事です。

 大豆だと小さい事もあって、後の掃除が大変で、
 その点、落花生の方が大きいから、
 踏み潰したりする事が少ないのかも知れませんね。
 いずれにしても、豆ですから効力は同じなのでしょう。

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