天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

桃太郎型?浦島太郎型?

2009-06-22 | Weblog
 人間の分類の仕方は、正に千差万別色々あります。
 民族とか国籍なんていうものから、髪や目の色、
 果ては血液型などと言うまやかしめいたものまであります。
 複雑怪奇な人間と言う存在を、
 何種類かのパターンに類型化して
 理解しようと言うものなのでしょうね。
 そうした類型化が進み、
 その類型の間に価値の差を設けようとすると、
 差別の問題にもなってしまいます。
 区別をするのは仕方ないですが、
 差別は良い事ではないですね。

 さて、僕が信じている人間のパターンの一つに、
 桃太郎型と浦島太郎型と言うのがあります。
 これは、確か丸谷才一さんの「大きなお世話」と言う
 随筆に書いてあったと記憶しているのですが、
 今手元にその本がないため、確かめられません。
 記憶だけで書いてみます。

 桃太郎と言うのは、人から頼まれもしないのに、
 鬼ヶ島に鬼退治に行き、
 財宝を奪って来ても自分の物とはせずに、
 皆に配って満足すると言うタイプですね。
 言うなれば、世話焼きタイプとも言えると思います。
 それに対して、浦島太郎は、亀を助けたけれど、
 その結果は竜宮城で
 乙姫様と仲良くしただけで終わってしまいます。
 こちらは、自己完結タイプとでも言えるのだと思います。

 自分と他の人との係わりの仕方で、
 この2型に分かれるような気がする訳です。
 最近、街づくりの手法として、
 桃太郎型と金太郎型と言う言葉を聞きました。
 金太郎型と言うのは、スーパーマン型で、
 一つの施設に様々な機能を
 付加させてしまおうと言う考え方です。
 言うなれば、一極集中型と言えるかも知れません。
 それに対して、桃太郎型は、自分の力だけではなく、
 雉、猿、犬と言うパートナーを得て、鬼を退治します。
 多極分散型とも言えるのではないでしょうか?

 桃太郎や浦島太郎、あるいは金太郎と
 お伽噺の主人公を使って、色々説明しようとしている訳ですが、
 これも国民に共通の知識として、
 これらのお伽噺を知っていると言う前提があります。
 最近の子ども達が、
 果たして本当にこれらの話を知っているかどうか、
 チョッと不安な気もします。

 ちなみに、僕は桃太郎型か浦島太郎型かと問われれば、
 まぎれもない桃太郎型だと思っています。
 大きなお世話をすることに生き甲斐を見いだしている、
 お節介小父さんですね^^
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大王は勝利を盗まず・・・

2009-06-11 | Weblog
 マケドニアの若い王アレクサンドロスは東征の途に就きますが、
 彼の最大のライバルは、ペルシア王のダレイオスでした。
 何度かダレイオスと対戦しましたが、
 その最大のものが、紀元前331年のガウガメラの戦いと言われる合戦でした。
 この合戦を前にして、両軍が対峙した時、
 アレクサンドロス大王の部下のパルメニオンは
 夜襲をしようと大王に進言しました。
 しかしながら、「大王は勝利を盗まず」と言って、
 この進言を退け、翌日の戦いで正々堂々と戦い、
 機敏な用兵でペルシア軍を打ち破りました。
 2世紀になって、アレクサンドロスの東征記を著した
 ギリシアの文人政治家アッリアノスは、
 アレクサンドロスが夜襲で勝っても、
 ダレイオスの政治的な力を失墜させることができないばかりか、
 もし不測の事が起こって負けたりすると、
 一応恭順の意を表している周囲の部族がまた叛旗を翻す事を考えて、
 夜襲策を退けたと分析しています。

 そのアレクサンドロス大王の更に300年ほど昔の中国で、
 同じような事をやった人がいます。
 春秋時代の宋の国の襄公と言う人物です。
 紀元前638年、楚の成王と、泓水という川のほとりで合戦になりました。
 川を渡って攻めて来た、楚の軍に対して、
 陣形が整わない内に、攻撃を仕掛けようとの部下の進言を、
 「君子は人の難儀につけ込んで苦しめるようなことはしないものだ」と退け、
 陣形が整った後に攻撃して、結局敗れてしまい、
 襄公もその時の傷が元で、3日後に死亡します。
 有名な「宋襄の仁」と言う言葉を残した事件ですね。
 この宋の襄公は、内政では優れた為政者だったようで、
 正義感の強かった人物なのかも知れません。

 300年余り前の中国の史実を、
 アレクサンドロスが知っていた訳はないと思いますが、
 知っていたとしても、同じ結論だったでしょうね。
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