ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

大晦日、俄かウィスキー(ただし安酒!)党員の過ごし方

2019-01-01 10:31:24 | 暮らし

 別に昨日までの夜と違いなんかない。出掛けるわけでなく、人が訪ねてくるでなし、家族あい寄ることもない。男一人の年の暮れだぜぇ。

 普段通り過ごしゃいいんだ、とは思うんだが、世間の方がなにかと慌ただしいんでね。世間?って、なぁに、テレビのことさ。ほら、もうNHKなんて朝から紅白一色だろ。えっ、紅白なら二色だろ、なんて、くだらねえ突っ込みはともかく、これに絡んで来る民放各局も、RIZINだ、SASUKEだ、ガキの使いだ、って、喧しいことこの上なしだ。パーツっ大騒ぎして、この一年の憂さを吹き飛ばせっていうのかね。なんか、たわいないねぇ、幼稚だねぇ。一年の総決算の夜が、こんな空騒ぎだなんて、日本人の感性を疑っちまうよな。もっと、大人の夜の過ごし方は無いのかい?

 これがちゃんと準備されてるんだよな。裏番組や裏の裏で。まずは、NHKBSプレミアムの年越し映画マラソン。大晦日の朝から元旦の夕方までぶっ通しで映画流してる。「ET」に始まって、「ミッションインポッシブル」5連発に終わる、堂々の36時間番組だ。いや、ずっと見続けるわけないだろ、途中、好みと気分に従ってお付き合いさせてもらう。31日午後の時間帯は、是枝監督の3作品連続上映!凄い!見ごたえありだぜ。「そして、父になる」は以前見ているので、それ以外の2本、「海よりもまだ深く」と「誰もいない」をチョイス。録画して、こちらの時間に合わせて見ることにする。

 で、本命の生視聴は?なんと、「バー レモンハート」の4時間特番やってんじゃねえか!こりゃ見ないわけにいかんだろ、俄かウィスキー(ただし安酒)党員としちゃ。再放送も含むが、この日のために撮られた最新作もある。大したもんだ、完全に腰の引けた民放地デジ局裏番組のそのまた裏、BSフジで大晦日撮りおろしの新作ぶち込んでスペシャル組むなんて、かなりの度胸だぜ。もう、尻まくってるとしか思えないな。どうせ、チャンネル合わしゃしねえんだ、だったら、こちとら勝手にやらせてもらうぜ、って開き直りの意気込みがビシビシ伝わって来るなぁ。

 大晦日に向けた新作2本、これがまた、洒落た作品だった。竜雷太扮する人気坊さんが悩み事相談に答えつつ、自身の煩悩についてもマスターに救いを求める。そう、除夜の鐘を聞きながらって趣向だ。いいねぇ、上手だねぇ。出て来る酒は、英王室ご用達のスコッチとミネラルウォーター、それとトリスのクラシックだ。ほれな、見てる者の気持ちをしっかり掴んでるだろ、憧れの銘酒と馴染みの安酒だよ。

 2作目は、ジョニーウォーカーの黒ラベル命!で生きるフリーライターの話し。末期の癌を隠しつつバーに通う男が、なんと、本当に癌と闘ってる火野正平だぜ。とてもドラマとは思えない迫真力に圧倒されちまった。特に、余命数日となって、黙って病院を脱げ出しカウンターに座る火野。グラスを傾ける火野、当人が本当に末期の一杯を大切に味わっているようだった。もう、胸倉掴まれてジョニ黒付き合わされるようで身につまされたぜ。もちろん、1本980円のティーチャーズを傾けつつだけどな。

 物語の合間に入る原作者古谷三敏の裏話も楽しかった。赤塚不二夫のアシスタントをしてた時のエピソード、困った時にゃ泥棒出せばいいんだよ、のアドバイスを実行した回、バーレモンハートに忍び込んだ川平慈英と中尾明慶のコソ泥がマスターに見つかり、最高級コニャック・カミュバカラを通して、新しい人生への再起を誓うってお話し、まっ、出来過ぎじゃあるが、役者たちの名演と、巧みな台本、演出のせいで、心地よく騙された。

 4時間の残り半分は録画して、後に回し、先に録っておいた「海よりもまだ深く」を見て、この一年を締めた。あっ、是枝作品にゃガツンと叩きのめされたので、いつかまた、別の機会に振り返る。って、ことで、良いお年を! 

 

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