客は好みのコース(松竹梅の3つ)を選んで腹(および懐)具合と相談しながら単品を追加注文する形だ。森繁久彌氏(故人)が(関東にはない味として)命名した「かんさいだき」の出汁は少し白濁している。鶏がらスープと和の出汁を合わせて隠し味に白味噌を加え独特の深みを出すことに成功している。
掘りごたつ式の座敷(テーブル席もあり)で卓上IHヒーターにのった鍋をつつく。ほっとするような味である。周囲からは楽しい会話が聞こえ、女性従業員の細やかな気配り、目配りが心地よい。サービス向上のために我が故郷の市役所職員としてスカウトしたい位だ(笑)
店を出る際三代目女将から「何が一番お気に召しましたか?」と聞かれて私は「どれも良かったですよ」と答えた。中でも「えび芋」「(明石の)たこ」「ころ(鯨の皮脂肪)」は非の打ち所のない味だった。大阪の名店だと思う。