田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

オンライン講座『道』

2021-03-13 23:20:15 | 映画いろいろ

 あるオンライン講座でこの映画に関する意見を拝聴した。

 自分は、この映画は与える者(ジェルソミーナ)と奪う者(ザンパノ)による不器用な愛の物語であり、実は“第三の男”キ印が、キーパーソンだと思う。それにしても、何度見ても、なぜ最後はザンパノと一緒に泣いてしまうのだろう。

 『日日是好日』(18)で、すぐには分からないものの例として、この映画のことが語られていたのも印象深い。

『道』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c6e8f0c620cd4e446dfe338e38f4240b

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史上最速の球を投げた男 山口高志

2021-03-13 07:57:47 | All About おすすめ映画

 山口高志 史上最速の球を投げた男

 1950年、兵庫県生まれ。右投右打。背番号14。通算8年(実働4年)50勝43敗44セーブ 防御率3.18 600奪三振

 関西大学時代から注目されていた山口は、1975年ドラフト1位で松下電器から阪急ブレーブスに入団しました。通算記録だけを見れば、それほどたいした投手ではないと思われるかもしれませんが、然にあらず。彼こそは「日本プロ野球史上最速の球を投げた男」として今も語り継がれている伝説の投手なのです。

 そのスピードは有に160キロを超えていたとも言われますが、特徴は初速と終速の差がほとんどないこと。打者や捕手はもちろん、球審すら恐怖を感じたと言います。

 彼のピッチングのテーマは「速球だけでどこまで打者を抑えられるのか」ということ。170センチという小柄な体格ながら、体全体を使ったダイナミックなフォームから豪速球を繰り出しました。

 そのため、関西大学の先輩で、力感あふれる投球フォームでザトペック投法と呼ばれた阪神タイガースの村山実の2世とも呼ばれました。まさにテレビアニメ『巨人の星』の主題歌の歌詞にある「腕も折れよと投げぬく闘志」そのものです。

 ルーキーイヤーの75年は、12勝13敗1Sで新人王に輝き、対広島カープの日本シリーズでも、抑えの切り札として1勝2セーブを挙げてシリーズMVPを獲得しました。

 夕暮れ迫る西宮球場で、山本浩二をはじめとする広島の打者から次々と三振を奪う姿は圧巻でした。彼らは「速過ぎて球が見えない」「3日前から振らないと打てない」と嘆いたそうです。

 山口は、続く76、77年の対巨人の日本シリーズでも活躍。4年連続シーズン2桁勝利を挙げ、黄金時代にあった阪急の4年連続リーグ優勝に大きく貢献しました。

 ところが、78年、対ヤクルト・スワローズとの日本シリーズ前に腰を故障。その後、治療に励みましたが、剛速球は二度と戻りませんでした。けれども山口は「僕は80パーセントでは投げられない。だから下位打線だろうが常に全力投球。こんな小さい体でそんなことを続けたんだから、4年でつぶれても当たり前。後悔は全くない」と語っています。

 また、あるインタビューで「もし再び現役としてマウンドに上がったら、やっぱりあのボール(豪速球)から入っていくんですか?」と聞かれ、「絶対にそうですよね。1球で観客席をうならせてやろうっていう気になるんじゃないですかね」と答えています。あっぱれと言うべきでしょう。

 野球は(通算)記録を尊重するスポーツですが、その一方で、記録よりも記憶に残る選手がいます。その意味でも、山口高志という投手は「リアルタイムで見たことを誇りに思える選手」なのです。

 

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『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』

2021-03-13 07:32:57 | 新作映画を見てみた

シュールで不条理な風刺寓話を日本の土壌で展開

 国際的に高く評価されているという池田暁監督作を初めて見た。

 舞台は、いつの時代でもない、古びた架空の街。この街では、川の向こう岸の街と、目的も分からないまま、何十年も戦争を続けている。毎日、朝9時から夕方5時までが戦争の時間だ。

 兵隊として暮らす露木(前原滉)は、ある日、向こう岸から聴こえてきた音楽に心を引かれる中、音楽隊へ転属するが、街に新しい兵器と部隊が来るという噂が広まる。

 独特の間と抑揚のないセリフ回しに最初は大いに戸惑うが、慣れてくると、まるで泥沼にはまるように、ずるずるとその不思議な世界に引きずり込まれていく。

 こういうタイプの映画は、例えば、ルネ・クレールの『最後の億萬長者』(34)、フィリップ・ド・ブロカ『まぼろしの市街戦』(66)、オタール・イオセリアーニの『皆さま、ごきげんよう』(15)などがあるが、最も雰囲気が似ているのはロイ・アンダーソンの『さよなら、人類』(14)だろうか。

 そうしたシュールで不条理な風刺寓話を日本の土壌で展開させた点が新しいと感じた。もっとも、池田監督自身は、つげ義春や水木しげるの世界を目指したらしいのだが。

 脇役も、片桐はいり、嶋田久作、きたろう、竹中直人、石橋蓮司とくせ者揃い。正直なところ、こんな人たちがいる街には絶対に住みたくないと思わされた。露木がトランペットで吹く「美しき青きドナウ」が印象に残る。

【インタビュー】『皆さま、ごきげんよう』オタール・イオセリアーニ監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5b0742adc7505c9303c87445ad518d92

『さよなら、人類』ロイ・アンダーソン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3f70605b7fd92d3d1be4c97dd30bc01b

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